「カラスは真っ白」.2
真っ白なベンチは倒れ込んだハトに問いかけました。
「可哀想に.........一体どうしたの?そんなにボロボロになって。」
ベンチの優しい声音にハトは今まで封じていた悲しみや寂しさが溢れて溢れて止まらなくなりました。
ぽろぽろと涙を零しながらこう言います。
「とても平和な公園で暮らしていたんだけれど、乱暴なカラス達がやって来て。」
「僕のことをたくさん殴ったり蹴ったりしたんだ。すごく痛かったし怖かった。」
「だから僕、必死になって逃げた。どこにも行く場所なんてなかったけど逃げたんだ。」
「どこに行っても傷付けられて。僕に居場所なんてないんだなって。」
「それでヘトヘトになって気づいたらここに居たの。」
ハトの涙はもう枯れていて頬を伝う雫は話終えるまでに乾いていました。
するとベンチはこう言いました。
「なるほど。今までさぞかし辛かったろうね。」
「私には君を守る力も戦う力も何もないよ。」
「それでも君の力になりたいんだ。」
「だからね、私を君の休憩所にするといいよ。」
ハトは出会って間もないベンチの言葉に驚きました。
「いいの...?僕のこと、厄介者だって思ってない?もう自慢だった羽も泥まみれになってしまったのに。」
「そんなことこれっぽっちも思ってないよ。君が休みたければ休めばいいし歩きたくなったら歩けばいい。私はただここに居るだけだから。」
ベンチの言葉は慈しみを湛えていて、それはハトにとって初めて覚えた安らぎでした。
「君を少しでも休ませてあげるね。」
その日からハトはベンチのお陰で安寧を手に入れることができました。
もしサポート投げてくれたらなんかいい感じのことに使います。