大学生の間に「英語」だけは本気で勉強して、
卒業する頃には英語もある程度話せるように
なると目標を掲げた大学1年生の春。
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18年間野球しかやって来なかった私も
英語の勉強は継続して勉強することができた。
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なぜ英語の勉強は継続できたかというと、
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「英語は野球より簡単」だったからだ。
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真夏のいつ終わるか分からない守備練習や、
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真冬のいつ終わるかわからないランメニュー、
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筋肉繊維がブチブチっと切れてるのに
終わらせてくれない筋トレ。
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どんだけ過酷な練習をしたとしても、
結果が出ることを約束されてるわけではない。
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しかし英語は涼しい部屋で30分、やればやるだけ
単語は頭に残り、着実に成長していることが分かる。
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やっぱり英語の勉強はコスパがいい。
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野球の練習には何度も嘘をつかれたけど、
英語の勉強は決して嘘をつかない。
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だから英語の勉強は楽しかった。
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中学英語を徹底的に勉強した後は長文読解
をやり、分からない単語は単語帳にメモ
をして、練習の休憩中や監督がミーティングを
する前にタラタラしてなかなか来ない隙間時間
に暗記する。
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今考えれば野球部の中でかなり浮いていた。
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そんな私を見て、
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「英語勉強してんねんやったらちょっと
英語話してみてぇや」
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と、言ってくる奴もいた。
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「今は話せない」
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と言うと、
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「英語はな、留学せな話せるようにならんぞ」
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と、今思えば同年代のクソガキがどの目線
でアドバイスしとんねんというようなことを
言ってたけど、あいつの勝ち誇った顔が超絶
悔しかった。
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「英語なんて勉強して単語覚えたところで
話せるようにならんかったら意味ないで。
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そんなことよりパチスロの方が未来あるぞ」
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と言ってそいつは練習が終わった後は
パチンコ屋に行く。
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私は練習が早く終わったら図書館に行って
長文読解をしてるけど、こんなことしてたら
一生英語を話せるようにならない。
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野球で例えると毎日素振りはしてるけど
バッティング練習はしてないから試合で
いきなり打席に立ってもイメージがつかない
から打つことができない状況だ。
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英語を話せるようになるには、
英語を話さないといけない。
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かと言って留学する時間もないし、
週に一回英会話教室に通おうかと思い値段
を調べてみると、
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週1回のレッスンで1万円。
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月4回の英会話教室に通うのに4万円の
月謝が必要になる。
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ん〜、貧乏大学生の私には手が出ない。
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私の大学生活は素振りで終わってしまうのか。
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でも今の資金状況では素振り以外すること
ができない。
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英会話教室の下見の帰り道にフラッと
立ち寄った本屋さんで英語の参考書を
探していると、気になるタイトルの本
が目に入った。
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「1ヶ月10万円留学の衝撃！
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フィリピン超格安英語留学」
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え、1ヶ月留学して10万円！？
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私が調べてた短期留学のプログラムは
アメリカやカナダ、オーストラリアで
学費だけで1ヶ月50万円くらいした。
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渡航費や滞在費を入れたら100万は超える。
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なのに、滞在費も食費も学費も込みで
フィリピンは月10万円！？
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そもそもフィリピン人って英語話せるの！？
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その本を立ち読みをした。
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血の流れが急激に早くなるほどその内容
に興奮したことを覚えている。
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フィリピンはアメリカの植民地だったことや、
7000個以上の島から国が成り立ってることで
それぞれの島に住む人達が独自の言語を話すので、
フィリピン人同士でも英語で会話することがある。
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フィリピンの人件費は日本人と比べて
1/10の値段で雇うことができるので、
それだけ安価で留学できることを知った。
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そして、アメリカやカナダの学校では
1人の先生に対して非英語圏の生徒が10人
のグループレッスンが主流だが、フィリピンは
基本的にはマンツーマンレッスン。
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そしてその本にはこんな魅力的な
ことが書かれていた。
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「オンラインレッスン、毎日50分で月額10,000円。」
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え、毎日50分で月10,000円！？
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英会話教室だと1時間1万円もするのに、
フィリピン人とのオンライン英会話は
毎日1時間近く話して月1万円。
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2回無料レッスンを受けられるとその本に
書いていたので、その本をレジに持って行って
お支払いをして、私はすぐに家に帰って
レッスンを受けてみた。
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Skypeをインストールして、時間になったら
予約した先生から電話がかかってくる。
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レッスン内容は初心者ということを先生も
把握してたので、オンラインテキストが
送られてきて、そのテキストに沿って
レッスンを受ける。
　
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テキストに沿って先生が英語で質問してきた
ことを、日本語で書かれた内容を読んで、
質問内容を把握して知ってる英単語を作って
答えてみる。
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👩🏽‍🦳
「How old are you?」
〔あなたは何歳ですか？〕
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👦🏻
「I am 19 year old.」
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👩🏽‍🦳
「Correctly say I am 19 "years" old」
〔正しくはこうやって答えるのよ〕
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こんな感じでレッスンを進めていく。
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俺、外国人と英語で話している！
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月1万円だったら、コンビニで深夜アルバイト
してるお金から払うことができる。
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私はすぐにレアジョブ英会話に登録し、
朝25分、夜25分、合計50分のレッスン
を受ける日々が続いた。
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大学生の間に2,000レッスン、10万時間
英会話をオンラインでしたおかげで卒業する
頃にはある程度英語を話せるようになっていた。
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今思えば、野球の練習が終わった後に深夜の
コンビニで眠い目を擦って働いていただいた
お金で英会話代を払っていたのが良かった
のかもしれない。
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1レッスンも無駄にせずに集中して、
終わったら復習、レッスンの前には予習
をしていた。
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"身銭を切る"
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ことの大切さはこの時実感した。
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野球部は大学3年生の時に引退することにした。
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引退したらフィリピンに留学しようと思って
たので、毎月5000円貯金をして、20万円を
使って念願のフィリピン留学をした。
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佐原総将初の1人海外はフィリピンのセブ島。
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そこで今後の人生に大きく影響を与える
事件が起きるとはこの時は知らなかった。
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続く
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第3話予告
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路上で川の字になって眠る家族、
同年代の女の子が売春を持ちかけてきたこと、
深夜に爆竹を使って遊んでるストリートチルドレン、
タクシーの運転手にぼったくられたこと。
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学校が同じだった日本人の友達は
その光景に嫌気をさして帰国する者、
悲しむ者、怒る者がいた。
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しかし私は全く違う感情を抱いてしまった。
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