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「カエルの楽園」百田尚樹

だいぶ遅れたが気になってたので読んでみた。

2016年の作品。

日本の政治体制に対する風刺小説。

自国でアマガエルたちは平和に暮らしていた。

ある時、ダルマガエルによる浸食を受ける。

仲間を次々に食われ、アマガエルの存亡に危機が訪れた。

老人たちは「現状を受け入れ、自国で最後まで過ごす」決断をする。

しかし若者は「平和な地を探す」と国を出て旅することとなる。

旅の途中、天敵に出くわし食われる仲間たち。

徐々に人数が減り、ついに二人となる。

二人は命からがら、やっとこさ平和な国に辿り着いた。

そこは「三戒」を掲げることで平和を保っている国だった。

平和な一方、国のありように違和感を覚え始める。

そんな時、平和な国にも危機が訪れるが…

二人は国の行く末を見守ることとなる。


受け身の姿勢は危険

自国に危険が訪れたら、実際どうするのだろう。

普通は政治でどうにかするのだろうけど、権力の問題のありそううまくはいかないもの。

アマガエルたちは体が小さく、大きなカエルには太刀打ちできない。

どうあがいても無理、そういう考えから老人たちは食われることになっても自国に残ることにしたのだろう。

しかし、若者は違った。

食われることを運命と受け入れるのは、また違う。

受け身の姿勢は「考えることを放棄している」ことだと思う。

または、諦めの現れでもあるだろう。

若いアマガエルのように、自分の頭で考え、行動する判断力を持つようにしたい。

自分と違う考えや意見に耳を傾ける大切さ



とはいえ、自分の判断が必ずしも正しいとは言えない。

生きていれば間違えることなんてたくさんある。

間違えて学んで、次に活かしていく。

よく言われていることだ。

しかし、大人になるにつれて頭が固くなるなと常々思う。

アマガエルの二人がたどり着いた国は平和だった。

「三戒」を守っているから平和なんだ、思っている国民たち。

三戒とは、カエルを信じる、カエルを傷つけない、武器を持たない、というもの。

ただ、外の国から来た二人からすると「三戒を守ってばかりじゃ生き残れない」

外界には敵がたくさんいるが、そんなことには聞く耳を持たない国民たち。

そんな国に、強敵ヌマガエルが現れる。

仲間が食われてもなお、三戒を守ろうとする国民。

自分たちの国の法律を守るばかりに、国は滅んでしまう。

いつの時代でも読まれるべき



書かれたのは2016年、令和になる前。

しかし、その内容は今にも通ずるものがある。

国を守るとは、どういうことか。

私は「国民を守ること」だと思う。

他国との友好や敵意を見せないことを優先しても、国民を守れないと意味がない。

「国は国民でできている」と聞いたことがある。

国民を大切にする国はいい国なんだと思う。


国として読むこともでき、一国民として読むこともできる。

すごくわかりやすい、国のお話。



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