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映画予告について物申す。

突然ですが皆さん、この予告を見て、本作をいったいどんな内容の映画だと思いましたか?
印象だけでお答えください。

…はい。


おそらく大部分の人が、ちょっと騒がしいドタバタコメディだと思われるのではないだろうか。

少なくとも、私はそう思っていた。


ところがこの作品、実際は笑えて泣けて、全女性たちを元気づけてくれる、心温まる夫婦のドラマがメインのハートフルな作品。
予告のイメージとはまるで違うのだ。

でもこの予告からそれを予想するのは、超能力者でもない限り、まず無理だと思う。
正直、よく監督さんからOKが出たな…と思うほど、作品の世界観からズレまくっているので、映画を何度も観てからこの予告を見ると、半端じゃない違和感がある。


たしかに今は娯楽が溢れてるから、なんとかして映画館に足を運ばせたいという気持ちは分かる。
そのために予告もドギツめの、キャッチーなものにせざるを得ないという事情もよくよく分かる。

でも、そうやって「とりあえず」観客を映画館に動員するという方法は長い目で見ると、決して良い方向に働かないんじゃないかなぁ。

コメディを期待して本作を観に来た人はたぶん、ちょっとがっかりしてしまうだろうんじゃないだろうか。
もっと笑えると思ったのに!って。
だって本作は「総理の夫」が巻き込まれるのがメインの話ではなく、彼がむしろ巻き込まれた後に成長し、変化していくのが見どころだからだ。

そして逆に
「なんか騒がしそうなコメディは苦手だから見ない…」
という、おそらく本当ならこの作品との相性がとても良さそうな観客ほど、二の足を踏む結果にもなってしまっているのではないだろうか。

実は私も後者タイプなので、主演俳優のファンじゃなかったら、この予告だけでは、おそらく映画館には足を運ばなかっただろう。(危なかった!)
この映画は確かに「面白い」けど、それは予告から感じる「面白さ」とは別ベクトル方面の面白さをもっているのだ。


一般的な(特定の俳優さんファンじゃない)人たちはおそらく、予告を観てある程度予想を立ててから映画を選んで見に行くものだと思う。
もちろん予告で完璧にわかるわけじゃないけれど、観に行くか行かないか、という程度は判断できるはずだし、そのための映画予告のはず。

なのにこの予告はたぶん、その判断を大いに誤らせる結果になってしまっている。


正直、最近はこういう、予告やキャッチコピーと、本編が乖離してる作品が多い気がして、ちょっとうんざりしてしまうことがある。

この作品はそんなことしなくても、ちゃんとわかる人には伝わる作品だと思うのに。なんかすごくもったいないな…と思ってしまう。

確かに、まずは見に来てもらわないと話にならないから、映画館に1回でも運んでもらいたいということかもしれないけど、それで本来の客層(もしかしたら2度目、3度目と足を運んでくれる人)に伝わらなかったらあんまり、意味ないのでは…?

ちなみに私の超絶主観的な観点としては、主題歌もちょっと世界観が違うと感じてしまう。正直なところ。

いや、誤解がないように言っときますが、歌そのものとか、アーティストの方を貶めるつもりはまったくないです。
むしろこの曲は好きです。
頭の中でぐるぐるしちゃってます。

ただただ、曲調が世界観に合ってないと感じるだけで。

歌詞の内容は確かにぴったりなんだけど、この作品は、ロックな内容じゃないので、最後にこれが流れるたびに、なんかうるうるしてた気持ちがすぅっと寂しくなっていくのですよね…
(この辺りはきっと趣味の問題だと思うのですが)

一つ思うのは、予告に使われてる音楽も、たぶん本編では使われてない曲ばかりだということ。
だからなんでこうなった?って感が半端ではない。
せめてサントラからセレクトしてくれれば、もう少しフィットしたものが作れたように思うのだけど。

商業映画なら、興業収入ももちろん大事。
綺麗事ばかりじゃやっていけないってのも良く分かる。
宣伝部の方たちも、きっとみんな大変なご苦労をされてると思うし、作品愛だってあるだろう。

それでも、映画界が愛想を尽かされないために、守っていかなくちゃいけないものがあるように思う。
映画って、単なる話題性だけで観に行く人たちばかりじゃないはずだから。

映画は予告編から始まっている。

そう考える私みたいな昔ながらの映画好きのためにも、「本来の内容を伝えてくれる」予告をぜひ作っていただきたいなぁ。

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