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ガードナーの「自己革新」について学ぼう - ②創造性を豊かにするための教育

さあ、土曜日だ。
土曜日は、ガードナーの「自己革新」を読み解いていこうと思っている。
先週の記事の冒頭にも書いたが、これから書く一連の記事には、ボク自身のバイアスがかなりかかるだろうと思っていて、ガードナーが本来書いていたものと若干乖離するかもしれないことを予めお伝えしておく。

先週はなぜ革新(Renewal)が必要かというところを書いた。


革新とは単なる変化ではない

「私たちの先祖が自動車を発明したとき、彼らは交通規則を発明しなければならなかった。それぞれが、革新の一つの段階である。郊外の開発が混乱を招くのであれば、私たちは都市計画や都市行政のコンセプトを見直すべきなのだ。」

革新とは変化から生まれたものを、自分たちの目的に合わせていくプロセスだ。つまり継続的な革新をもたらすのは、一個人ではなく、そのシステム自身だ。

自己革新と教育

ガードナーが「自己革新」を書いたのは、今から60年も前のことだが、すでに詰め込み教育の危険性を説いていた。

現代の社会は変化を続けている。
そして、専門分野と呼ばれる仕事や学問も多岐にわたるようになった。
そんな環境の中で、(いくら専門的な知識を持っていたとしても)リーダーシップ、マネジメント、コミュニケーション、教育、育児、市民として果たすべき義務などの広い視点で社会に適応できない人は、自分自身の可能性を失ってしまう。そのためには多面的な能力のための教育を行う必要がある。ジェネラリスト(多角的な視点を持つ万能家)でありながら、スペシャリスト(特定な分野の知識や経験を持つ専門家)でもある人物を育てなければならないのだ。

にもかかわらず、現代の教育は、子供たちに早い段階から既成概念を急いで詰め込もうとする。本来はイノベーションの起こし方を教えなければならないのに、イノベーションの産物を詰め込んでいるのだ。

チャーリーはハツカネズミのアルジャーノンの変化を見て、自分が辿るであろう運命を知った。しかし、今の子供たちは自分たちの運命すら知らないまま大人になろうとしている。ボクたちが個人で社会のシステムを変えることはできないが、少なくとも自分自身と自分の子供たちには何らかの気づきを与えることはできるはずだ。

イノベーション

「イノベーションを起こした人」を考えるとき、どうしてもボクらはエジソンやライト兄弟、最近であればスティーブ・ジョブズやイーロン・マスクのような人物を思い浮かべるだろう。しかし、そういった歴史上に華々しい成果を残した人だけにフォーカスしてしまうと、革新のプロセスを理解することができない。イノベーションとは、何か世界を変えるような新しい考え方のプロダクトを発明するということだけでなく、ものごとに対する考え方やマインドを少しづつ変化させること、そしてその小さな変化が連鎖していくことによって起きるという側面も持っているのだ。

創造性の豊かな人の特徴

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