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The Last of usが描く正義と善悪の矛盾

#心に残ったゲーム

続けてネタバレ有でストーリーの感想を書きたいと思います。

ラストまでのネタバレ有でどんどん書いていくので、
その旨ご理解の程よろしくお願いいたします。




The Last of us 感想


The Last of us1は2BRO.弟者さんので拝見しました。
(リメイク版)


オープニングストーリーの衝撃

まずオープニングストーリーから衝撃的でした。

ラスアス1の主人公であるジョエルが、
感染発生当初に混乱の中逃げ惑う最中、
「感染していない」にも関わらず
最愛の娘サラを撃ち殺されてしまいます。


(軍人が感染発生源の場所から人を簡単に逃がせないのはわかります。
ただ、撃ち殺す必要はあったのか?
それは今でも深く思うところです。)

思えば彼は、
この時から時が止まったままだったのだと思います。


崩壊後の残酷な世界

崩壊後の世界は予想通りとても残酷なもので、
隔離地域で食料や物資はシビアな配給制度、
支配している「ファイアフライ」という組織は、
正当性を掲げているもののその行いはまるでテロリストと紙一重。
感染を疑われたらすぐ撃ち殺すような人間ばかり。

(このファイアフライに入ることで弟のトミーとは一旦別離しています)

ジョエルと相棒のテスがストーリー冒頭で、
取引のトラブルに対処するところがありました。
あの時相手から情報を引き出すために、
ジョエルが腕を折り最終的にテスが銃で殺しました。

取引のトラブルと言えどこうも簡単に…
と思いましたが、
この世界のリアルなのだと感じました。


エリーとの出会い

そして、
ふたりと、世界の運命を大きく動かすことになる出会い

武器の受け渡しを条件にファイアフライの女性・マーリーンから運んで欲しいと依頼されたのは、
なんと14歳の少女・エリー。

エリーをファイアフライの元へ無事に運んで欲しい。
ただ理由は明かせない。

このあたりから相当な事情があることは容易に想像できましたが、
まさかそれが
「エリーが世界で唯一の免疫保持者」
であり
「ワクチン開発の唯一の希望」

であることだとは。


テスの強い意志

ただジョエル自身はこの事実を知った当初は反発し、
依頼を放棄しようとさえしていました。

ただ、それに反対し、
エリーを連れていくことに強い意志を示したのは相棒のテスでした。

今思えばテスのこの強い意志がなければ、
ジョエルとエリーはここで別れていた可能性が高いです。

ファイアフライと待ち合わせた議事堂に着いたものの、
そのファイアフライが殺されているのを発見。
しかし全く諦めないテス。

その強い意志の理由は、
自身が感染してしまったからというのは驚きましたが…。

テスとの別れは早いものでしたが、
彼女が「自身はもう確実に手遅れ」なのに、
強い意志でジョエルに訴えかけ
エリーを守ったその姿には感銘を受けました。


ふたりの旅の始まり

そしてここから遠い「ジャクソン」の地へ、
弟のトミーと会うためのふたりの旅が始まります

まず向かったのは過去の取引仲間のビル。
この人も癖のある人でした。
ただこのビルとのやり取りの終盤あたりから、
ジョエルのエリーに対する見方がかなり変わってきたのを感じました。

幼いながら果敢に自分のできることで立ち向かおうとするエリーに、
彼なりに関心し始めたのだと思います。

エリーの最初の引き金

苦労して手に入れた車が略奪者のせいでダメになった時、
かなり絶望しましたけどね…。

彼らも生きるために奪っていると考えると悲しいものです。

ここでこの略奪者たちからジョエルを助けるため、
エリーは初めて引き金を引き殺しを経験します。

この時のジョエルの態度が「感謝」ではなかったことに、
当初は少し憤りを私も感じました。
ただ今大人になって考えると、
自分を助けるために少女に殺人をさせてしまったと考えると…
とても単純な感情ではないと思います。

しかしその後はエリーにライフルを渡し、
感謝を述べたジョエル。
この残酷無慈悲な世界で生き延びるため、
ジョエルはエリーに銃を渡すことを決断しました。

それは正しい正しくないの基準では測れない、
彼の信頼と覚悟の象徴だと思いました。
ここはふたりの距離がぐっと縮まったエピソードです。


兄弟の壮絶な最期

その後出会う兄弟、
兄ヘンリーと弟のサム。

この兄弟の結末は今でも鮮明に覚えています。

私の嫌な勘が完全に当たってしまい、
朝目が覚めると弟のサムが感染してしまっていました。

エリーに襲い掛かるサム。
エリーを守ろうとするジョエル。
ジョエルを罵倒する兄ヘンリー。

ここで衝撃的だったのが、
兄ヘンリーが自ら弟を撃ち殺し、
その後すぐ自らも自死したことです。

ジョエルに殺させず、
発症しているとは言え自ら最愛の弟を殺したこと。
「自分が全てを背負う」という余りに激しい意志。
中々瞬時に出来る判断ではありません。

この世界の絶望と悲しみをすべて表した様な結末。
衝撃で今でも忘れられません。


交差するふたりの感情

トミーと再会した時は安堵しましたが、
その後のいざこざで
「ジョエルが自分をトミー達に押し付けた」
と悲嘆し馬でエリーがひとり脱走したのはハラハラしました。

エリーを発見し𠮟責するジョエルの気持ちも理解出来ます。
土地勘が有り元ファイアフライであるトミーが
エリーを連れて行った方が良いと思ってのこと。

しかしエリーは、
大切な人はもうジョエルしか居ない。
と訴えかける。
少女が抱えるには余りに深い喪失、その寂しさ。

ジョエルは勿論それを理解していますが、
過去の大きな喪失から
「どうせ失うなら大切な者など居ない方がいい」
という考えが植え付けられてしまっていたのだと思います。
だから「自分は父親ではない」とエリーを突き放した。

でもそれはジョエルにとって、
エリーが既にかけがえのない存在であることの表裏だと思うんです。


エリーの死闘

大学内を馬でふたりで駆けている時には、
ジョエルが自分のプライベートを話していたのも印象的でした。

しかし結局ここにはもうファイアフライはまたおらず。

ソルトレークシティーまでは余りに遠いと途方に暮れる中、
略奪者の襲撃によりジョエルが深手を負います。

ここでエリーを操作するパートが始まります。
ジョエルの看病をしながら雪山で狩りをしているエリー、
なんという成長か…と感動したのを覚えています。

そこで出会ってしまったのがデビットとジェームス。
ここで鹿肉と薬の取引を持ち掛けます。
しかしこの男・デビットはジョエルが以前殺した略奪者の仲間だったとのこと。
なんだか不穏な空気。
薬を持ってきたジェームスはエリーに銃を向けますがデビットはそれを制止し、
薬を渡しエリーを見逃します。

でもこの後が…。
個人的に馬が大好きなので馬が失われたのがまた悲しい…。
デビット達結局襲撃してきたんですよね。
エリーを幽閉して仲間に勧誘するのが余りに強引で卑しい。


ジョエルの拷問

そしてジョエルパートに戻りエリー救出へ。

ここでエリーの居場所を割り出す為、
ジョエルは略奪者の2人を拷問。

この拷問のやり方は後にpart2でも話に上がります。
2人に同じ質問をして答えを書かせる。
一致しなければ殺すというもの。
嘘をつかせないためのなんとも合理的な手段。

ジョエルの善悪を語る気はありませんが、
彼をここまでにさせた人生の壮絶さを物語るシーンでした。


もう戻れない狂気

デビットのに殺されかけ執拗に追い回されるエリー。
このシーンは本当に不快でよく覚えています。

そして最終的にエリーはデビットを返り討ちにし、
狂気的にデビットを惨殺します。

それは余りに痛々しく壮絶で、
溢れる血潮は言葉以上にそれを語っていました。

彼女をここまでさせたのも、
彼女のこれまでの経験の残虐さを物語っているのだと。
もう、戻ることはできないのだと。


春、ソルトレークシティー

季節は春になり、ソルトレークシティーへ到着したふたり。

建物から野生の麒麟を眺めるシーンは非常に印象的でした。

ここで不安そうなエリーに
「行くのをやめようか」」
とジョエルが提案したのには驚きました。

ジョエルにとってエリーはもう、
本当の娘のような存在になってしまったのを悟りました。

しかしエリーはここまでの壮絶な旅を思い返し、
それを否定。
ふたりは進むことを決断。


その天秤は何を秤にかけるのか

溺れたエリーを助けようとしているジョエルを殴ったファイアフライ隊員、
あの時の軍人を思い出してなんだかとても不快でした。

目が覚めるとマーリーンの姿。

ジョエルは真実を告げられます。

エリーの体内の菌を切り取り解析すればワクチンの望みがあること。

その菌がエリーの脳と同化しており、
それは彼女の死を意味するということ。

反発するジョエルに対し、
エリーの命より世界を救うワクチンが大事だと言い放つマーリーン。

マーリーンにとってもエリーは大切な存在なのに、
とは思います。
しかし勿論世界の未来を思えば、
ここで「正しい」のはマーリーンでしょう。

しかし娘同然のエリーを突如奪われるジョエル。
彼がエリーの犠牲に反対するのも「正しい」のではないでしょうか。

命の数で秤にかけたマーリーン。
愛ゆえに秤を傾かせるジョエル。


ジョエルの選択

それは余りに重すぎる選択。

それでもジョエルは選択しました。

この世界への希望ではなく、
エリーの命を選び取ると。

院内で次々ファイアフライを殺戮するジョエル。

その中で、
手術室に居た医師は死に際
「必要な犠牲だ」と訴えました。

エリーを連れ出そうとするジョエル。

立ちふさがるマーリーン。

マーリンの言葉も医師の言葉もあまりに正しい。

「必要な犠牲」「世界のため」

あまりに正しい」言葉。

しかしそれは「善」でしょうか?

世界が助かれば1人死んでもいい。
それが正しいのだと言うことは善?

多くの人間が助かる方法があるのに、
それを邪魔をしたジョエルは只の悪?

プレイヤーの感情が追い付かないまま、
ジョエルは命乞いするマーリーンを殺害。


正しさと善悪の矛盾

そしてジョエルはその真実を、
エリーに伝えない選択をしました。

お前の免疫は役に立たなかったと。

そして物語は、
弟トミー達の元へ帰るところで終幕。

まさに衝撃の展開でした。

ジョエルはここまで、
生きる為エリーの為にとは言え、
多くの人を殺害しました

例えば、
殺された側はジョエルを悪魔だと思い、
救われた側はジョエルを救世主と思う。

殺しや嘘は誰を救っても罪になるの?
犠牲の上に成り立つのは正義なのか?

その全てが矛盾するのが人間なのだと、
思い知らされたストーリーでした。

長くなりましたが、
次はパート2について書きたいと思います。



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