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第6話「きっかけ①お兄さんの夢は何?」

大学を卒業後、私は愛知県にあるテーマパーク
「レゴランド」に就職した。


子どもの頃からレゴが好きで、誕生日や 
クリスマスにはプレゼントでレゴを買って
もらっていた。


2017年4月、私が大学を卒業する年に
レゴランドがグランドオープン。


「これは私のために作られたテーマパークだ!」


と、思ってしまうほど絶妙なタイミング
でのグランドオープン。


それに外資系企業だったので英語を使う機会
もあるし、海外のレゴランドで働ける可能性もある。


迷わずレゴランドの就職面接を受けて、
見事合格。


レゴランドのオープニングスタッフとして
2年半働かせていただいた。


私が配属した部署は小売部門で
1年目はレゴランド内にある1番大きな
お土産屋さんで働いていた。


子どもが嬉しそうに大きな箱を抱えて
レジに持ってくる姿を見て、まるで夢を売ってる
ような気持ちになって私はこの仕事が大好きだった。


レゴランドに勤めて1年が経とうとした頃、

「子ども達にレゴの遊び方を伝える」

というワークショップの担当になった。


正社員の私とアルバイトの方数名がチーム
になって、ワークショップの内容を考えた。


それでできたワークが

「子どもの夢をレゴで形にする」

というもの。


①子どもに夢を聞く。

②その夢をレゴを使って一緒に作る。

③子どもの夢をレゴで形にする。


これが結構評判で、人気のワークショップになった。


私はそのワークショップのリーダーで、
運営はアルバイトの子達に任せていたけど、
ある日担当するはずだったアルバイトの子達
が体調不良で欠席し、私がワークショップの
担当をすることになった。


ついにこの日が来たか。


実はずっとやりたかったけど、私は社員という
立場からか、自分が運営するのではなく、その様子
を写真で撮ったり、社内レポートを書くという
役割があったのでワークショップ中は黒子に
徹していた。


一通りワークショップの説明をした後、
例の質問をする。


「あかねちゃんは将来の夢は何?」


「う〜んとね、アイドルになりたい!」


「アイドルか〜、じゃあ今から一緒に
あかねちゃんが将来歌ったり踊ったりする
ステージをレゴで作ろう。」


こうして子ども達とそれぞれの夢をレゴで形に
していき、レゴの知識がある私がパーツの
組み合わせで複雑な表現もできることをやって
みせたりする。


そしたらあかねちゃんが逆に質問をしてきた。


「ねぇねぇ、お兄さんの将来の夢は何??」


え!!


一瞬心臓がキュッと縮こまった。


え、何言ってんのこの子。


将来って、、、もう今が将来やん。


子どもの頃の将来の夢はプロ野球選手だったけど、
野球選手になれないと悟った私は大学から英語を
勉強し始めて、それなりに英語も話せるようにな
って英語を使う仕事をしている。


子どもの頃に描いた将来の夢は叶わなかったけど、
今はレゴランドで楽しく働いている。


私はかなり顔を引き攣りながら答えた。


「レ、レゴランドでこの先も楽しく働くことかな。」


何事もなかったかのように、あかねちゃんは
レゴでアイドルのステージを作り続ける。


その後も何度かこういう質問を逆にされる
ことがあった。


「お兄さんの夢はなんなの?」


その度に困った顔をしながら曖昧な
答えを言っていた。


これで、いいのか。


「子どもの夢をレゴで形にする」


というワークショップ担当のリーダーの
私は夢を持っていない。


夢を持っていないワークショップ担当の私が

「絶対将来なれるよ」

なんて言って、何の説得力があるんだ。


この無限にあるレゴを使って自分の夢を
形作るとしたら、何をやりたいんだ。


私の夢って、何なんだ。


そして、心の中にいるリトル総将は答えた。


「世界一周」


そうだった、フィリピンに英語を勉強しに
行った時に、他の国も自分の目で見てみたい、
違う環境で育った人達と膝と膝を突き合わせて
話してみたい。


いつか世界一周をやりたい。


23歳の総将青年、レゴランドで子ども達と接する
ことにより、自分の夢を思い出す。



レゴランドで働いたのはもしかしたら
靴磨きトラベラーへの最大の近道だった
のかもしれない。


だが、靴磨きトラベラーになるための
きっかけは、これだけではない。


きっと、これだけでは踏み出せなかった。


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第7話「きっかけ②夢発表」


大学4年生の時、人生で初めて訪れた講演会
が喜多川泰さんの出版記念講演会だった。
それから毎年1月の成人の日に愛知県半田市で
開催された喜多川泰さんの講演会に訪れるのが
毎年の恒例行事になっていた。

その講演会では喜多川さんの前に地元の人が
活動内容や挑戦を語る「夢発表」という前座
があった。

3年連続夢発表を聞いてる自分に、心の中
のリトル総将は行った。

「お前、いつまで人の夢を聞いてるつもりだ。

お前は何か発表することはないのか。」

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