ムラサキツユクサ(誕生花ss)
ひとつ下の後輩は、ことあるごとに私を尊敬していると言う。私の作った書類が丁寧で綺麗だとか、電話応対がスマートだとか、アドバイスが的確だとか。それはただ単に、私が入社してすぐに先輩から教わったことを実践しているのに過ぎないのだが、彼は私の一挙一動に瞳を輝かせて、さすがっす、と呟くのだ。
「オレ、先輩みたいに仕事が出来て優しい人が隣の席にいてくれて、マジで助かってます。ありがとうございます」
「いや、本当にそんな、凄いことやってないから……当たり前のことしかやってないから」
「