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メンタリスト感想メモ 23

S7-6 「グリーンライト」

麻薬取締局の摘発が失敗し、捜査官が殺される事件が起きる。
そのチームを率いているピーターソンはかつてアボットの上司だった。

チーム内の内通者と殺人犯をあぶりだすためにジェーンたちが動き出す。

ピーターソンは2年以上部下が敵と内通し、情報を漏らされていても
気づかないうえに、手柄だけは自分のものにするような卑怯な男で、
アボットのある秘密を盾に脅迫してくる。

10年前、アボットはメキシコで麻薬カルテルのボスを
密かに射殺した過去がある。
それは多くの人の命を救い、カルテルを壊滅させる発端となったが
あくまでもそれ自体は重犯罪で、このことが明るみに出れば
アボットの人生は終わる。
しかも、ワシントンDCで官僚としてのキャリアを積む彼の最愛の妻も
スキャンダルにまみれて終わりだ。

苦しい状況をアボットはジェーンにだけは打ち明ける。
「どうしていいかまだ分からないけど……答えが出たら教えるよ」
ジェーンはそう言ってこっそり片づけようと思っていたのかも
しれないけれど、ピーターソンの傲岸で無礼な態度に
「もう我慢できない。その脅迫を取り消せ。
 そして僕の大切な友人に謝るんだ」
と正面から『宣戦布告』する。

ここもジェーンが大きく変わったことがわかる。
いままでジェーンは誰かを守るために「暗躍」したことはたくさんあるが
真正面から「友人のために」と宣言するのは初めてだ。

CBIの解体からレッドジョンの追跡、南の島でのオファー、そして現職。
リズボンとのすったもんだの時も、
アボットは一貫してジェーンを見守ってきた。
嘘つきと知り、危険な男と知りながらも
メガネの奥でおもしろがるように瞳をきらめかせて
ジェーンを信じ、その才能を最大限活かして応援してくれた。
彼はいまその「恩義」に応えようとしているのかもしれない。

ジェーンはある意味とても利己的で、真犯人を暴くのも、
事件を解決するのも、基本的には個人的な興味と趣味だ。
CBIにいるときは、そこがレッドジョンへの一番の近道だったからだし、
誰も解けない謎を解きたい。賢ぶってる犯人の鼻を明かしてやりたい。
リズボンと一緒にいたい。事件を解決して彼女と喜びを分かち合いたい。
自分を必要だと思ってほしい。
ジェーンが犯罪捜査を仕事にしているのはそんな理由からだ。
それがCBIやFBIの思惑と一致しているに過ぎない。
でも、ここにきてジェーンはそれだけでない何かを見出したように見える。

もうひとつ。
若くてまっすぐなヴェガはジェーンのやり方にどうしてもなじめない。
わなを仕掛け、ルールを逸脱して人をペテンにかけるようなやり方は
フェアではないと思っている。
彼女の亡くなった父親は厳格な軍人で、
彼女は父を非常に尊敬し誇りに思っていた。
その分、その価値観に縛られて自由になれずにいる。
「お父さんは立派な人だったんだね。君を見ればわかる。
 君はぼくのやり方をお父さんが認めるだろうか?って考えてる。
 でも、それは問題じゃない。君が、決めることだよ」

ジェーンは優しくそう言って、
自分の価値観で人生を歩いていくように導く。

これも大きな変化だ。
いままでジェーンは他人にどう思われようと
意に介することは全くなかったし、
「新人を育てる」みたいなことはあり得なかった。

ジェーンが実は一番苦手で、下手な部分。
「他者とのかかわり」「自分を素直に受け入れて認めること」
「真摯に人と向きあうこと」
そんなことが少しづつできるようになって、より一層魅力的になっていく。

そして、それはもちろんリズボンを得たことが大きい。
彼女はジェーンの誕生日を心を込めて祝う。
キャンピングカーの周りをかわいいライトで飾り、
小さなカップケーキにろうそくを立て
「さあ、願い事をして」と笑い、用意していたプレゼントを渡す。
その小さな箱をジェーンは本当に嬉しそうに撫で、
開けるのすら惜しいという顔をするのだが、リズボンに笑われて
そっと開けた箱の中身を見たジェーンは涙ぐんで感激する。

それがなにかはここでは書かないけれど、
それは本当にジェーンが大切にしていたもので
一度は壊れたふたりの過去が詰まった思い出の品なのだ。
彼女は一緒に過ごした時間と、思い出そのものを
彼にプレゼントしたのである。

「君って人は…ほんとに…。ありがとう。本当に嬉しいよ」
bravo! 小さな声でそう言ってキスをかわし、
乾杯して誕生日の夜を過ごすふたり。
『悲劇の夜』以来初めて、心を込めたお祝いをしてもらった
ジェーンの時間が再び動き出してゆく。
これからは誕生日やクリスマスが温かく幸せな日になってゆくのだ。

ちなみにジェーンの誕生日は2種類あって(笑)
運転免許証では1969年7月30日、
別の書類(うふふ)では1974年9月16日になっている。

サイモン・ベイカー本人は1969年7月30日生まれなので、
免許証だと実年齢ってことだね。
まさか、本物の免許証使ったわけじゃないだろうな(笑)

でも、ジェーンはしし座よりおとめ座っぽいかなぁ。

今日の一曲
Lady and The Tramp「Bella Notte」