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環境問題を理解する: 土壌環境と地盤沈下

さあ、火曜日だ。
火曜日は環境問題について書く日だ。
この「環境問題シリーズ」にはボクの考えが入る余地はない。ただひたすら事実を正確に書くことを目指しているが、将来的に新しい考え方や技術が導入され、ここに書いたことは古くなっていくことをご理解いただきたい。

ここまで、空、海について書いたので、今日は土壌に関係する問題について書いていこう。


土壌汚染問題

大気や海洋に比べて、土壌の汚染は移動性は低いが、一度汚染されてしまうと拡散(希釈)されにくいので汚染状態が長期化する場合が多い。そして土壌汚染は自然浄化が難しく、放置すると人の健康へ影響を及ぼし続けるので、汚染物質が土壌に排出されないよう抑制することが重要になる。

日本においては、水質汚濁防止法によって工業排水などの規制、および大気汚染防止法によってばい煙などの排出の規制がされている。そして土壌への直接的な汚染に関しては、「農地用の土壌の汚染防止に関する法律」および「土壌汚染対策法」によって対策がされている。

土壌汚染対策法では、有害物質(トリクロロエチレン・テトラクロロエチレン・ベンゼン・鉛化合物・フッ素化合物・ヒ素化合物・有機リン酸・重油・ガソリン、など)を使用していた施設が廃止された土地、そして一定面積以上の土地の形質変更を行うときに、土壌汚染調査を義務付けている。その調査によって土壌中に基準値を超える特定有害物質が検出された場合は、原則的に知事から土地所有者に対して汚染の除去を行うよう指示される。

最近でいうと、豊洲市場の移転問題がそれだ。
豊洲市場の場所は、以前にガス会社が石炭の乾留によるガス製造を行っていた場所だった。2001年に築地から移転するために土壌汚染対策法に従って土壌汚染および水質汚染の調査が行われた結果、基準値を超えるベンゼン、シアン化合物などが検出されたことにより、移転計画が中断することになった。そこから17年をかけて、中温加熱処理・水洗浄・掘削微生物処理などによる土壌浄化と、盛土などによる土壌の入れ替え、安全確認などの工程を経て、2018年に開業に漕ぎつけることができた。

地盤沈下問題

地盤沈下の多くは、地盤の比較的軟弱な地域において、粘土層に含まれている水分が何らかの要因(そのほとんどが人為的なものだが)で採取されたことにより、その粘土層が収縮することによって起きる。また水以外でも、天然ガス開発や土木工事、また地震などが原因で地盤沈下が発生した事例もある。

一度地盤沈下が起きてしまうと、その土地を元に戻すことはできない。そして、運が悪いと建造物やガス・水道管などの破損が発生する場合もあるので、その危険性は大きい。

地下水の採取規制に関しては、「工業用水法」によって工業用の井戸を許可制に、「建築物用地下水の採取の規制に関する法律」によって一定規模以上の建築物用井戸を許可制にしている。また各地方自治体ごとに地下水採取に関する条例が定められている場合も多い。

また、ピンポイントで地盤沈下被害の著しい濃尾平野、筑後・佐賀平野、関東平野北部の3地域については、政府によって「地盤沈下防止等対策要綱」が制定され、地下水の過剰採取の規制および代替水源の確保による地下水保全、地盤沈下による冠水被害の防止および冠水被害が発生した際の復旧など、地域特性に応じた総合的な対策を進めている。

(続きはまた来週)

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