泊木 空

街で文学畑を耕す百姓。小説・エッセイなどいろんなものを作ります。いつでも採れたて🥕🍅

泊木 空

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マガジン

  • にんじん(エッセイ・随筆)

    ほのぼのな日々のこと。恋愛友情おっちょこちょい、ちょこっとスピリチュアルなんでも。ちょい長めでも読みやすい。

  • ミニトマト(小説・物語)

    ちょいシビアな短編・連載もの中心に。テーマさまざま、よりどりみどり。読みにくいかも?

  • ぽてと(ミニ話など)

    エッセイ未満・感想文以上の文章集。短くて読みやすい。

  • 行街 4月号

    • 1本

    泊木 空 「ここは秘密の園 ①」

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【エッセイ】あのひとまたあそこにいる!

「あのひとまたあそこにいる!」 小さな二輪車を漕いでいる女の子が、友だちに、そう耳打ちします。 女の子たちの視線の先にいるのは、たぶん私。 前髪が邪魔なのでヘアゴムで縛り、玉ねぎのようにブラブラ揺らしながら、 植え付けたトマトの苗をニコニコ、写真で撮っていたところです。 トマトを種から育てて二ヶ月、やっと植え付けができました。 種を小鉢の土に埋めたのは、遅咲きの桜が咲いた頃。 今年は冬の最後までグズグズと寒さが続いていたから、桜の蕾がぎりぎりまで膨らみっぱなしで、

    • 【エッセイ】こころで生きるエゴイスト

      「こころのままに、自然体で生きよう!」 私、この考え方が生きる真理だと、いままで思っていました。 お金を稼がなきゃ、社会人として真っ当に生きなきゃ・・・そんな考えは頭の思考から生まれるもの、つまり通俗的なものであって、こころの姿にはフィットしない。 ということは、こころの姿に気づき、こころの姿になることこそ、幸福がそこに眠っているんじゃないか? そうして、退職してから三年間をかけ、こころがなにをしたいのか耳を傾けることを修行し、できるだけ現実的な生活の中でこころの求め

      • 【ミニ話】目に見えないものを信じる?

        文豪たちの、過去に作られた作品を読んだり見たりして思うのは、 「え、こんなに豊かなものから影響を受けてしまってもいいの??」 先人たちは、それこそ当時の本気を尽くして勉強したり考えたりして作品を作ったわけ、なのだ。 先人の人生にとって一番豊かな稔りが作品だとしたら、それを味わえちゃう私たちって、すっごく贅沢なんじゃないか。 ホクホク、いい気分🍠 でも、ちょっと考え方を変えてみました。 先人たちの豊かな稔りによって生きる私たちは、その稔りを受け取って、さらに豊かなも

        • 【エッセイ】優しさは、どこへ?

          カリカリカリカリ。 私の気持ちは、尖がらせた鉛筆の芯。 モヤモヤあいまいな交流や出来事に区切り線を引き、 ピッピッピ! すべて効率良く済ませる。 とっても気持ちがいいです。ぜんぶ、自分でどうにかできるし、うまく行く気しかしないんだもの。 ひとが困っていたら、できる範囲で助けてあげる。 相手が解決の糸口を見つけられるように、一緒に考えて、ひとつの解決策を提示します。 それに喜んだ相手から一言。 「ありがとう!」 ・・・あれ、感謝されたのに、なんだか嬉しくない。 モ

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        【エッセイ】あのひとまたあそこにいる!

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        • にんじん(エッセイ・随筆)
          7本
        • ミニトマト(小説・物語)
          2本
        • ぽてと(ミニ話など)
          1本
        • 行街 4月号
          1本

        記事

          【映画エッセイ】悪は陰陽の前に存在しない

          『悪は存在しない』という映画を見て、ムムッ、ピーン!ときたのでネットレビューを調べました。 すると映画を分解・考察する投稿が多いのですね。 監督の意図は?物語の真意は? 衝撃的なラストに引っ張られて、そもそも何を見ていたんだ?と不思議が湧いたムヤムヤを昇華したいのかな。 意図や真意だけを追いかける考察の入口では、この映画のほんとうの豊穣を味わえないと思います。 『悪は存在しない』を見て人生が変わるひとがいるかもしれません。 とくに映画に慣れておらず、あるいは若者、また

          【映画エッセイ】悪は陰陽の前に存在しない

          【エッセイ】グチグチ・エゴ人間との格闘

          noteをはじめてから、一週間。 私はグチグチ・エゴ人間になってしまいました。 「こんなにいいものを書いているのに、どうして閲覧数が少ないの?」 「これだけ労力を割いているのに人気がでない・・・」 「ほかのひとはすくすく人気になっていくのに」 「それでも毎日書かなきゃいけない」 グチグチグチ。 なにか新しいことをはじめると、だいたい私は「グチグチ・エゴ人間」になります。 「自分が自分が、どうしても」と承認欲求が前に出て、自分のやっていることなんて無価値なんじゃないか、と

          【エッセイ】グチグチ・エゴ人間との格闘

          【短編】指を毛糸にくぐらせて(2)

          工場の入口は従業員たちを指示する正社員のデスクになっている。 作業員はそこで、チーフと話をしている最中だった。 私は振り返ってきた作業員と視線を合わせたまま、少しだけ後退りした。 彼の背中にぶつかったのは自分なのに、怖い、という気持ちが、久しぶりに込み上げていた。思い出さないようにしていた記憶がはっきりと蘇る。昔の自分の声が、耳に聞こえた。 『当麻先生、なんでしょうか?』 夕暮れの日が赤赤と差し込む教室。 教卓のすぐ隣まで来た当麻先生。 妙に近いな、という頭の中の声が

          【短編】指を毛糸にくぐらせて(2)

          【短編】指を毛糸にくぐらせて(1)

          ぬるいシャワーの水流が、日に焼けた肌を荒く伝い落ちていく。 水流が触れた箇所から、日光の熱さが蘇り、ひりひりと火照った。朝の通勤で日に焼けたのは何時間も前のことなのに、痛みが消えるのは何日も後になりそうだ。 ボタンを押して水温を三度低下させる。 シャワーの温度は熱波が訪れたマドリードの最高気温から、ひとの微熱に向かって少しずつ冷めていった。 薄く開いた窓から、樹木のにおいのする風がささやかに入り込む。 私はシャワーの水流を止めて、桜色の泡だてネットにボディーソープをかけ両

          【短編】指を毛糸にくぐらせて(1)

          【エッセイ】恋に恨みと恍惚を ①

          それは、青春が実らせた甘くて酸っぱい果実の恋ではなく、 首にはめた枷が少しずつ皮膚を擦り切らせるような恋でした。 ◆ 大学への通学路、講義の教室、学生たちのおしゃべりが響いているだだっぴろい食堂。 こっそりと教科書の山に頭を埋めた眠りに、駅前に霧散していく学生たちの陰った背中と話し声。 真っ赤な太陽が溶ける夕空。 目にする光景が、ふだんのように流れてはゆかず、私の視線だけ不審に彷徨います。 『あいつはいないの?』 どの景色を見ても、そこに彼の姿が穿たれた空洞を見つけ

          【エッセイ】恋に恨みと恍惚を ①

          【エッセイ】大人の振る舞い

          ある晴れた5月の朝。 濡れ縁に立ち、洗濯したばかりのタオルを物干し竿に掛けようとしていたら、 「行ってきまーす」 隣の家の男子大学生。 玄関で振り返ってそう呼びかけていました。 この青年、中学生の頃から顔を知っているんですが 挨拶するとニッコリ微笑んで返してくれる、母親のことを「ママ」と呼んでいる(かわいすぎる)、瞳がキラキラ すなわち、純粋さを絵に描いた少年だったのです。 彼もすっかり大学生になりました。 いまはどうなったかと言いますと・・・ 金縁サングラス、

          【エッセイ】大人の振る舞い

          自己紹介

          はじめまして。 もしかしたら、お久しぶり!お元気ですか?かもしれませんね。 私は泊木空といいます。 好きな作家と作品をざっと並べると、 千早茜       「透明な夜の香り」 小川洋子      「薬指の標本」 永井紗耶子     「木挽町のあだ討ち」 宮沢賢治      「なめとこ山の熊」「やまなし」 大江健三郎     「M/Tと森のフシギの物語」 川端康成      「山の音」 チェーホフ     「ワーニャ伯父さん」 ヘルマン・ヘッセ  「ガラス玉演戯」 ヘミン

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