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energy flow

音楽を聴いて読むショート第5弾。
今回は坂本龍一の「energy flow」
私は高校生の頃、教授に心酔していた時期があった。
彼は天才で秀才で知性派だった。
なにも持っていない自分にとっては神だった。
そんな神ももういない。
この曲はCMで使われた曲だ。でも私の中で生きずく天才が
言葉になって降りてきた。
表現する場が得られることはなんて、なんて自由な時代なんだ。

小説の作者より説明

繰り返す雪の粒が
屋根に降って押しつぶされそうになるようで
怖くなる

白い窓の外の景色にながれゆく時間を感じ
わたしは独りため息をつく

暖かなこの暖炉の火が
わたしを氷から守ってくれるのに
憂鬱な日々が心を曇らせる

いつかやってくる貴方を待つことに
慣れるのだろうか

いつかその扉から現れる日を夢に見て
夜眠りにつくことができるだろうか

記憶の底
座りながらひっそり笑う貴方の顔を
思い出して過ごす日々を
何時の日か
いい思い出にできるのだろうか

過ぎゆく時の彼方に貴方を置いて
この家を出ていくことができるだろうか

こぼれる涙は大地に染み込み気化して消える
それもまた奇跡

明るい春がやってきて
こうして憂鬱な日々を笑う私を許すと云って

指折り数えてカレンダーをめくる

ワインがひとつふたつ無くなっていく

貴方のぬくもりも忘れていく

耐えられなくて
耐えられなくて

耐えられなくて今日も耳を塞ぐ
時計の針の音が残酷で耐えられなくて

雪はいつの間にか雨になった
外の車の通る音が聞こえてくる

沈黙の音が心で響く

※坂本龍一 「energy flow」から着想。

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