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イズミ・アオバ戦果記録帳

プロフィール

アオバのイズミ(青葉 泉)
二つ名:燐光のイズミ
21歳
157cm

アウラ・レン
ひんがしの国 玖ノ国アキハラ村出身(捏造地名)

「私の探し物?悪いけど、貴女であっても教えられないんだ。」 
「おあいにくさま。私にとって刀はただの道具なの。」
「…私がケリをつけなきゃ、ダメなんだよ」 
「しつこい!今そういう気分じゃないの。……じゃあ一杯だけね。」

——
とあるレリックを求めエオルゼアへやってきた古物蒐集家。英雄「白妙のソフィア」とリテイナー契約を交わしており、目的の遺跡探索行はリテイナー業務の合間にこなしている。

求めるレリックについてはソフィアにも話した事はない。「英雄サマの手を煩わせるようなものじゃない」とは本人の弁。

英雄であるソフィアには憧れや敬意を払いつつ、雇用主とリテイナーとして一線引いた付き合いをしている。それでも時々FCの食事会に招かれたりはする。

なぜかテンパード化にある程度耐性を持つ。暁に誘われたこともあるようだが、自分の目的を優先するため断っている。

よく言えば落ち着いてクール、悪く言えばダウナーで無気力に見える雰囲気を纏う。まず他人は疑ってかかるタイプだが、その割に騙されやすい。

剣術は冒険者を志した数年前から習い始めたもので、武術の経験は浅い。士道にもあまり興味は無い。

戦いのセンスは高く、奇策と先制攻撃で相手に何もさせないような戦い方をする。盾役からは不評なため、多人数で探索に出かけることはまれ。

喫煙者。かつて付き合った男から教わったもの。消したい過去のひとつらしいが、それはそれとして習慣は残った。

レリックに対する審美眼はかなりのものだが、男に対してはいまひとつ働かない。

その生い立ち

アオバのイズミはひんがしの都、ブキョウから程近いアキハラの町で何不自由なく育った。小さな頃から男友達に混じって遊ぶようなやんちゃな子供だった。

15歳の頃、イズミは村の悪友達と共に禁足地の洞窟に出掛けた。最深部にあった宝に歓喜する彼らだったが、それは宝でもなんでもない、恐ろしい妖異の封印だった。そうとも知らず、封印を解いた彼らはあっという間に妖異の呪いによって狂い始めた。狂気に囚われた彼らが互いを殺し合うのも時間の問題かと思われた時、間一髪陰陽師達が駆けつけて妖異を封じ、彼らを死の淵から救いあげたのだ。

だが、その狂気に晒された彼らの末路は悲惨だった。あるものは人が変わったように凶暴になり、またあるものは悪夢にうなされた挙句村から消えた。イズミの心に渦巻いていたのは理不尽に対する怒りだった。訳の分からない妖異に、そんなものを封じていた故郷に、何も考えず足を踏み入れた自分達に怒っていた。禁足地を焼き払う決心をするのに時間はかからなかった。

大量の油脂と火種を抱え、うつろな足取りで禁足地へたどり着いたイズミだったが、そこには先客がいた。陰陽師ではない異国風の男だ。男は虚な目のイズミの頬を張り、諭す。焼き払うだけで済むならどれほど楽か、と。正気を取り戻したイズミを尻目に、男は封印が施された妖異の像に触れた。名状し難い呪文が男の口から紡がれ、禍々しい瘴気があたりを満たしていく。

やがて男の姿が掻き消え、洞窟内に蔓延る怖気は最高潮に達した。イズミの正気の糸が千切れ、その口から悲鳴が放たれようとしたその時、あらゆる魔なるものは忽然と消え去り、続いて男が再び虚空から姿を表した。男の荒い息遣いだけが静謐な空間に響いていた。イズミはただ、呆然と立ちすくむしかなかった。

あの妖異の一族は古物に取り憑き、近付くものを己が狂気の領域に引き摺り込んでしまうのだという。確実に滅するにはあえて領域に踏み込み、その中で本体を葬るしかない。そしてそれを行えるのは、そこから正気で帰還したものだけだと。

「あたしに、それをやれっての?」

「お前が望むまいと、奴らはお前を狙い続ける。」

夜が明ける前に男は集落を去った。その男とはそれきりだった。今にして思えばあまりにも端的な話だったが、おそらく男もそれ以上の事はわからなかったのだろうし、わかりたくもなかったのだろう。

疲れ切ったイズミは泥のように眠り、やがて目を覚ました後、自分と共に洞窟に赴いた友の家を尋ねた。昏睡する友に何事かを誓うと、そのまま町外れの剣術道場の門を叩いた。18になる頃には道場で彼女に敵うものはいなくなっていた。

都から妙な噂が流れてきた。曰く、持ち主が死ぬ宝石。曰く、持てば狂う妖刀。曰く、名状し難い絵が彫られた浅浮彫。時が来た。そう感じた。

友の墓前に線香を立てた後、イズミは生まれ育った町を後にした。噂を求め、魔を狩り、幾多の出会いと別れの果てに、彼女はエオルゼアの地にまでたどり着いていた。

「リテイナー…そんなのがあるのね。」

『はじめまして!あなたが新しいリテイナーさんですね。わたしはソフィア、ソフィア・フリクセルです。』

「…アオバのイズミよ。まさかエオルゼアの英雄の担当になれるとは思ってなかったわ。よろしく。」

「…じゃあ、納品物はそこに置いとくから。」

「待ちなさい!あなたもせっかくだから、これ食べていきなさいな。」

『そうですよ!先生の料理は絶品なんですから!』

「はは…ならお言葉に甘えようかな。」


「…別に急いでるわけじゃないんでしょう?朝までゆっくりしていけばいいじゃない」

「いいんです。そこまでは甘えられません。」

「あなた、なにか訳ありみたいだけど、ソフィちゃんを困らすんじゃないわよ」

「納期を破った事はありませんよ。」

「そうじゃないわよ。…まぁいいわ、良い旅を。」

「えぇ、ごちそうさまでした。」

ソフィアたちのハウスを後にし、二筋ほど進んだところでイズミは懐からタバコを取り出し、紫煙を燻らせた。何度目の禁煙失敗だろう。自分に喫煙を教えてきた男のことを思い出す。きっとどこかで野垂れ死んだだろう。ろくなやつではなかったが、もし骨を見つけることがあれば拾ってやるつもりではいた。

ほどほどに吸ったタバコを建物の影に投げ捨てる。マナー違反。だかしかしタバコは何も無い空間で爆ぜて消えた。頭の中に僅かな悲鳴が響く。私だけにしか見えない何か。いつか因縁が断ち切れる、その日まで。

タバコが消えた空間を一瞥もせず、イズミは夜霧の中に消えていった。

イズミは元々CoCで生まれたキャラクターであり、幾多のセッションを暴力で乗り越えてきた経歴があります。


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