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◉【おもてなしに学ぶ】(茶道家メモVol.7 わび茶のルーツを紐とく)#39

茶人の系譜を調べると興味深いものがあります。それは、わび茶のルーツです。
 
千利休の系譜をたると、
茶人の村田珠光(むらたじゅこう)がいます。

僧侶の村田珠光は、
簡素な茶室で心の静けさを求め、お客様との精神交流を大事にすると説きました。

それまでの茶会は豪華絢爛な道具を鑑賞する場でしたが、茶人の精神性の高い交流の場とするべく四畳半の茶室を創案し、不完全な美を尊ぶ「侘(わ)び茶」の基礎を作ったといわれています。

 
単なる遊興に過ぎなかった茶の湯は、「わび(簡素簡略の境地)」という精神を持った「茶道」として確立されていきました。

村田珠光が提唱した「侘び茶」の道をさらに推し進めたのが室町時代末期の豪商で茶人の武野紹鴎(たけのじょうおう)であり、
その後安土桃山時代に紹鴎の弟子である千利休によって完成されたのです。

 
娯楽性の強い茶会に対し、
安土桃山時代に入るとそれまでの楽しみや遊びといった要素は薄れ、お茶の作法に禅宗の礼法を統合した「侘び茶」の精神に重きが置かれるようになり、やがてお茶の扱われ方が一変していきます。
 

天下一の茶人としての地位を確立した千利休は、侘び茶をさらに発展させ、その後の茶道の展開に大きな影響を与えていきます。
 
わび茶という概念は、
茶道の流派が広がろうとも、
その根源にある先人の教えや精神を大切にする日本人の忘れてはならないもの、自然への敬愛をくみ取ることができます。

わび茶のルーツには目の前の現象だけに執着しない日本人の精神性の高さを感じます。


お茶の世界観を紐解く茶道には自らを整えることにとどまることなく、同じ空間に同じ時を過ごす相手に対する配慮や相手に喜んでもらえるよう、茶人にとっても相手にとっても、一期一会の人格形成の旅路にある人間関係学だと思います。

おもてなしは心身ともに幸せになる為の人間関係学だと感じています。

あなたはどんなおもてなしをしていますか。

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