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最近、聞いたことない名前の「エアライン」が国内空港に続々就航しているワケ

国際線の速い復活

 日本発着の国際線において、新型コロナ禍からの復活、および新規就航が相次いでいる。
国際線の便数増加は、
・インバウンド(訪日外国人)による旅行が人気である
・渡航制限が緩和されて日本人も海外旅行へ行きやすくなった
ことが関係している。2023年の大型連休には多くの日本人が海外旅行へ行き、空港が出国者で混雑する様子などがニュースで多く報道された。

 現在、日本人が海外旅行再開へと動き始めたペースより、日本発着の国際線の運航再開・新規就航のペースのほうが明らかに速い状況だ。新規就航するようになった航空会社のなかには、多くの日本人が今まで聞いたことがないであろう名前の会社もある。 
 一連の就航ラッシュは、インバウンド向けであることにほかならない。格安航空会社(LCC)を含む日系航空会社の再開や増便も、そちらにシフトしつつある。

コロナ前の6割まで回復


 日本政府観光局(JNTO)は先日、2023年4月の訪日外客数(推測値)を発表し、「国際線定期便に関しては、コロナ禍前の約6割まで運航便数が回復している」と明らかにした。
 コロナ禍では、ANAやJALは国際線の9割以上を減便した。そのほか、外資系エアラインの多くが運休。国際線のターミナルは利用客がおらず閑散とし、大半の店舗が休業して、なかば“ゴーストタウン化”したのは、いまだ記憶に新しい。
 それから3年あまり。2022年10月に外国人の観光目的での入国が可能となって以降、再開、増便、そして新規就航ラッシュとなっている。2023年の主な新規就航の外資系エアラインと路線は次のとおり(2023年5月時点、※は就航予定日)

・タイベトジェット:大阪-チェンマイ
・エルアル・イスラエル航空:成田-テルアビブ
・グレーターベイ航空:成田・大阪-香港
・バティックエアマレーシア:成田-クアラルンプール、大阪・札幌・名古屋・那覇-台北-クアラルンプール ※那覇線は8月16日~
・ウエストジェット:成田-カルガリー(カナダ)
・ヴァージンオーストラリア:羽田-ケアンズ ※6月28日~
・エアアジアフィリピン:成田-セブ ※7月1日~
・ビーマンバングラディシュ航空:成田-ダッカ ※9月~(見込み)
・エティハド航空:大阪-アブダビ(アラブ首長国連邦) ※10月1日~
・ターキッシュエアラインズ:大阪-イスタンブール(トルコ) ※2023年12月12日~


 上記以外にも、既存路線の再開や増便が行われている。入国規制があった当時、週に数便程度だったものも、デーリー化やダブルデーリー化など、2023年の夏ダイヤで一気に便数が増えた。

 そのほか、2022年末に成田-ソウル仁川線で新規就航した韓国の「エアプレミア」など、コロナ前後に登場した新興航空会社が日本に就航するケースも。香港のグレーターベイ航空なども同様だ。

 また、ウクライナ情勢の影響でロシア上空を飛行できなくなった欧州系航空会社より、以前から南回りルートで運航する中東系航空会社の勢いが目立つことが特徴として挙げられる。


 上記以外にも、既存路線の再開や増便が行われている。入国規制があった当時、週に数便程度だったものも、デーリー化やダブルデーリー化など、2023年の夏ダイヤで一気に便数が増えた。

 そのほか、2022年末に成田-ソウル仁川線で新規就航した韓国の「エアプレミア」など、コロナ前後に登場した新興航空会社が日本に就航するケースも。香港のグレーターベイ航空なども同様だ。

 また、ウクライナ情勢の影響でロシア上空を飛行できなくなった欧州系航空会社より、以前から南回りルートで運航する中東系航空会社の勢いが目立つことが特徴として挙げられる。

日系各社もインバウンド向けにシフト

 日系航空会社の国際線も、再開や増便のラッシュが相次ぐ。
 例えば、ANAは2023年4月、中国便の大幅な増便や再開などを発表。
中国から日本入国の際に義務付けられていた出国前72時間以内の陰性証明書が、4月5日から不要となった。
今後、日本と中国の往来が活発化することが予想される。
 加えて、2020年4月11日より約3年間閉鎖されていた羽田空港第2ターミナルの国際線発着が、2023年7月19日から再開されることもこのほど発表された。

 LCCのピーチは、2023年5月11日から羽田・大阪-上海浦東線を再開。
ソウルや台北、バンコクなどの路線では増便している。
一方で、成田発着の国内線などを半減しており、訪日客の取り込みを狙う意図が見て取れる。
 ジップエアも2023年の夏ダイヤで成田-サンフランシスコ線、マニラ線を新規就航。大手航空会社の運賃が高止まりのなか、燃油サーチャージを徴収しない両LCCは、日本人のみならず訪日外国人からの人気も高い。
 外資系エアラインがLCCを含めて続々と就航するなか、日系航空会社のインバウンド向け路線の就航は今後も増えるだろう。訪日旅行が人気の今、ビジネスの面から見ると利益を上げる絶好の機会なのは間違いない。

円安では日本人のメリット少なめ

日本料理や日本の温泉などは、以前からインバウンドに人気が高い。
だがそれ以上に、昨今の円安による「お得」感が大きい。
日本で消費する食事も、宿泊費も、買い物も、彼らにとってはなにもかも安いのだ。欧米などの先進国のみならず、東南アジアなどの新興国からも次々と訪日している。

 逆に、日本人にとって円安は厳しい。コロナ前は「1ドル = 108円」ほどだったのが、現在は「1ドル = 約140円」となり、一時は150円を超えたことも。現地の物価も軒並み上がっており、国によってはコロナ前の3割から5割増しといった感覚を抱く。

 加えて、インバウンド人気で座席が埋まることによるダイナミックプライシング運賃で航空券代が高騰。ウクライナ情勢などで一時最高値となった燃油サーチャージも負担となっている。

 今なら、コロナ禍で海外へ行けなかったぶんを取り戻そうと、かかる費用に多少目をつぶってでも海外旅行へ行く人がいる。しかし、この円安がいつまで続くかわからない。

 日本旅行業協会(JATA)が「パスポート取得費サポート」など、海外旅行を推奨するキャンペーンを行っているものの、円安という根本的な問題が解決しないままでは、日本人の海外旅行が大幅に増えるとは考えにくい。

今の日本路線は「ドル箱」

 公式ウェブサイトに日本語ページすらない航空会社が日本発着便を運航しているが、利用客の大半が外国人であれば、大した問題にはならないだろう。

 実際、大型連休時期などを除くと、国際線の多くで日本人旅行者は非常に少なく、外国人の数が圧倒的に多い。

 もちろん日本人がお得な運賃で新規就航の航空会社などを利用することはできる。だが、日本語サポートが期待できず、日本人客室乗務員もいないような状況だと、よほど旅慣れた人でない限り、利用のハードルは非常に高い。

 結局、航空会社にとって今の日本は、お得かつ、もうかる国と言える。コロナ後の日本への運航再開と増便、そして新規就航ラッシュは今後も続くだろう。

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