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「海賊と呼ばれた男」百田尚樹

出光興産創業者である『出光佐三』をモデルにした歴史経済小説。

出光佐三こと、国岡鐵造が立ち上げた石油取扱店である『国岡商店』を巡る物語。

国岡氏の生い立ちから国岡商店を立ち上げるまでの軌跡や、戦争を通じて変化した時代の流れなど、国岡氏の人生を追体験。

戦前に立ち上げた国岡商店だが、戦争・戦後とこれでもかという程たくさんの壁が立ちはだかる。

そんな苦難が起きるたびに国岡氏の人柄が際立つ。

経営者としての国岡氏、一人の人間としての国岡氏、どちらも魅力的。



店主としての行動力・人間性

国岡氏の行動力はすごい。

時代の流れ、世界情勢を読みほどき行く先を見つめる姿勢。

同業他社と差をつけるにはどうすべきか。

その着眼点はずば抜けており、政治家をも味方につける千里眼の持ち主。

「これが多くの従業員を持つ経営者の姿か」

出勤簿も馘首も定年も存在しない会社。

端から見ると異質だが、その経営理念は胸に刺さる。

国岡氏の人柄や社員への気持ちが社員にも響いており
「会社のために、店主のために自分たちが頑張るんだ」
という清々しいまでの働きぶりには感動した。

そして、国岡氏の行動は社員を守るため、日本のためを思う気持ちからのもの。

うまく言葉では言えないが、今の日本からは失われたものがこの小説で知ることができた。


どこまでも日本のためを思う心

時代の流れには逆らえない。

戦争による甚大な被害、GHQによる不利な統率。

はたまた石油ショックが起きたり。

国岡商店を良く思わない人々による弾圧、私服を肥やしたい政府関係者による嫌がらせ。

時代は違えど、今も昔も経営に立ちはだかる壁は大きい。

そんな中、国岡氏は

「消費者が困っている」

「日本の復興のためには惜しまない」

とどこまでも日本と人のために働いてきた。

「人を信頼するとこが会社経営の始まり」

人徳を重んじた国岡氏のような人物は後にも先にも現れないだろう。

国岡氏の生き方に多くのことを学ばせてもらった。



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