見出し画像

武器よさらば

📘【武器よさらば】
ヘミングウェイ 1929

「・・・傘は小さいけれど、持ってきてよかったわ。」 キャサリン

僕はイタリア戦線の救護車部隊に配属され、中尉として現場を取り仕切っていた。新たな戦闘が始まろうとしている頃、休暇から前線へと戻ってくると、僕が不在の間にイギリス人看護婦の一団がやってきて病院を設営していた。キャサリンいう看護婦に出会った。彼女はこの戦争で婚約者を亡くしたということだった。翌日の午後、僕は再び彼女を訪ね、キスしようとしたが、手酷くぶたれた。僕は彼女に恋していたわけではなく恋愛遊戯を楽しむつもりだった。ところが、彼女はそのことを見破っていて、素敵なお芝居だったわ、と言うのだった。彼女とまた会ったのは、作戦に出かける前だった。彼女はお守りのロケットをくれ、僕はそれを首にかけた。その夜、4人のイタリア人救護車ドライバーたちと、この愚かしい戦争に悪態をつきながら塹壕で食事をしているとき、オーストリア軍の追撃砲弾が炸裂した。足にひどい怪我を負った僕は野戦病院に運ばれた。僕は何も活躍していなかったが、勲章をもらえるらしかった。僕はその後ミラノの病院へと移された。まもなくキャサリンがやってきた。

🖌️
作者ヘミングウェイは第一次世界大戦中に赤十字社の志願兵としてイタリアで従軍し、怪我を負ってミラノの病院に入院する。そこである看護婦と恋に落ちる。ヘミングウェイ自身の体験を下敷きにして描かれた悲観的な戦争小説。
「武器よさらば」・・・この物語は、主人公フレデリックの告白の形になっている。
フレデリックが義勇兵となったのは、忠君愛国ではない。冒険を求めたのである。その冒険が本当の戦闘に変わる。遊戯のつもりで求めた恋愛が、無垢で崇高な本気の愛に変わる。

・・・・・

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?