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臨床の砦 感想

「神様のカルテ」で有名な夏川草介先生の小説「臨床の砦」
先日、文庫本が発売されていたので、購入しました。

神様のカルテは、信州の内科医、栗原一止が患者に対して感動するホスピタリティを提供する場面に私は本を読みながら涙をボロボロ流しました。

臨床の砦は、コロナウイルスと戦う医療従事者を描いた作品です。現役医師である作者の体験というのもあり、内容はかなりリアルな心情や描写がありました。

行政の煮え切らない対応、恐怖を煽るマスコミ、それに対してひっきりなしに搬送される患者に対して奮闘する医師看護師、かなり温度差があります。
感染の恐怖と患者の対応、介護施設でのクラスターの受け入れでスタッフ間の空気は最悪

正体のわからないウイルスに対して、自分も罹患するかもしれない恐怖と戦う医療従事者に対する世間の反応は冷たく、家族間でさえ険悪になってしまいます。
疲れ切って家に帰っても感染の恐れがあれば、車に泊まることになり、しっかり休むこともできません。

コロナウイルスのせいで人間の絆が分断されていくようです。大勢で飲食店に行くこともなくなり、病院や施設の面会はオンライン、実際に会うことができません。
実際会っても、お互いが感染しているんじゃないかとギスギスしてしまいます。

ちょうど、この文章を書いている今、祖母が誤嚥性肺炎で亡くなったのですが、葬儀は家族葬です。本当に限られた親族のみです。10人ぐらいです。

私自身は介護施設従事者ですが、勤務している施設は規模が小さいため、感染に気をつけていれば正直、小説で描かれているような大変な状況ではありません。
なので、物語を読みながら想像してみると、ハンパではない苦労が伺えました。
それこそ私自身と世間で温度差があります。

そういう意味では、臨床の砦を読んで、自分の知らなかったウイルス発生直後の
リアルな世の中を見ることができました。自分のように報道でしか実態を知らないような人に読んでほしいと思いました。

1日でも早い収束を願うばかりです。







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