見出し画像

『Ghost of Tsushima』主演俳優Daisuke Tsujiの実況プレイ抄訳

各国で大評判を呼んでいるゲーム『Ghost of Tsushima』、そろそろ遊び終えた方も多いのではないでしょうか。私もゲーム好きとして大変楽しい時間をいただいたのですが、おそらく世界でもっとも濃いぃ楽しみ方をしていたのは、主人公・境井仁の外見モデル、イベントシーンのモーションキャプチャー、フェイシャルキャプチャー、英語音声の吹き替えを担当し、かついちプレイヤーとして初通しプレイの実況動画を配信していた俳優Daisuke Tsujiさんその人でしょう。まず公式サイトと配信で聞いた内容をもとに略歴紹介。

◆Daisuke Tsuji 略歴
日本人の両親のもとクウェートで生まれる。漢字表記は「辻大介」。8歳までは千葉県、以後は米サクラメントで育ち、本人によると「遺伝的には日本人だけど、暮してきたのはほぼアメリカなのでマインドはアメリカ人」であるという。高校時代より演技の道を志し、UCLAにて舞台芸術学のBA取得。卒業後は『真夏の夜の夢』(パック役)、『お気に召すまま』(オーランド役)、『リア王』(道化役)、『終わりよければ全てよし』(バートラム役)、『Cambodian Rock Band』(ドイクことカン・ケ・イウ役、18年と19年にロサンゼルス演劇批評家サークル賞を受賞)など舞台を中心に、TVドラマ『ブラックリスト』、『The Man in the High Castle』、ゲーム『Ghost of Tsushima』、『Death Stranding』、『PREY』、CMなどで俳優、声優としてキャリアを積んできた。一風変わったところではプロのクラウンとしても活動暦があり、日本で1年半シルク・ド・ソレイユの『ドラリオン』ツアーにも参加していたという。

そんなTsujiさんが通しプレイ実況動画をTwichで配信していることを知り、最初に覗きに行ったのが配信3日目時点。「ゲームの主人公を演じた俳優本人による当該ゲームのプレイ動画」というめったにない趣向の面白さ(とコメント欄の面白さ、そしてTsujiさんの茶目っ気たっぷりなお人柄)に視聴がやめられなくなり、気づくとアカウント登録し、8月4日感動的なエンドマークが出るまで完走してしまった次第。アーカイブ期間が14日間しかないらしいのが何とももったいないので、以下、印象に残った部分を箇条書きで訳していこうと思います。ゲームの核心部分に関わるネタバレは末尾にまとめてあります。( )内は私の補足。

※追記…実際の動画の一部は2021年9月現在、Tsujiさんが典雄役Earl T. Kimさんと結成した配信チーム「DandE Saga」のYouTube公式ページに格納中。ちなみに2021年8月末に行った壱岐之譚クリアを目指しての12時間配信抄訳はこちら。『Tsushima』リリース1周年記念には、他のキャスト、Sucker Punchディレクター陣を招いての特別配信も行っています。



(配信初日。ご本人のSNSアカウント以外ではとくに配信の告知もなかったというのに、開始から数分後には視聴者30人超えに) あ、どうもー。ハーイ。いや僕はセンセイじゃないです、センセイは石川先生。すごい人来てるな、全員知ってる人? 挨拶しなきゃ。僕はダイスケといいます、このたび仁を演じました。友達のジェーン(『Cambodian Rock Band』共演者でもある俳優/ミュージシャンのジェーン・リュイ)に手伝ってもらって配信始めてみてます。(そしてあっという間に100人超え。メインストーリーの最後近くまで、平均100〜200人程度で推移していた)

これまでもゲームの仕事はしてきたけど、主人公を担当したのは今回が初。自分にとっては一大事だし、PS4を持ってない身内に見てもらえるよう初めて配信っていうものをしてみたら、ゲームのファンになってくれた方もたくさん来てくれてびっくりしてます(ちなみに他出演者やSucker Punchの面々、リアルご友人らしき方もリアタイ視聴しており、ときどきコメント欄との間でキャッキャと掛け合いしてました)

 このゲームはこれが初見なんです。撮影でいろんな素材を収録はしたけど、どのテイクが使われるか、どんなアニメーションになるか、どういう編集になるかは不明で、すべてがいま初めて知ることなんですよね。


 (「ちっちゃい子供に戻ったみたい」と満面の笑顔で最初のイベントに見入るTsujiさん。オープニングタイトルで「Sucker Punch Presents」の文字列が表示された瞬間、拳を振り上げて) YES! ……あ、もうコントロールこっちに移ってるのか。Act 1 。……いやーすごかった。第一印象? 第一印象か。うーん、どんな気持ちになったらいいのやら(笑)。ひたすらシュールですよね。オープンワールドまで来て鳥肌がたっちゃった。僕は自分自身の最悪の批評家なんでつい甘くなっちゃうんだよなあ。汗かいてきたよ。ノイズが入らないようエアコン切ってるせいもあるけど……オープニングの素材をたくさん撮影した中で、Sucker Punchがこういう導入を選んだんだな、ということが今わかって、ゲームのストーリーテリングがすごくいいな、と思った。オープンワールドでプレイヤーが好きに行動できるようになるまで──たとえば狐を探したりとか! 僕がまず一番にやりたいのはそれ──ぐいぐい引っ張ってく感じだよね。

 Tsushimaに携わってたのは断続的にかなりの長期間で、何年単位。(外見モデルと声の出演に加え)シーンごとのモーションキャプチャーも担当しました。ただしSONYやSucker Punchに確認したら、撮影の裏話を明かさないで欲しいとのことだったので、詳しくは言えないんです。残念ながら。制作ドキュメンタリーを作る予定でもあるのかな? わからないけど。

 音楽がいいなあ。個人的なお気に入りは「Jin Sakai」。新しい曲が聞こえてくるとワクワクする。

 (フォトモードの仁の表情選択で遊びつつ) 殺気。……キス顔!? 無表情。悲しみ……口笛吹くときの顔もあるのか、実際には僕口笛吹けないんでウソですけど。どれがいいかな。……死亡ってかなり面白いなあ。キス顔で行こうっと。

(蒙古弓兵の「ドーショー!」について) ほぼほぼDon’t shoot! に聞こえるよね。でも日本の人はたぶんWhat should I do? に聞こえてると思うよ。

 (日吉での温泉チュートリアルで入浴場面。クリップはこちら) あ、この人目を逸らしたりもしないのね。いやいいよ、こっちは別にいいんだけど。……YEEESSSS! なんで自分の尻にYESとか言ってんだ。……あっもう上がっちゃうの? ボタン押したらもう着替え完了してた。(入浴後、NPCに) で、いま僕の尻見てたんですか? 目逸らしてました? 逸らしてませんでした? オッケー。 (そしてゲーム内の温泉シーンがコメ欄で「プリケツ(thick booty)」タイム扱いされ、「全裸カウントダウン開始」、「ケツきたー」などのコメントや桃の絵文字が乱れ飛ぶある種の見所となるに至った)

 はい来たー! 温泉! なんで笑っちゃうんだろ(笑)、なんかおかしくなるんだよ。胸まわりの造形はかなり現物に忠実だな。

あれ。待てよ……なんで胸毛の形わかったんだろ。実際にはもっと濃い目だけど形がまんまだ……スキャン用のスーツって胸毛見えないはずなのに。いや、肌出すこと自体にはそんな抵抗ないからいいんだけど。

欲を言えば、温泉入ってるときに周りを見回せる機能が欲しいよね。ゲームデザイン上の難しさとかわからないまま言ってますけど。景色を眺めるのも露天風呂に入る楽しみのうちで、僕ならそうするから。

 (後日ふんどし装備を試着していわく) ヒーローがみんな筋肉ダルマみたいな体型じゃなくたっていいよね。これなら目指せるかなってなるじゃない(笑)  でもこれ確かに僕の体だわ。こんなに筋肉量多くないけど、定期的にジム通いしてる時の僕ですね。

詳しくは言えないけど、撮影のとき聞いてた要素があちこちで微妙に変わってるねえ。役者としてキャラクターを演じるのと、プレイヤーとしてそのキャラを操作するのってやっぱり大違いで、今になって仁のことを色々学ばせてもらってるよ。

(敵拠点でステルスプレイ中の時の口癖) こっち見んなー。こっち見んなよー。

(コメ欄にいるクリエイティブ・ディレクターのネイト・フォックスへ「ネイト、まだいる?」と呼びかけたところ、「いるよー。行動のひとつひとつから君って人間の程度を見てるとこだよダイスケ」という返事が) ええー(笑) 。じゃあ演出して下さいよ、僕がどうしたらいいか。何すればいいすか。(続いて「メソッド演技で子供時代の心の傷を見つけてみ」という返事) 子供の頃、風船が割れてものすごく悲しい気持ちになったことがあったけど、それ使えますかね?(そして「適切だな、じゃあそれで」と話がまとまった)

仁の身長がいくつか? 178㎝。なぜなら僕の身長だから(笑)。仁はもっと高いかな。

 実際に2018年12月、対馬まで取材旅行にも行きましたよ(インスタにその際の写真と動画あり)。本当に、本当に美しいところで。行く前には「どうせゲーム内の方が現実よりキレイなんだろなー」みたいに思ってたけど、実際に見たら自然の美しさがすごかった。このゲームの中みたいに赤や黄色っていうよりは、もっと緑豊かな感じ。秋には島の一部が紅葉の名所になるって聞いたけどね。対馬観光、心からおすすめ。レンタカー借りてあちこち回ったんだけど、観光マップに載ってない神社があちこちあって、鳥居を見つけちゃ車を停めて道を登ってみたりしたよ。

 (対馬旅行でお土産は買いましたか、という質問に) すごくいい質問だねー。買ったのはバンパーステッカーとタオル。対馬固有の動物2種類がマスコットキャラになってて、ひとつは対州馬。ゲームの中みたいなふつうの馬より足がずんぐりしてる。だから脚力が凄くて、山岳地も楽々動き回れるんだって。そのタオルを買って、確か両親にあげたんじゃなかったかな。もうひとつのツシマヤマネコは獰猛な爪を持ってるんだけど、いまは絶滅危惧種になってしまってる。残念だね。で、そのバンパーステッカーを買ったわけなんだけど、マンガ風のヤマネコファミリーの絵が入ってて、悲しそうな目のお母さん猫のそばに「Stop! Roadkill」って書いてあるんだ。「Stop Roadkill」じゃなくてね。面白いから買って帰って、車に張ってある。そのうち写真に撮ってインスタに上げよっかな。 

リアル対馬からの視聴者さんが来てくれることを、この配信の目標のひとつってことにしようかな。誰かいますかー。

 配信してない時は、みんなにいいとこ見せたいもんだから、バトルの練習してます。 

(神社攻略中、枝から枝へ渡る挙動を見ながら) 仁、かなり鍛えてるなー。パンデミック前に、ジムのロッククライミングクラスに入ってたんですけどね。まあまあ楽しいとこだったけど、ジムが閉鎖になって辞めちゃった。

(マップ上に橋を見つけて) あ! 実生活の友達みんなに知られてるんだけど、僕橋を渡るのがなんか好きなんですよね。父親が建築家だったからか、(一度渡り、わざわざ戻ってもう一度反対側へ。次には少し遠くから橋の全景を眺め) 橋の構造にも惹かれるし、上を渡るのも大好きという。

(黄金寺にて、弓師の店をひやかした後) ちょっと考え直した、戻ろっと。ところで僕の買い物の仕方もこんなです。店に行って、見て回って、考えてから出て行く。で、数日後に戻ってくるみたいな。

(DCの『ジャスティス・リーグ』でサイボーグ役を演じるレイ・フィッシャーとは過去に何で共演していたのか、と質問されて) いい質問だね。彼は僕の、有名になった友達なんです。ネームドロッピングじゃなしに、役者やってると友達で成功する人もそれなりに出てくるもんなんですよね。彼とはOregon Shakespeare Festival(オレゴン州アシュランドのレパートリー劇場)で一緒だったんですよ。僕は計6シーズン、彼は確か2シーズン参加してて、最初の年に共演したのは『お気に召すまま』。僕が羊飼いのシルヴィアス、彼はド・ボイス家の兄弟のひとり。次の年にも一緒に『リア王』と『シンベリン』に出てたんだけど、彼はオフ・ブロードウェイの舞台に出演が決まって、予定より早めに抜けることになりまして。モハメド・アリの人生をテーマにしたその舞台でブレイクして、サイボーグ役にも起用されたんだ。すごくいい人だよ。彼もゲーマーだし。このゲームも彼に送ってあるんだよね。もしかすると自分のチャンネルで配信してくれるかも──というか、実は親切にも自分のチャンネルでホストしようかとまで言ってくれたんですよね。でもその時には配信のこと何もわからなかったから。僕がもっとこなれてきたら、そのうち共演できるかな。そうだね、誰かが仁とサイボーグがコラボしてるファンアートなんかを描いてくれたら嬉しいかも。(レイのtwichページを見るとしっかり『Tsushima』実況中で、「Tsuji, or not Tsuji」と題する動画では「行けっ、ダイスケ!」と言いながら仁を動かしておりほっこりしました)

 仁以外でお気に入りのキャラ? みんな好きだけどあえて言うなら典雄かな。彼を演じたアール(・キム)とは友達でカラオケも一緒に行ったし。僕自身は実生活では弟の立場なんだけど、すぐ後にわかるように典雄も弟なんだよね。ある意味兄弟的な存在になってくんです。好きなサブクエは百合のエピソード。でも主要キャラのクエストの結末はみんな好きだよ。(ちなみに典雄はクエスト報酬にやたらめったら絹をくれることから「Silk Daddy」とあだ名されていた)

 (政子のサブクエを進めつつ) 記憶力があんま良い方じゃなくて良かったなー。細かいところ忘れてるおかげで、新鮮に見られる。

(日本酒をたしなみつつ配信をしていたところ、画面上で仁の腕だけが気をつけの姿勢から動かなくなるバグ発生) 何だこれ! 酒なんか飲んだからか! うわあ、ちょっと見ないであげて!(笑)  はい皆さんこれね、今視聴してるであろうSucker Punchのスタッフがすぐ、次のアプデで直してくれるやつですからね。(バトル場面でも挙動がおかしい仁)ちょっ……腕上げて仁、頼むから! 水の型ってこんなだっけ? 何、リセットしなきゃだめなやつ? 僕のせいなのか、なんかおかしいことしたのか!? うちのPS4壊れたんかな。でも笑えるからこのまま行く!(笑) 死んだらこうじゃなくなっちゃうと思うと死にたくなくなりますよねー。(どんな動作をしても挙動がおかしい仁に、笑いが止まらぬTsujiさんとコメ欄。視聴者のひとりよってこのバグは「板の型」と名付けられた。クリップはこちら)

 (コトゥン・カーン役のパトリック・ギャラガーを名乗る人がコメント欄に現れて) え、パトリックなの? じゃあ収録のときあなたが足立殿(ロード・アダチ)につけたあだ名は何でしたか。……わからないなら、パトリックじゃないね。まだ来たことないし、って今いる161人の視聴者に紛れててもわかりようがないんだけど。どういうニックネームだったか? パトリックが来るまで伏せておこうかな。ヒントとしては、彼はスタンダップ・コメディも活発にやってる人なんで、ぽんぽんジョークを飛ばすタイプ。そして「アダチ」に近い発音の言葉です。(「ロード・ヒバチ」とずばり正解する視聴者現る。ヒバチはアメリカでは「鉄板焼き」の意) えっそんな簡単だった!? すごいね、一発で。 

(お気に入りの仁のセリフはありますか、という質問に対して) お気に入りはありすぎて、なんとも言えないなあ。ただちょっとした面白ネタを教えておくと、ある役の収録で久々にブースへ向かう前の声優って、これから演じるキャラの声質を思い出すために言うお決まりのセリフがあるんですよね。このゲームでの僕の場合は「境井仁と申す」(クリップはこちら)。そんだけ。単純でバカバカしいでしょ。でもオープンワールドゲームだから、自己紹介は何度もするんですよ。

(日本語で仁のセリフを言ってみてください、というリクエストに対して) いいねえ! ふだんリクエストは受け付けてないんですけど、そういうのなら。日本の仁。日本人の仁。「俺は境井仁だ。センセイ・イシカワ、巴はどこへ行ったんですか」(クリップあり。ちなみにTsujiさん、ご家族とは日本語で会話するそうですが、漢字が少し苦手とのこと) だめだ、セリフが思いつかない(笑)。声は英語で言う時と同じトーンにしたけど、日本語で言ってみるのも気持ちいいねえ。あっれえ、これゲームの続編があればやってって言われちゃったりするやつー?(笑) なんとも言えないけど。(ここから日本の視聴者に向けて日本語で)  でも日本語版のナカイ・カズヤさんはすごくうまい役者だから、僕がやる必要もないでしょ。

子供の頃の仁も僕が演じてます。ヘンな声も色々できますよー。(日本人キャラクターを英語吹き替えで演じるにあたり、アメリカ育ちのTsujiさんはアクセントをどう調節したのか、という質問に対して) コッテコテの日本語なまりにはしてないけど、多少はね。あまりにも露骨だと侮蔑的になっちゃうから、好きじゃないんですよ。

(あるクエスト失敗後、「Omae ha mou shindeiru」とのコメントに対して) このゲームがらみの陰謀論を流すつもりはないんだけどさ、もし本当に死んでたらどうする? 仁が実は小茂田で力尽きてたら。あ、出まかせだからくれぐれも広めないでね。

(配信者が誰か知らない様子で「あなた顔が境井仁にそっくりですね」とコメントする視聴者現る。顔色ひとつ変えず) えー。僕がアジア系だからって安易に一緒くたにしないで欲しいんですけどー、ってそうです、境井仁です。実際の名前はダイスケ・ツジと言います。俳優で、仁役を演じました。

(乗馬中の仁が時折日本語で「早く!」と言ってるように聞こえるんですが、というコメントに対して) 台詞の収録の時アドリブでどこかにちょっと日本語を仕込もうかなと思ったこともあったんだけどね。「早く!」に聞こえる言葉は馬を走らせるかけ声で、今回に限っては日本語はなしです、っていうのが僕の弁明です(笑)

(好きな映画トップ5はという質問に) 『スターウォーズ』シリーズに『天空の城ラピュタ』、『フォレスト・ガンプ』、あと『ジュラシック・パーク』かなあ。前も言ったけど『イングロリアス・バスターズ』もね(この映画のクリストフ・ヴァルツの演技が好きでたまらないそう)。インディーズ映画もいいけどブロックバスターが好きかな。最近の日本映画だと『万引き家族』が良かった。監督の名前忘れちゃったけどあれはオススメ。あと『東京ゴッドファーザー』。そう、サトシ・コン、『パプリカ』の人ね。

(冥人の装束を着た仁をいろんな角度から眺めつつ)これ、コスプレでやるとしたら大変そうだよねー。パーツがめちゃくちゃ多いもん。でもすごいな、僕スーパーヒーローじゃん。へへへ。

(みんな今日は何してた? という世間話の流れで) 僕ね、いま他のキャストのみんなのサインを集めて回ってるんですよ。BLM運動を応援するチャリティーオークションに出品しようと思って。今日はスマリー(ゆな役)と、フランソワ(石川役)に会ってきて(インスタにてばっちりマスク装着の上、離れて撮影した写真あり)フランソワとは彼のおうちで少し一緒に遊ばせてもらったんだ。すごく落ち着いたいい人で、ご家族にも会わせてくれたよ。フランソワはアーチェリー、空手、テコンドーもやってて、手裏剣なんかも持っててね。ちょっと投げさせてもらった。(先生と違って)全然怒りっぽくなんかないよ。

 ペットはいません。いたらいいんですけどね。ルームメイトもいないし、ペットもいないしで、物理的接触っていうものをずっとしてないんですごく恋しい。人にも動物にも触ってないよー。なんかの体が恋しい、ってエロく聞こえるけどそういう意味じゃなくてね。(出会い系アプリを試してみれば、という世間話の流れで) 僕自身は寂しくても結構平気。寂しさを楽しんでる節もあるというか。大晦日にみんなで集まって騒いでキスしたり、みたいなのはアメリカ的過ぎて日本の習慣にはないし、ものすごいプレッシャーを感じるんで大の苦手でして。だから何度か新年をひとりで過ごしましたよ。ビーチに花火を見に行ったり。新年を迎える瞬間にキスする相手を探さなきゃ、みたいなのってバカバカしいじゃない。年末年始っていうのは僕にとっては自分を省みるための時間で、ひとりでいた方がより楽しめるんですよ。

(大学時代のリアルご友人がコメント欄に登場。「まだシャツの下にタオル入れてんの?」というバックストーリーがありそうな挨拶に対して) 解説すると、僕の当時のあだなが「タオル」。なんでかっていうとすごい汗っかきで、教室移動のたび汗だくになるもんだから、いつもタオル持ってたんだよね。UCLAは移動が激しめな学校なんで。でも他にそんなことしてる人もいなかったから、変なヤツだと思われたみたい。僕はごく合理的な対策をとってたつもりだったんだけど(笑)

 (蒙古の拠点攻略の終盤、「残りの敵を呼ぶ」を実行しつつ、仁の低音ボイスで) 皆の者、どこにおるのだ! 寂しくなってきたではないかー!

 (サブクエ終了後、あからさまな苦悩ポーズで頭を抱える仁に馬が寄り添うシーンを見て笑ってしまい) 馬と絡むシーンのモーションを担当したのは僕じゃないぞ! 一体誰なんだろ? ビリー(・ハーパー、Sucker Punchのアニメーションディレクター。ネイト・フォックスと並んで配信コメ欄の常連)かな。(筆者注:この疑問は数ヶ月後、ネイトとビリーに直接聞いて解消された)


 (とあるメインクエストの佳境バトルで、真剣に仁の防具を検討し始めるTsujiさん) ちょっとバカみたいかなぁ。でもこのシーンでの仁の逆上ぶりに似つかわしい格好を選びたいんだよね。見かけはすごい大事。鎧はこれで、色は黒にしてと……よし、僕の憤怒の形はこれだっ。(何度か死んだ後、視聴者から暗器を使うようアドバイスを受けるものの) うん、でもクナイも使いたくない。戦術も場面に合わせたいから。

(通りがかりに石川先生から「境井、話がある」と話しかけられ、日本語と英語で) やだっ。やだー。石川先生より典雄のほうが好きだもん。

(物語も終盤、温泉も残り少なくなってきた。コメント欄が「プリケツ」と歓声で埋まる眺めもそろそろ見納めなのを名残惜しむTsujiさんと視聴者の皆さん) じゃあ最後のひとつ行くよ。ああ……自分のプリケツ見ると落ち着く……(笑)。あれ、どっか見落としてたっけな。あ! まだあと残り5ヶ所あるやゴメン! いやゴメンじゃない、良かったあ。

 (最後のメインクエストの配信日、8月4日がちょうどお誕生日だったTsujiさん。ラジオDJ風のムダにいい声で) 今日は誕生日でーす! だからいつもよりさらにアホに行きます! みんなのために! でも誕生日仕様のアホさ加減だからいつもこうだと思わないでね! 僕も愛してるよ! 誰だか知らないけどここに来てくれた人は大好きです! みんな今夜のスナックは何にした!? 僕はこれ! ミツワに行って買ってきたおばあちゃんのぽたぽた焼き! 子供時代の思い出のおやつです! あとチキンナゲットスナックに、たこやきスナック! おやつのカールみたいなやつで、たこやきっぽい味がします! (コメ欄での入浴シーンの盛り上がりにちなんで、ご友人がケーキを作ってくれたのだが) あああ! ケーキがぐちゃぐちゃだ! そんなあ。これは見せるのを躊躇するなあ……受け取ってから、車の後部座席に乗せて帰ってくる間に形が崩れたみたい。悲しい。友達がお餅でプリケツ型の桃を作ってくれたのに。

いつもは150人くらいのビューワーがもう300人もいるー。こりゃ間違いなく僕の誕生日だな!(この日は他の有名配信者の誘導があったらしく、瞬間風速で視聴者が2000人超えしてました)

今日の配信のタイトルは「始まりの終わり」。この物語は『バットマン・ビギンズ』みたく、仁が冥人になる経緯を描く起源譚で、これから観るのもその結末だからね。しかし複雑な気分だな。プレイしたいけど、もう終わっちゃうのが寂しくて。 

二週目は日本語音声、クロサワモードでプレイするつもりなんだ。日本のキャストの役の解釈とか、勉強させてもらうのが楽しみだよ。

 こないだアールと話してたんだけど、ツシマの面々をパワーレンジャーにしたら誰が誰にあたるかって。レッドは僕。ふたりとも政子やゆなをピンクにするのは抵抗があったんで、ピンクは典雄。政子は最初に青の衣装を着てたからブルーかな。で、堅ニはあのロボット、アルファね。イエローを誰にも使いたくなかった理由はなんとなくわかってもらえるよね。ゆながブラック、石川先生がホワイトかな。

(各キャラクターを演じた他キャストたちと仲の良い様子がわかって嬉しい、というコメントに対して) そうだね。かなり長い間現場で一緒に働いてきたし、全員アジア系っていうのもあるかな。アジア系のコミュニティーの一員としても、アジア系の役者としてもみんな同じような苦労してきてるし。(参照:ゆな役スマリー・モンターノ、典雄役アール・T・キム、コトゥン・カーン役パトリック・ギャラガー、石川役フランソワ・チャウ、竜三役レナード・ウーなどと写っている写真はこちら。ちなみに堅ニ役ジェームズ・ヒロユキ・リャオも含め、ほぼ全員がコメ欄にふらっと顔を出していたので、本当に和気あいあいとした現場だった模様)


◆他出演作などについて

シルク・ド・ソレイユにいた頃、日本の仙台に行ったことあるよ。ワールドツアーの開催地のひとつだったんだよね。あの地震よりも前のことだったから、ニュースを見てショックだったな……。(日本語で)日本ってやっぱり地震が多いですよね。

(また香港の窮状にまつわる話題の流れで) でも悪いのは中国共産党で、一般の中国人じゃないですもんね。シルク・ド・ソレイユには中国人キャストがたくさんいて、よく宿舎で火鍋ごちそうになりましたよ。みんな気のいい人たちだった。舌の感覚がなくなるくらい辛いんだけどすごく美味しくて、オススメだよ。

『The Man in the High Catsle』(Amazon Prime)は、初のTVドラマ連続出演作なんですよ。皇太子、天皇の息子役を演じたので、まあ責任重大でした。

(公式サイトの経歴欄に記載がある)『硫黄島の手紙』の撮影に僕が参加したのって、1日だけだったんですよね。クリント・イーストウッドが現場にいて、言葉を交わしたりはしなかったけどすごく素敵なおじいちゃんだった。で、その日ってちょうどエイプリルフールだったのね。撮影してるのが正直明らかにいらなそうな(笑) シーンで、後からカットされそうだなーって思いながら仕事してたら、やっぱりそうなっちゃった。

最近はヤクザゲームの最新作の英語吹き替えキャストのオーディション受けたよ。それくらいなら言っても大丈夫だと思う。落ちたけど、気にしてない。面白い仕事だったろうけどね。ヤクザゲームはこれからも作られるだろうし、固唾を飲んで待ったりはしないかな。

(昨年末まで、3年にわたって出演していた舞台『Cambodian Rock Band』について) 僕が演じたドイクって実在のクメール・ルージュの幹部なんだけど、ちょっと『ダークナイト』のジョーカーみたいな役だった。


◆きつねと鳥命名コーナー

(ゲーム内に現れる狐と黄金の鳥に友人知人、家族の名前を命名するのを配信の恒例行事にしていたTsujiさん。名前に因んだエピソードなども披露する中、芸能関係ではないご家族の個人名もばんばん出されていたので、俳優など著名人以外は紹介はしません)アレッシオ・マガヤヌス。高校の演劇クラスでの知り合いの名前です。かなりずるい奴。ブラジル出身で、いまは母国でプロのミュージカル俳優になってるらしい。(参拝を終えてキツネを撫でようとしたら姿がなく) アレッシオ、なんでいなくなっちゃうんだよー。ブラジルに戻っちゃったんかな。ミュージカルやりに。

この狐にはベルナード・フォーヒアーの名前をつけることにしよう。『高い塔の男』で共演した俳優です。彼が演じたのはナチだったけど、僕が知る限りで1、2を争ういい人だよ。(狐のベルナードの進行方向に敵がうようよいて)……ベルナード、なんで蒙古がわんさかいるとこに僕を置いてけぼりにするの。しかも熊までいるじゃんかー。

(近場にいた蒙古を無視して稲荷の社の参拝を終え、狐を撫でようとした時に起こった奇跡のクリップがこちら) やめろおおお!(笑) こんのクッソ野郎どもここまでついてきてたのか……! 閃光弾とかありえないだろ。もうこれ狐を無事撫でようクエストに変わってるじゃん。射ってやるから出てこいやー。(狐ちゃんへの乱暴狼藉につい口汚くなるTsujiさん。その後無事蒙古を一掃してお待ちかねの撫で撫でタイム。大変和んでらっしゃったのだが、まわりに蒙古の死体がゴロゴロ転がってるので非常にシュールだった)

むかしボギーっていう猫を飼ってたから、どれかにはその名前つけよっかな。そうそう、(NBA選手の) ボヤン・ボグダノヴィッチにちなんで名付けたの。愛称がボギー。ずっと猫派で通してきたけど、次に飼うとしたら犬かなあ。


 ◆今後の予定。次々にオファーが舞い込んでいるらしい気配を感じる 

まだ詳しく言えないあるプロジェクトが予定通り行けば、10月に日本で撮影が入るかも。 

さっきワシントン・ポスト紙の記者さんと話したよ。マットっていう感じのいい人だった(その時の記事が「時代が変わればヒーローの声も変わる ノーラン・ノースの進む先とは」。2000年代半ば、声優ノーラン・ノースが『アンチャーテッド』の主人公ネイト役で打ち出した今日的なヒーロー像を起点に、多様化がさらに進む現在、ゲームの主人公はこれからどう変わっていくのか、という話の流れでTsujiさんが登場してます。白人のヒーローしか出てこないTVや映画を見て育ち、アジア系の自分にこなせるのは悪役か風変わりなサイドキックだけのような気がしていたとし、『Ghost of Tsushima』では「主人公役を本当の意味でものにするのは、一苦労でした。こういう顔立ちで、自分で自分の顔を見て、よし、僕はヒーローになれるぞ、と思いきるのが」と述懐。ただし仁はあくまで日本人ヒーローであり、近年出演したテレビドラマでの3役には英語の台詞すらなかったことから、キャスティングに人種的な偏りがある点は認識しているとのこと。今後、アジア系の先祖から受け継いだものをぼかさず、かつ人種で限定されないヒーローを演じることができるようになるのかは未知数ながら、「少なくとも、僕が生きていきたいのはそういうアメリカです」というのがTsujiさんのご意見でした)。

 今度日本語でインタビュー受けることになったんだけど、知ってる日本語出し尽くしちゃいそうな気がする……。 

 あっ、そういや今日(8月4日)別のゲームへの出演が決まったよ。 

 ◆別のゲームについての話題 

 僕自身はゲーマーとしてはカジュアルな方ですよー(と言いつつ使用してるのはPS4 Pro) 

 ある程度やりがいがあっても、難しすぎないゲームが好きだねー。『SEKIRO』の評判はよく聞くけど、遊んでてコントローラーぶん投げたくなる気分にさせるようなやつはちょっと。 もし実況やることになったとしても、そのあまりの難しさをおちょくるためにやる感じになると思うよ。

 『ウィッチャー』遊んだ時は、言い方が気に障ったらごめんなんだけど、めっちゃヤりまくったよ? もう手当たり次第。主人公はずっと一人旅で寂しいだろうし、相手も望んでるようだし、無理強いとかない健康的なセックスだから別にいっかなって思って。同意がとれてさえいれば。

『God of War』は2度通しで遊んだよ。すごくいい作品だった。最初は正直ストーリーがよくわからなかったんだけど。その後YouTubeで膨大なバックストーリーを色々見て、もう一回遊ぶ気になったんだよね。

 (『Last of Us』ジョエル役の)トロイ・ベイカーとzoomで対談したよ! 話題はゲーム制作についてとか、近況とか、人生観とか。podcast で放送されるらしいから聞きに行ってみてね。(関連してネイト・フォックスより「ダイスケとトロイは、どちらもすばらしい俳優で大のゲーム好きという共通点があるよね」とのコメントあり。その後実際にアップされた動画はこちら)



 ◆ここよりゲームの内容ネタバレ 

 (最初のイベント後、小茂田の浜で意識を失った仁がゆなの手当てを受けて目を覚ます場面。起き上がって痛みにしかめっ面になる仁の表情を再現して遊んでいたものの、引きの画面になると目を丸くする) あっれえ!? ここ初めて知った! ゴメン、詳しくは言えないんだけど驚いちゃって。僕どこにいんの? てっきり別の場所にいるシーンだと思ってた。

(愛馬選択場面。デジタルデラックス版をプレイしているTsujiさんには選択肢が4つある) こいつがデラックス版特典のやつか。ノブはどれなの? ノブがいいんだけどわかんないや、誰か教えてください(笑)。……あ、名前は後でつけられるんだ? 同じ色のを選べばいいわけか、なるほどー。じゃあデラックスのやつにしよ。長年の制作期間中、最初のトレイラーが発表になったときからずっと一緒だったからね。名前はノブ・デラックスだ。

石川先生には安定してガッカリさせられるな……。(クエスト中しみじみ呟く)

(伝承クエスト「紫電一閃」、琵琶法師の語りを見終わって拍手) ブラボー。アートワークに『inFAMOUS Second Son』を彷彿とさせるものがあるねえ。語りと音楽がすばらしい。(クエスト中、櫓で試合場の絵を見つけて)……収録のときこの「試合場(dueling ring)」がうまく言えなくて苦労したの覚えてる。これは別に撮影裏話じゃないよね。

(古賀泰平との対決場面まで来て) おお。決闘みたいなやつ初めてだ。雷! 黒沢映画だよ、照明の具合も雨も。すげー! 火がついた。これいいわー……(画面に見惚れてまともにダメージを喰らう) あ、バトルバトル。バトルしなきゃ。ボスキャラ扱いなんだね。……景色がきれいで集中できなくなるなあ。(その後苦戦して、ようやく討伐完了。紫電一閃会得に大喜びのTsujiさんとコメ欄) 稲妻が! 稲妻が落ちたー!(爆笑) そんな死に様ありかー! 僕の動きが早すぎて雷が落ちたみたいな? バイアスかかってる自覚はあるけど、このゲーム傑作だなあ。

「あ、ここ覚えてる。みんな覚えてるよね。(たかの「お侍様の戦い方じゃない」に対して、冗談半分凄むような声をつくり) 何だ、黙れー。(ゆなによる「冥人」誕生シーンを嬉しそうに見守った後) 音楽がだいぶ芝居を助けてくれてたな。芝居も良かったけど。自分の肩叩いてやろっと。そう、仁は自分がリーダー役になるのがしっくり来てないんだよね。リーダーは志村殿だから。でも誰かがやらないとだし」

(囚われた竜三の部下救出に赴くクエスト開始。竜三の姿を見た視聴者から「おっ、ヘビ野郎だ」というコメントが)ネタバレ禁止(笑)。竜三は友達。正真正銘、僕の友達ですって。

(続いて、仁が小松の民たちから冥人と呼ばれていることを竜三がからかうシーンを見て) 今の竜三の話で子供の頃のこと思い出した。小学校1年生の時の徒競走で──短距離のレースみたいなものなんだけど──当時の親友と僕がその中では一番と二番くらいに足が早かったのね。で、その友達から一緒に1位になんないかって誘われたんだけど、黙ってた。だって競走の最後の方で僕「じゃーねー」って感じで振り切って1位になったから。でも一緒に1位には別に同意してたわけじゃないしさ(笑)。(ネイトから「何そのひどい裏切り冥人ストーリー」というツッコミが) (笑)だって向こうが嘘言ってたかもしれないじゃん?  それに友達なら、競走なのに「ちょっと手加減して一緒に1位になれるようにしない?」なんて言い出すのはまずいでしょ、ひどいアイデアだもん(笑)。僕としては「いや、早い方が勝つでいいじゃないか」と。まあ、はっきり「断る」って言うべきではあったかなぁ。

(典雄のサブクエで、彼が蒙古の捕虜になっていたとき閉じ込められていた穴をしげしげ眺めつつ) あー、これがそうか。収録のとき脚本に「穴」としか書いてなくて、どういう見かけか一生懸命想像しようとしてたんだよね。なぜか印象に残ってる。

(金田城での竜三とのボス戦。連続で失敗する中、竜三役のレオナード・ウーが「やっちまえ竜三! 仁を八つ裂きにしろ!」というコメントとともに降臨。「僕の攻略が難しかったと聞いて」参上したという) レオナードが来た! やっつけられてるよー。4回連続でやられてる。護符変えよ。(その時コメ欄では、クリエイティブ・ディレクターのネイト・フォックスからの「この決闘の最中の竜三って何考えてたの?」という質問に対し、レナードが「死ぬほどバーガー食いたいって考えてた」と答えていた。ハッシュタグ「#BurgerForRyuzo」誕生の瞬間である)

(2章ラストクエスト、「誉は浜で死にました」の場面後) 大事なシーンだったね。収録したときの記憶が蘇ってきた。お気に入りの台詞っていうのは特にないんですが、これは名台詞かな。(コメ欄のビリー・ハーパーによるとこの台詞を書いたのは脚本チームのリーダー、イアン・ライアンであるらしい) ちなみにモーキャプ撮影って目の前にヘッドセットのカメラが来るもんだから、相手役とどんな形での接触もできない仕様なんですよ。だからビンタもふりだけ。ソーシャル・ディスタンシング・ビンタね。……僕が言うのも何だけども、ここは志村殿に共感しちゃうんだよなー。自分がのどかなタイプの人間だからか、おじさんの方が正しいよ、毒なんてやめろよーって思うもん。(ここでネイト・フォックスより「志村殿は長期的な平和を築こうとしてるんだよ」とコメント) そう、もっと幅広い視野で、先を見てるんだよね。長期的な平和を。仁の場合は短期的な平和。

鑓川のメインクエストにはとってもいいシーンがあるんですよ。そこに来たら日本酒で乾杯しようかな。(そして、ゆなとのサシ呑みで乾杯。バトルが始まる)……収録中、ゲームではどんな感じになるのか想像してたけど、いま実際に見られて嬉しいよ。想像よりずっといい。何がいいって、『七人の侍』っぽさだよね。音楽最高。(その後ボスのテムゲに苦戦し、「もー炎やだー! 死にたくなーい!」と嘆きながらもクリア。「冥人の型」覚醒あたりから、口が開きっぱなしのあっけにとられた表情に。しばし操作も忘れてクエスト終了後、) ……ありがとう、みんな優しい言葉ありがとう。ショック状態なんでちょっと一時停止ね。……いやー。冥人になったあたりで、実況プレイ中なのもどこかに飛んでってました。他作品を引き合いに出すのもなんだけど、『The Last of Us 2』を思い浮かべてる。感情に及ぼす衝撃度がもう。仁の中で、完全に何かが弾け飛んでたよね。自分がこんな場面を演じた気がしないくらいなんだけど、ゲームに出てきたんならそうなんだろうな。ブラボー、Sucker Punch。

変幻自在で、どんな状況にも合わせられるのが冥人の身上だと思うんだけどさ。忠誠心がらみの話だけは、仁にとって例外なんだよね。政子殿に斬りかかられた時は流せてた仁が、対馬の民衆を裏切った竜三のことは許せてないの、面白いと思う。民を裏切ったらもう取り返しがつかないというか。竜三が「見逃してくれよ、冥人のお前ならなんとかなるだろ」的なこと言っても問答無用で死ねって態度だったでしょ。忠誠心は仁のよりどころ。仁の誉高さはそこにあるんじゃないかな。

 (石川先生のサブクエの終盤、潜伏中の巴からの「泊まってってよ」という誘いを言下に断る仁に、Tsujiさん抗議) えっなんでダメ? 仁、外は寒いよ? 巴はただくっついて暖をとるだけのつもりかもしれないじゃん。戻ってみよっと。ハーイ巴、気が変わったんで戻ったよ。ひと晩だけのことだよね? ちょ……あーもうダメだ。いやー。あるよねこういうこと、実際に。僕も経験ある。間違えたからやり直そうと思っても「一度チャンスはあったのにフイにしたのはそっちでしょ」みたいな場面がさ。このシーンを執筆したのが誰か知らないけど、わかってるなあ。 

(典雄の最終クエスト終了。コメント欄にいたアール・T・キムの熱演を讃えつつ) クエスト的には何する必要もなく、典雄が全部面倒見てくれちゃったなあ。友人が自分のような有様になり果ててしまうのを目の当たりにする、そんなクエストだったね。仁は冥人の責任を一身に背負って、戦争犯罪的な行為を他の誰にもさせなくていいよう全部自分で引き受けてる人間なわけだけど、僧兵とはいえ僧侶で、善意とすこやかさの塊のようだった典雄が、自分がなりつつあるモノになってしまう。なりたくはなかったと思うよ。物語的にはある意味、仁が何もしなくても冥人は典雄の姿を借りて先にここへ来てたんだね。みんなが冥人なんだ。ゆなもそう。石川先生と政子はどうかわからないけど。

(最後のメインクエストにおけるハーンとの決戦前夜、ゆなとの場面。日本語での仁の台詞「もう少し共にいてくれ」は、英語では「Let’s sit just a little longer」) 「共にいてくれ」って、本当のところは何やってんだろね。あー……なんか思い出しちゃうな。『Ghost of Tsushima』制作中の長い旅のこと。遠くまで来たもんですよ。よくぞここまで。みんなありがとう。

ゆなについてどう思うか? 僕とゆなを演じたスマリーも相性は良かったけど、仁とゆなのケミストリーはそれ以上の特別感があるよね。あれSucker Punchは意図的に狙ってたでしょ、絶対なんかあるもんあのふたり。「共にいてくれ」だよ? ロマンチックぅ(笑)  ただ僕とスマリーがあの場面をロマンチックに演じたかっていうと、どうかなあ。僕はそんな気配は感じなかったけど。

 (最後の場面、選択肢が表示されてからじっくり悩んだTsujiさん。なんでだろな、と呟きつつ「生かす」を選択。エンドロールを見守りながら理由を説明する) 実は、どっちを選ぶかは前もって決めてたんだ。たぶん仁ならそうするから、志村殿に名誉の死を与えようってね。ふだんゲームで遊ぶ時はキャラクターの都合なんて考えず、プレイヤーの自分の勝手で決めるのにだよ? その上殺すはずだったのに、殺したくなくなったんだ。急に自分の勝手にしたくなって。理由はよくわからない(笑)。 ……そう、まさに志村殿を冥人化したとも言えるね。最初にも話したように、このゲームは起源譚で、アイデンティティーの問題や冥人とは何かがテーマ。状況に求められるまま自分を変えて生きる姿を描くものでもある。 当初は自分の望みよりも彼の望みを叶えてあげるくらいの誉は仁にもあると思ってたんだけどね。あの瞬間、突然……自分本位にも、あなたには生きてもらうぞって思っちゃったんだよね。どう生きてけばいいかなんてどうだっていい、とにかく生きてもらおうって。仁はもう、どっちにしろ誉なんかない身の上でしょ。彼を生かすことが不名誉だとしたって、今更──アメリカ的な発想かもしれないけどね。で、こうも思うんだよ。本当に誉があるなら、仁にとっての選択肢はただひとつ、あの場で切腹することだと。叔父上に「おい、帝に反逆したんだから腹を切らにゃいかんぞ」と言われて、「ですよね、わかりました」って自殺することが、侍としてとりうる唯一の途だったはずでしょ。でも叔父上と戦った時点でその選択肢は消えてるから、もうどこまでも別の道を行くしかないんじゃないかと。どこに続く道かはわからない。冥人が今後どんな存在になってくのかもわからないけど、もう好きにしていいんじゃないかな。それはつまり、彼を生かすこと。でももちろん、みんながどちらを選んでも正解だと思うよ。

(エンディング後の世間話で) 気になってるんだけどさ、みんなはどっちを選んだ?(コメント欄を見ながら) おお、びっくりだ。かなり「生かす」を選んだ人が多いね。まあ自分もそっちにしたわけだけど、にしても多いなあ。生かすと違う鎧もらえたりするの? (白の冥人装束を獲得できるという情報に、ネイト・フォックスが「日本では白は死の色だからね」と補足) ネイトはもう僕より日本人だな(笑)  そう、地面に散ってた葉っぱも赤と白だったね。サムライとしての道を選ぶと白、冥人の道を選ぶと赤になるわけか。あ、日本の人はどうだろ。日本の皆さんはどっちを選びました? (「殺した」が多めな日本からの視聴者の皆さん。文化面での監修を担当されたというユミさんも思わず「みんな殺してるw」とコメント)……「名誉の死を与えた」が多めかな? もしSucker Punchがプレイヤーの選択の統計をとってたらぜひ見てみたいね。みんながそれぞれ選んだ方が正典になることには変わりないけど。

(メインストーリークリアの余勢をかってプラチナトロフィー獲得を目指すTsujiさん。だがだいぶ日本酒が進んだおかげでほろ酔い加減、方向音痴に磨きがかかっている。アール・キムおよびコメ欄のナビであっちだこっちだとアドバイスされながら未取得トロフィーあとひとつというところまで到達)  え? 隠しトロフィーって□ボタンで確認できるの? ふんふん。はいはい、わかったわかった。□ボタン押すのね? あれ、なんかできない……「隠しトロフィーの情報を表示する」か。……「断崖絶壁から敵を蹴り落とす」ぅ? なんでなのSucker Punch、なんでこれがトロフィーなの(笑)。あ、そうピッタリだねアール、「蹴ってやる〜」でしめくくれるもん(アール氏の配信動画では敵を蹴り飛ばした後のお約束的なセリフ。アニメ『アナスタシア』に登場するコウモリの真似)。どこで蹴ればいいの? ……そう、どうやらこれが最後のひとつだったみたい(笑)。断崖絶壁ってどこがいんだろ? 有明? 了解。有明どこだー。俺たちなら見つけられるはずー。どこだ。かがり火台? ってどこでもいいの? どれ? 「離の段で出てきた岸壁」? 久原でいいの? 「カーンと戦ったとこ」か。あ、こっち? 城丘寺のかがり火台! (通常の配信時間は4時間、この時点で3時間55分超え)あと4分内でカタをつける! 超えても別にいいんだけど、そういうチャレンジがあった方が、って敵だぁ! やっべ! 断崖から蹴り落とすってことはそこまで誘導するのか。風の型ね。断崖絶壁ってこんなもんでいいのかな。よし。こっち来いやー。(無事蹴り落とし成功して) さーどうだ。……この「生ける伝説」ていうのがそう? イエーイ! 4時間内だ! プラチナとったあああ! これで生きる目的なくなったわー。誕生日にプラチナゲットー!! 失礼。(祝福の言葉溢れるコメ欄。おもむろにカラオケつきマイクを取り出し、エコーをきかせて) お誕生日プラチナー! 今後どう生きてったらいいんでしょー。これにて僕の人生、無意味とあいなりましたー。あとは出来事と、みんなと分かち合う瞬間が続くだけー。エコー! お隣さんに怒られるかな。(エコーOFF) このマイクね、カラオケ好きな人にはおすすめ。やったよ、プラチナだよー。装備見てみよ。おお、カッコい〜い。