Podcastアプリ、Overcast開発者の「マルコ・アーメント」とは何者なのか
OvercastがAirPlay2 に対応しました。
AirPlay2とはiPhoneやMacを使っている人はお馴染みのAirPlay機能としてディスプレイの出力先を切り替える機能がありますが、AirPlay2になると複数の出力先に対応されて再生時の遅延がほとんどなくなるため、iPhoneで映像を流して音声だけHomePod等の対応スピーカーで出力する事が可能になるようです。
個人的には記事内にあるVoice Boostのようなエピソード毎の音量を統一してくれる機能の方が利便性は高いと思います。
今回は記事でも取り上げられているOvercastの開発者「マルコ・アーメント」について紹介していきたいと思います。
マルコ・アーメントとは何者か
2013年にYahoo!が11億ドルで買収すると発表したブログサービスの「Tumblr」、マルコ・アーメントとはTumblrの共同創業者のうちの一人です。
買収前の2010年には既にTumblrを離れており「あとで読む」サービスの先駆けであるInstapaperアプリの開発者としても知られています。
Tumblrの創業者として有名なのはデイヴィッド・カープですが、カープはCEO(経営)でアーメントはCTO(技術)として活躍していました。
Appleの経営を担当していたジョブズと技術的な事を担当していたウォズニアックのような関係と言えばイメージしやすいかと思います。
アーメントの特徴を一言で表すならば平凡なフルスタックエンジニアが当てはまります。
フルスタックエンジニア
ウェブプロダクト開発の必要なスキルとしては、マーケティング・デザイン・プログラミング・サーバー管理などがあり、彼はその全てを平均的にこなす事ができます。彼以上に能力が高い人は沢山いますが、全ての事を彼以上に出来る人はなかなかいません。それほど幅広い能力を兼ね備えています。
全て1人で担当する事ができるのでコントロールしやすく、コストを抑えながら素早く動く事ができます。
そのおかげかTumblrの開発は2週間で完了し、公開後最初の2週間で7万5000人を超えるユーザーを獲得する事ができました。
いい意味で平凡で現実的
トータルで考えた時の能力値が高いマルコですが、それほど派手な人生を送ってきたとは思えません(いい意味で)
たとえばシリコンバレーで活躍しているエリートエンジニア達のようなMIT/スタンフォード/ハーバードといった素晴らしい大学出身の経歴は無く、小さなリベラルアーツ大学を落第点の連続で半年遅れで卒業しています。
ウェブプロダクト開発の工程を全て平均的にこなせる彼ですが、ひいき目に見てもエリートとは言えません。
ですがエリートでは無いからこそ、現実的な目線で物事を見て必要な機能や決断を下す事ができます。
Tumblrを辞めた理由も
「大きくなりつつあるTumblrを技術的に指導できる経験値がないから」
とあっさり認めていますし、
当時大ヒットしていた「あとで読む」サービスのInstapaperにしても
「あと2−3年ですたれることは大いに考えられ、その時に備えて新しいアイデアを考えなくてはいけない」
とコメントしていました。
(後にAppleのSafariブラウザにもリーディングリストとして「あとで読む」機能が実装されるはるか以前のコメントです)
Overcastの特徴
そんな彼の特徴はプロダクトに反映されています。
Hi, I’m Marco (👋). It’s just me here — no big company or investors.
Overcast is a self-funded app that has sustainably succeeded on its merits and respected your privacy for the last 5 years.
(訳: こんにちは、私はマルコです(👋)。私一人で開発しました。大企業や投資家は関係していません。
Overcastは自己資金によるアプリで、過去5年間にわたってそのメリットを持続的に成功させ、プライバシーを尊重しています。)
Overcastはアーメント一人で開発されています。
個人のプライバシーを重視する世間的な流れとしてクッキー離れ が進む昨今、企業や投資家から無縁の存在である1個人の開発者だけで開発されているという点は「プライバシーの尊重」という点でメリットがある事だと考えられます。多くの関係者にユーザーデータが渡る心配が減ります。
基本無料でありつつ、アプリ内で配信される広告のためのシステムは独自に構築され、年間10ドルの金額を払えば広告を非表示にすることも可能になっています。
自己資金だけで成り立っているので、アーメント一人が生活できていれば運用されていきます。
最後に
エリートではなく、現実的な目線を持っているからこそ一般的な人々の不便や不満を感じて解決策を考え、他の技術者の力を借りる事なく一人で開発する事ができる。
それがPodcastアプリ「Overcast」開発者マルコ・アーメントです。個人開発が好きなエンジニアや企業家の方からはとても魅力的な存在に思えます。
アーメントについては以下の記事で詳細に書かれています。
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