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うつしおみ 第56話 正当と真実

魂はこの世界で何が正しいのかの答えを探して、
長い間さまよっていた。

正しいものを見つけてつかんでも、
それは摘み取った花のように萎れていく。

魂は変わり果てたそれを悲しい目で見つめ、
答えのない旅を思い途方に暮れた。

この世界に正しいものはないと結論づけるのに、
多くの人生を費やしてきた。

正しいものは確かにないのだが、
この世界にはまだ知られていない真実が在るように感じた。

魂はこの世界に正しいものではなく、
世界を世界たらしめている真実を探し始めた。

それは世界が正しいかどうかではなく、
世界が存在するかどうかを見極めること。

世界が存在すると確かめたとき、
それは存在という真実を拠り所としていると分かった。

世界はその時空の流転によって生滅を免れ得ないが、
存在だけは変わらずにあり続けている。

魂がその存在を真実としてつかんだとき、
魂の果てしない旅は終焉を迎えた。

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