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ラブロマンスの名作『めぐり逢い』


音楽に注目して映画を観る


子供のころは、母が薦めてくれた『サウンド・オブ・ミュージック』の影響で、『雨に唄えば』『オズの魔法使い』『王様と私』などのミュージカル映画が大好きで、私の人生の源流にもなっています。ミュージカル映画だけではなくても、映画を観る時にはどうしても音楽に注目してしまいます。その一つが、デボラ・カー、ケーリー・グラントが主演を演じた名作『めぐり逢い』。1957年制作のアメリカ映画で、幾度となくリメイクされている作品です。

あらすじを少し
(ネタバレになる可能性もあるので、これから観る方はご注意を)


ニューヨークに向かう豪華客船の中。プレイボーイで有名なニッキーは、その船のデッキで歌手のテリーと出会います。2人の仲は徐々に深まっていき、船がニューヨークに到着するころには、互いにかけがえのない存在になります。それぞれの婚約者に別れを告げ、数ヶ月後にマンハッタンのエンパイアステートビルの屋上で再会することを誓う2人。約束の日、再会の場へ向かうテリーは、道中で交通事故に遭ってしまいます。一方、ニッキーはそんな事を知る由もなく、約束の場所でテリーを待ち続け……。

映像、衣装、セリフと、どれをとっても美しい映画でした。でもやっぱり気になるのは音楽。
主役のテリーが歌手役ということもあり、歌ったり、音楽を教えたりと、音楽が重要な役割を果たしています。船上での最後の夜、2人がダンスをしていると「蛍の光」が聞えてきて、ふっと現実に帰り寂しくなる演出も憎い。そしてこの映画の重要な登場人物、ニッキーのおばあちゃんがピアノを弾くシーンは涙なしでは観られないです!

おそらく、この映画のハイライトの一つになるシーン。豪華客船がフランスに停泊した際にニッキーはテリーとおばあさんを訪ねます。楽園のように美しい庭や家、上品なおばあさんがニッキーやテリーと和やかに話すシーンはほっこりします。別れ際にニッキーが、ピアノの名手だったおばあさんに演奏するよう促し、それに合わせて歌うテリー。しかし、出航を知らせる船の汽笛が聞えると、おばあさんはピアノの演奏を中断し、「汽笛は嫌いよ……」と涙を流します。これがおばあさんとの最後の別れになりますが、私にとっては大切な、重要な場面です。映画の中でもテリーの気持ちに変化が現れ、登場人物たちが音楽で心通わせているように感じられるようで、私はこういう場面が大好きです。

他にも、おばあさんの「ここは想い出に浸る場所、でもあなたはまだ想い出を作らなければ」、テリーの「天国に一番近い場所を見上げていたの。そこにはあなたがいた」など名台詞がたくさん。ちょっと照れ臭くなるような言い回しもありますが、やはり映画ではこれくらいドラマチックなほうがいいですね。また私が歌手で、私の妻は画家なので、テリーが歌手、ニッキーが画家という設定も、我が家とは逆ですが親近感を覚えてしまう要素かもしれません。

昔観た映画を観直す

私は中学、高校時代に『スクリーン』という映画雑誌を買い、『ロードショー』派だった友達と交換して読んだりしていました。懐かしの映画を特集するコーナーが楽しみで、そこには、デボラ・カーもたびたび登場していました。新しい映画も追いかけていましたが、今でも思い出すのは古いものが多いような気がします。


2020年、ステイホーム中に、このような懐かしの映画をいくつか見直しましたが、同じ映画を複数回観ると新たな発見があり、面白いなと感じました。自分の感性の変遷を確認したり、逆に定番の感動ポイントを待つ楽しみを味わったり。『めぐり逢い』に限らず、この機会に、一度観たことのある映画を観返してみることをお勧めします。もちろん、『めぐり逢い』もぜひ観てくださいね。いい映画ですよ!

それでは、またお会いしましょう。
「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ!」(古い!)

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