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地域みらい留学とは?


地域みらい留学を選択するまで

 私は中学生の頃”早く就職して社会の役に立ちたい”という考えから、大学受験のために高校進学をすることに対し違和感を抱いていました。そもそも当時の私は 社会の役に立つ=労働力 になるとしか考えられていなかったのだと思います。
 中学2年生の時に偶然、地域みらい留学のパンフレットの「公立高校進学における、もう一つの選択肢。」というフレーズに惹かれて説明化に参加したことが地域みらい留学との出会いです。複数の高校の説明を聞く中で、『地域みらい留学をすれば、地域社会が抱える課題を自分の目で確かめるとともにその解決方法について地域の大人と考え行動することで自分自身を成長させられるのではないか。』と気付き、現実的な進路選択の候補になりました。
 中学3年生になる直前にコロナが流行り始めました。収束の見えない中で遠く離れた島根県まで行く必要があるのか何度も自問しました。中学校の先生方からは「そんなに焦らなくて良いのでは?大学になってから間に合うと思う」と否定的な意見が多かったです。
 最終的には、中2の時のパンフレットを見た瞬間にビビッと来たことと対面説明会でのワクワク感で島根県の高校に決めました。
 

高校1年生

 入学式前日に制服を受け取りに行きそこで初めてネクタイを結ばなけらばならないことを知りました。翌朝、スマホを持っていなかった私は宿屋の女将さんにネクタイを結んでもらい入学式へ向かいました。早く着きすぎてしまったので入学予定者説明会で覚えた先生に話しかけました。その後入学式を終えても島根の方言が強くて会話に入れず、勇気を振り絞って声をかけたら同じく地域みらい留学生でした。
 できるだけ地元の生徒と関わりたいと思い中学校から始めた吹奏楽部を続けることにしました。地域での演奏機会を通して地域の大人とも関わることも期待していました。
 また、誰一人知らないクラスでいきなり学級代表にも立候補しました。中学では生徒会長を務めて優等生らしく振舞っていたのでもう少し親しみやすくなりたいという目標は一瞬で崩れ落ちました。高校生にもなると環境が少し変わったくらいで人間は変わらないのだと実感しました。
 1年生の後半に大まかな進路選択がありました。入学当時は高卒で働く予定でしたが、高校の先生から「世界で活躍する人間になってほしい」と言われて嬉しかったので、期待されることが好きな私は大学進学を目指すことにしました。

高校2年生

 1年生の終わりごろから他校の生徒と二人でINShimaneProjectとして「島根と世界をつなげる」ことを目標にオンラインを中心にオランダやバングラデシュの高校生徒の交流会を企画しました。しまね未来共創チャレンジ1期生として活動しました。他国の高校生や教師から現地の教育について話を聞いた経験が結果として大学進学に大きな影響を与えました。
 高校の探求学習では「生徒の能動的な学びのために」というテーマで生徒の目線から授業研究を行いました。よかったら読んでみてください。これをきっかけに授業づくりの専門家である学校の先生方と教育についてお話をする機会が増えました。
 吹奏楽部では部長になり、町議会で「町内向けのテレビ番組で吹奏楽をはじめ音楽に関するものがなかったため、町民が音楽に触れる機会を創出したいから子供たちの演奏会の様子を放送したらどうか。」と提案をして採用されたことが特に印象に残っています。
 進路のほうは高校から国立大学の教育学部の推薦を提案されていました。

高校3年生

 夏休みを目前にしたある日、前述した推薦は難しいと言われ一般受験に切り替えました。さらに吹奏楽部の活動は9月頭まであったので、ほかの受験生に取り残されているのではと焦りを感じることも多々ありました。
 共通テストの自己採点の結果志望校をやむなく変更することになりました。目標を達成できなかったことよりも周囲からの応援や期待にこたえられなかったことが悔しかったです。しかし大学の試験が面接のみであったため、教育書を読んだり様々な大人と話したりと結果的に学びの多い受験になったのではないかと思います。

総括

 ここまで読んでくださったみなさん本当にありがとうございます。「地域みらい留学について知りたかったのに、普通の高校生の記録じゃん。」という声が聞こえてきそうです。しかしこれこそが私が一番伝えたいことです。確かにホームページなどには積極的に地域に出て何か賞をもらうというサクセスストーリーが目立ちます。ただ当然のことながら正解は一つではありませんし、他者から与えられるものではないと思います。
 私は地域みらい留学で特に2つのことを学びました。1つ目は、日本の教育の素晴らしさです。全国で質の高い教育が保証されているおかげで誰もが将来を自由に描けること、すなわち社会移動が可能であることを自分の目で確かめられたのはよかったと思います。2つ目は、「人はみな人」ということです。島根やオランダなど他地域・他国の人と関わる中で、文化や価値観など異なる点はもちろんあるが、他者への思いやりであったり一人では解決できない社会課題があったりして世界共通なのだと気づかされました。
 「地域活動を通して社会課題を知りそのために自分がすべきことを学びたい」という理由で島根に行った私の経験が少しでも何かの参考になればうれしいです。
 地域みらい留学を検討しているみなさん、ぜひ連絡ください。
 

 


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