見出し画像

ヘベレケ日記: カティサークというお酒②

皆さまごきげん酔う。
今宵はどんな1杯をお楽しみでしょうか。

🥃

おかえりなさいませ

さて、前回①で「カティサークって結構すごいんだぜ」ということをお伝えしました。なぜなら「ロセスハイパブナマッカ」だからです。思い出しました?
なんだっけ…という方はこちら:

私は味とかについてあーだこーだと言うのはどうも苦手なので(笑)、それぞれのお酒の向こう側にあるストーリーをご紹介したいと思います。

🥃

ウイスキー「Cutty Sark」の意味

カティサークができたのはそんなに昔ではなく、1923年。いまからちょうど100年ぐらい前ということです。イチキューニーサンといえば日本で山崎蒸溜所ができた年です!

「カティサーク」とは、ラベルに書いてある帆船(はんせん)「カティサーク号」のことです。この船が活躍したのは19世紀。「クリッパー」といって、中国の紅茶をイギリスへ運んだり(Tea Clipper)、オーストラリアの羊毛を運んだ船(Wool Clipper)で、当時ものっすごく速いカッコイイ船として大活躍したのでした。その時の記録は今でも破られていないほどの速さだったとか。

その大活躍の真っ最中に新しいウイスキーを出そうとして、とある画家さんが「カティサークって名前にしたらカッコよくない?」「…いいねぇー」と言って決まったわけです。当時ラベルの「CUTTY SARK」の文字は、この画家さんの手書きだったそうですよ。

ちなみに、その時期はスエズ運河が完成した直後(本当に前の週とかだったらしい)で、実際カティサーク号が活躍した期間はとても短かったとか。でも、この船は今でも現存する唯一のクリッパーで、現在はロンドン近郊の、天文台で有名なグリニッジで永久保存・展示されています。

🥃

じゃあCutty Sark号は…?

ウイスキーが船から取られた名前だということはわかりました。でもじゃあ、船はどうしてこの名前になったのか?ここが盲点です。

無論、Cutty Sarkという名前が理由もなく船に付けられたわけではありません。船長の名前とかでもありません。これには少々スコットランドの歴史を語らなければなりません。

🥃

スコットランドといえばこの人

スコットランドという所を理解する時に外せない人物がいます。それはロバート・バーンズという詩人。スコットランドにとっての英雄で、たくさんの有名な詩を遺しました。日本で言うところの「蛍の光」の作詞をした人です。蛍の光ってスコットランド民謡なんですよ!

このロバート・バーンズが遺したたくさんの詩の中に、「タム・オ・シャンター(Tam o'Shanter、シャンター村のタムさん)」という作品があります。

農夫のタムさんが妖艶な魔女に出会います。その魔女が短いシミーズ(下着)を着ていて、タムさんは魔女とも知らずに魅了されてしまいます。思わず手を出そうとしたところを、魔女は襲い掛かります。がーん。タムさんは慌てて馬に乗って命からがら逃げ出し、魔女はその馬の尻尾を掴んだところで毛が抜けてしまい、タム襲撃は失敗に終わります。

🥃

ちょ、どゆこと? なんの話??

お馬さんが負ったであろうかなりの痛みが、完全に置き去りになってますけど。なんでこんなに一生懸命、詩人の話をしているかと言いますと…

ここで、カティサークという言葉に戻りましょう。ズバリ

cutty = 短い
sark = シミーズ

…なのです。(スコットランド語)
そうです、タムさんを襲った魔女が着ていた下着のことです。この「タム・オ・シャンター」の中で、cutty sarkという言葉が出てくるわけですね。しかし、なんでまたこの魔女の下着を船の名前にしようと思ったのか、それは謎です(笑)。あっ、帆船だから、もしかしたらその帆をシミーズに見立てたり…見立てなかったり…ラジバンダリ。(ふる)

なんと、現在保存されているカティサーク号の船首には、この「短いシミーズを着た魔女」の姿が付いています。しかも、手には馬の尻尾の毛が…!芸が細かい。グリニッジでカティサーク号を見に行く機会があったら、ぜひこの船首の魔女をチェックしてみたいものです。

こんなの↑(出典: お酒ファン.com)

ごっそり抜けた馬の尻尾を握りしめてるのが、ちょっと執念深くてこわい。。。(笑)2013年には、まさに「Cutty Sark Tam o'Shanter」という25年ものの限定品も発売されました。1923年に誕生してから90周年記念というわけですね〜

これがタム・オ・シャンターエディション(25年)


🥃

明日、誰かにドヤ顔で

「カティサークは船の名前」というところまでは割と知られていることだと思いますが、「そもそもCutty Sarkという言葉が何を意味しているのか」というのを知っている人は、恐らくそう多くはないはず。しかも、こともあろうに「短いシミーズ」。。。(笑)でも私、カティサークの話の中でこれが一番好きなエピソードなのです。一度聞いたら忘れられません(笑)。

ぜひ明日、「カティサークってどんな意味か知ってる?」ってドヤ顔で言ってみてください(笑)

🥃

そんな名前のウイスキーってことで

さて、、短いシミーズでもピロピロッと着てカティサークを飲みますか… タムのお馬さん、尻尾ごっそり抜かれて痛かっただろうな……とか遠い目で味わうもよし。

  • なぜラベルに船が描いてあるのか?

  • 「Cutty Sark」ってどういう意味なのか?

  • なぜ黄色いラベルなのか?

  • 他にどんな特徴があるのか?

今回は2つ解決。まだもう少し続きそうです。

🥃

snoop-kのヘベレケ日記、今回はこの辺で。
また次のグラスでお会いしましょう。酔い1日を!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?