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【朗報】企業が”サステナビリティー実現”のためにNPOと協働する時代が到来した

サステナビリティー人材は異業種から ソニーGはNGO(日経新聞)

という記事が昨日掲載されていました。

有料記事となっているので、内容を要約すると、


①企業のサステナビリティー必須の時代:
ESG投資の潮流を受け、企業はサステナへの取り組みが手薄だと、事業活動や資金調達が難しい時代に突入している。脱炭素、人権侵害、生物多様性の保護、クリーンな原材料の調達などに取り組んでいなければ投資家の評価を下げることにつながる。
②社内のサステナ人材不足:経営者がサステナビリティー専門部署を新設することも多くある一方で、「サステナ担当部署のほとんどが未経験者という企業もある」という実情があり、十分な成果をあげていないケースも散見される。
③セクターを超えたサステナ人材の争奪戦:サステナ人材採用ニーズが高まる中で、そもそも人材市場に潜在的な担い手が少なく人手不足感が強い。事業会社だけでなく、コンサル・金融もサステナ人材の採用を行っているため、給与水準的に事業会社のサステナ人材の採用が難しい。

サステナビリティー人材は異業種から ソニーGはNGO 日経産業新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC114XA0R10C23A9000000/

という流れを受けて、ソニーはNGO出身の中途社員を採用して、NGOの経験を生かし国際団体やNGOと関係構築したり、人道支援などで連携したりする仕事を任せていると。

この潮流は、


企業目線で、NPOが自社のサステナビリティー実現のパートナーになる

NPO目線で、企業がNPOの経験やスキル・人材を求めている

という時代に突入したことを感じさせます。

そもそも、なぜ企業がサステナビリティーに取り組まなければいけないのか?

記事の中では、企業がサステナビリティーに取り組まなければいけない理由は、ESG投資の潮流を受けた投資家への評価、という点しか触れられていませんが、ここは多様な理由があると思います。

大きな点としては、企業が気候変動や原材料調達における人権デューデリに取り組まなければ、事業活動を存続できなくなる、という点が挙げられます。

2023年4月に経済同友会が発表した「共助資本主義」レポートの中でも述べられていましたが、

  • ビジネスは社会があるからなりたっており、このまま行くと社会が崩れる。企業がビジネスを通じて利益を上げ続けるためには、脱炭素や人権問題に取り組んでいなければいけない

  • サステナビリティーは企業だけでは実現できず、行政やNGOなどセクターを超えて協働をしてくい必要がある

  • 社会・環境問題にに取り組まないことは事業リスクであり、NGO/NPOなど多様なステークホルダーとの連携は長期的に企業価値の向上につながる

このレポートにおいて、事業そのもののサステナビリティーが問われている、という点が強調されていますが、これが企業がサステナに取り組む大きな理由の一つです。

(サステナビリティーに取り組む理由として、投資家の評価の方がわかりやすいですが、ここだけに目を向けると、「きれいなIR作成してればいいんでしょ」みたいな捉え方もできるので、ここには牽制球を投げておきます)

企業のサステナビリティーってどうやって実現するのか?

では、実際に事業会社がサステナビリティーを実現するためには、どうするのか、という話になった時に直面するのが、「サステナビリティー人材をどう確保するか」というのがこの日経の記事の論点になっています。

その方法として、大きく3つ挙げられています。

①サステナビリティー専門のコンサルへの外注
②外部人材の中途採用
③社内のポテンシャル人材の新卒採用・育成

①サステナビリティー専門のコンサルへの外注

資金のある企業であるならば、コンサル会社へ外注して、まずは排出二酸化炭素の可視化やマテリアリティの策定など、外部人材に頼れることができます。一方で、企業が持続的にサステナビリティーに取り組むとなった時に、コスト・継続性・社内の知見的を考えても外部コンサルに頼り続けていてはいけないとなり、人材の採用を考えます。

②外部人材の中途採用
ここで、サステナ人材の中途採用を考えるわけですが、人材市場にはサステナ人材がまだ少なく、人材の取り合いになっているというわけです。コンサル側も企業のサステナビリティー関連の事業ニーズを感じて、コンサルの給与水準で人材を採用しようとするため、人材がそちらに流れており、事業会社の中途採用が難航していると。そこで、ソニーは国際NGOで人権や人道支援に関わっていた人を採用している、という流れです。

③社内のポテンシャル人材の新卒採用・育成
長期的な目線を考えた時に、社内でサステナビリティーのポテンシャル人材の採用・育成を行っていくというのも、一つの手です。その際に、企業がどのようにサステナビリティー人材を育成していくか、というのも次なる問いかと思います。

サステナビリティー実現のための、企業とNPOの協働

ここまで、企業がサステナビリティーに取り組む上で人材の確保・育成が重要かつ急務となっており、NPO/NGOの経験・スキルが求められている、と紹介してきました。

NGOの成り立ちから考えると、NGOにとって企業は監視すべき「敵」であり、多くの場合対立関係にあり、企業もNGOとの関係を良い距離感をとってつかず離れずの関係でした。しかし、このESG/サステナビリティーの時代において、企業がNGOに歩みよってきており、一緒に協働をしていきたい、と申し出てくれているわけです。

この潮流をNPO/NGOの目線で考えると、企業を寄附者としてだけでなく、自社のミッション達成のためのパートナーとして捉え直すこともできますし、さらに自社の経験を売っていく顧客にもなりうるわけです。

さらに、NPO/NGOで働く個人からすると、これまでNPO/NGO→企業へのキャリアチェンジは、かなりハードルが高く狭きもんでしたが、今ではサステナ人材として潜在採用者になっています。これは、NPOで働く人のキャリアにとって、かなりプラスです。(記事の中で、事業会社はコンサルとのサステナ人材採用合戦に給与面で負けているということもあり、NGOからも採用している、ということですから)

実際に、新卒でNGOに就職した私の最後まで悩んだ点が「NPOから企業への転職はまずできない」という点でした。

NPO→企業へのキャリアチェンジを考える上では、ただNPOで働いているというだけではもちらん不十分で、企業がサステナビリティー実現のために求めている専門性がNPOで培われたのか、という点が見られます。したがって、NPOでの経験がどう企業に貢献できるのか、は深掘りが必要です。むしろ、現場での経験は企業の求めていることとは乖離があるかもです。

まとめ

企業のサステナビリティーへの取り組みが至上命題になっているこの時代で、NPOに求められている役割がこれまで以上に高くなってきています。そういう意味で、企業はNPOへの理解を高める必要がありますし、NPOは企業と協働できるだけのキャパシティーを作っていかなければいけません。まだまだやることはありますが、向かっている方向は非常に前向きで、もっと業界・セクターを超えた人材の交流が増えていけば、いいなと思います。

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