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「老人と海」アーネスト・ヘミングウェイ

年老いた漁師が決死の覚悟で巨大な魚を釣り上げる、死闘の話。

ある時、老人は84日続いた不漁に区切りをつけようと漁に出る。

漁では、かつて見たことのないほど大きいカジキマグロに出会う。

なんと、老人が乗っている小舟よりも大きい。

不漁の区切りにふさわしい巨大魚。

無事、仕掛けにかかるのだが、ここから老人VS カジキマグロの譲れない闘いが始まる。



老人の心の声がなんだか沁みる

いつもは見習いの青年と漁に出かけていた。

しかし、今回は自分1人の力で魚と向き合わなければならない。

ついつい独り言を話してしまう。

漁に大変さを覚えた時、つい独り言を声に出してしまっている時、老人はある言葉を口にする。

「あの子がいたらな」

「いや、いないんだから仕方がない」

なんと切ないんだ…

今まで隣にいて、漁を手伝ってくれた青年がいなくて寂しいのだ。

知らず知らずのうちに、青年の存在が心の拠り所になっていた老人。

老人が発する言葉は、私にとってなんだか切なく、心に沁みるものだった。


結末が忘れられない

様々なことに思いを巡らせながら、漁をする老人。

カジキマグロとの死闘もあり、心身ともに疲れ切っている。

あとは帰るだけなのだが。

その帰路では壮絶な闘いが残されていた。

このラストシーンが忘れられない。

人によって感じ方が違うかもしれない。

「かわいそう」

「残念だ」

ネガティブな感情が多いかもしれない。

私も読み終わった時には「なんて悲惨なんだろう」と悲しい気持ちになった。

しかし、こうして振り返りながら考えてみると、そうでもないかもしれない、と思う。

老人は長い長い闘いを経験し、無事に帰ってくることができた。

その結果は悲惨なものだっただろう。

でも、84日という長い不漁を打ち消すほどの経験と功績になったのではないか。

老人はもう歳だし、ある意味では漁師の仕事に区切りをつけるいい経験だったのではないか。

この闘いを終えたことで、老人の第二の人生が始まるのかな。

そう思う。

教訓とか小難しい感じではないかもしれないが、やり切ったら次!みたいなフランクさで読むこともできそう。

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