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ムーミンパパ海へいく

📘『ムーミンパパ海へいく』
トーベ・ヤンソン 1965 

1965年に出版されたムーミンの最後から2番目の小説。ムーミン一家が、安全で慣れ親しんだムーミン谷から遠く離れた灯台の島に引っ越します。島は、海や嵐、自然の脅威にさらされています。この物語は、ムーミンパパが「平和でうまくいきすぎている暮らし」に不満を抱き、自分自身、つまり自分の本質を見つけようとする物語です。ムーミンパパは赤ん坊のとき、「ムーミン捨て子ホーム」の階段におきざりにされました。(しかも新聞紙にくるまれて!)。捨て子ホームではしっぽに不吉なしるしをつけられ、おじぎをするときは、しっぽを45度の角度でうえにぴんと立てねばなりませんでした。規即ずくめのその場所から短い足で必死に脱走したパパが、自由と冒険に憧れるようになったのはとうぜんといえばとうぜんです。ムーミン一家にはしばしば、嵐、洪水、彗星、などの災難がふりかかる。でも、その災難のあとの「日の出の美しさ」や「コーヒーのおいしさ」は、憧れるだけでは得ることはできない。自由と冒険があってこそなのです。

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