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夜の渋谷駅周辺を歩いて夜景写真を撮った話

夜景写真というと、どうしても車で行かないと撮れないイメージがあったのだけど、もっと身近に夜景を撮れる場所があった。それが渋谷駅である。

ハロウィンが間近に迫る10月末。GOOPASS HUBというカメラコミュニティが主催の「渋谷フォトウォーク」というナイトフォトを撮影するイベントに参加した。最近の渋谷駅は日々変わりすぎて訳がわからないのだけど、主催者が選んだ撮影スポットに付いていくだけなので、楽ちんである。

ちょうど金曜日の夜とあって渋谷駅は人でごった返している。金曜日の夜だからと思っていたら、どうやらハロウィンは10月末日の1週間前から始まっているらしい。

そんな中での撮影なので、単焦点レンズは諦めてGOOPASSでレンタルしたTAMRONの標準ズームレンズ1本で撮影に臨んだ。カメラはいつものα7Ⅲ。

西口歩道橋の上から

遅れている参加者を待つために、この場所で長めに時間を取って撮影することになった。絶えることなく行き交う人々に混じり、撮影するものを探してみる。渋谷の駅前は、人も人工物も溢れかえっている。情報量が多すぎて、何を撮ろうか一向に決まらない。とりあえず、橋の上から下の道路を撮ってみた。下にいる車はタクシーばかりである。

E 28-75mm F2.8
ISO6400 28mm f4.0 1/160秒

遅れている人はまだ来ない。時間はあるので、歩き回りながら被写体を探してみる。歩道橋の上には首都高が走っている。ちょうどこの日は満月。通りかかった銀色のトラックのボディを月明かりが照らしているような感じで撮ることができた。狙っていたわけではなく、偶然の産物である。

E 28-75mm F2.8
ISO12800 28mm f4.0 1/1000秒

次に目に止まったのは、青く照らされているオフィスビル。外側とはいえ、煌々と青い光で照らされたら働きにくそうだなと思ってしまう。首都高の高架橋の下面に反射しているのが、水面の反射みたいだったので入れてみた。

E 28-75mm F2.8
ISO12800 56mm f4.0 1/1000秒

歩道橋の下を覗いてみたら、ちょうど車列が止まっていたのでシャッターを切ってみた。アンダー気味で撮ったら高架下のナトリウム灯がビルを照らすLED照明とは対象的に温かみのある雰囲気を醸し出してくれた。

E 28-75mm F2.8
ISO12800 33mm f4.0 1/2000秒

歩道橋の下はひっきりなしで車やバイク、バスやタクシーが往来している。長時間露光で光跡を残してみることにした。長時間露光は手ブレが激しいので、本来なら三脚が必要なのだが今回は持ってきていない。歩道橋の手すりにカメラを置き、脇を締めてしっかり固定することにした。しかし、それでもやはり手持ちだと思った以上に手ブレが激しかった。

さすがに人の往来が激しい歩道橋で三脚は立てられないので、せめてゴリポットなどで手すりに固定するなどしたほうがいいかもしれない。

E 28-75mm F2.8
ISO100 28mm f18 8秒
E 28-75mm F2.8
ISO100 28mm f18 8秒

駅の反対側のビルの屋上にあるLEDビジョンでは鮮やかな映像が絶え間なく流れている。ちょうどカメラを向けたとき、レモンが水の中に落ちていった。

E 28-75mm F2.8
ISO12800 75mm f5.6 1/8000秒

渋谷ストリーム前の広場にて

さて、今回の参加者がようやく揃ったところで、場所を移動することになった。続いての撮影スポットは、渋谷ストリームという大きなショッピングモールビルの前にある広場である。

歩道橋から渋谷ストリーム前に降りるエスカレーターは天井がミラーになっている。カメラを天井に向けたらおもしろい写真が撮れた。きっとこの天井に気付いたのは自分だけだと思っていたのだけど、あとで他の参加者が撮った写真を見ていたら、意外と他の参加者も撮影していた。

E 28-75mm F2.8
ISO8000 75mm f2.8 1/800秒

渋谷ストリームに続く階段は、ステップ面のLEDチューブとムービングライトで華々しくライトアップされている。ライトが絶えず動くので調整が難しい。

少し離れて暗めに撮ってみる。階段を行き交う人達がシルエットになった。こういうシルエット、商業施設の完成イメージ図なんかで見る気がする。しかし何でISO12800で撮っているのだろう。おかげでLightroomでノイズ除去しないと大変なことになってしまった。

E 28-75mm F2.8
ISO12800 38mm f9.0 1/500秒

今度は思い切り近づいて撮ってみる。上からのムービングライトとステップのLEDが変わるので明暗差が激しい。何度も繰り返して撮影しているうちに、自分がどんな感じで撮りたかったのかわからなくなってしまった。

E 28-75mm F2.8
ISO12800 28mm f9.0 1/200秒

渋谷ストリームの前には渋谷川が流れている。川沿いにはおしゃれな飲食店もあり、渋谷駅前とは思えない雰囲気を醸し出している。

E 28-75mm F2.8
ISO12800 72mm f9.0 1/200秒
E 28-75mm F2.8
ISO12800 28mm f2.8 1/1600秒

やはり暖色系の明かりは落ち着きと安らぎを感じる。ついふらりと入ってしまいそうになる気持ちを抑えながら、シャッターを切った。

E 28-75mm F2.8
ISO5000 71mm f9.0 1/200秒

ハチ公前広場にて

最後はやはりここは外せない、ハチ公前広場。渋谷駅の中で一番有名で一番混雑するエリアである。金曜日の夜のハロウィンウィークとあって、広場はカオス状態になっている。どこを見ても人人人で人しか見えない。

カメラを向けるのも躊躇してしまうほど人で埋め尽くされているので、ひとまずカメラを上に向けた。現在の渋谷駅は、見上げればあちこちにクレーンがニョキニョキ生えている。渋谷駅の完成は2027年までなので、あと4年はこの光景が続く。

E 28-75mm F2.8
ISO12800 71mm f9.0 1/800秒
E 28-75mm F2.8
ISO12800 71mm f2.8 1/800秒

ハチ公の銅像も、外国人観光客の写真スポットと化している。渋谷のハチ公は、もはや世界のハチ公である。いつまで経っても主人は現れないし、眼の前に知らない国の人たちがいて、ハチ公もびっくりだろうな。

E 28-75mm F2.8
ISO4000 75mm f2.8 1/100秒

駅前はあまりに撮れる場所がないので、スクランブル交差点を撮ってみることにした。プライバシーに配慮して、人物や車のナンバーを特定できないように少し遅めのシャッタースピードに設定した。(単に流れる感じをやってみたかっただけ)

とにかく人も車も絶え間なく大量に動いているので、失敗しても撮り直しが簡単にできるし、設定もあれこれ変えながら試し撮りが永遠にできてしまう。

E 28-75mm F2.8
ISO2500 28mm f14 1/15秒

E 28-75mm F2.8
ISO100 28mm f4.5 0.4秒

走る車がブレずに撮れるシャッタースピードで撮ってみたのだけど、やはり多少ブラしたほうが頻繁に車が行き交っている感じが出ておもしろい。

E 28-75mm F2.8
ISO1000 28mm f4.5 1/100秒

夜景写真は難しいけどおもしろい

わざわざ車で出かけたり高いところに登らなくても、身近な場所で手軽に夜景写真を撮れる場所はあった。前回の工場夜景写真と比べたら、今回の夜景写真はかなりハードルが低い。渋谷駅のような東京屈指の繁華街は人工光が至る場所に溢れかえっているので、全体的に暗い写真にはならないし、駅周辺を歩くだけでも、おもしろい写真が撮れる。

ただし、人混みで酔いやすい人は金曜の夜はなるべく避けたほうがいい。それと、ハロウィン前後だけは人の多さが半端ないので覚悟しておいたほうがいい。

今度は都心部の違う駅で撮影してみたい。きっと渋谷とは違った雰囲気の夜景写真が撮れると思う。


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