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煮詰り型平行チャネル

はじめに

基本的に平行チャネルは上げ幅限定的や下げ幅限定的なときに現れる。つまり、上昇の平行チャネルなら、その上限は上限でロングを手仕舞ったり、新規でショートしたりするラインとして意識される。そのため、それを超えて大きく上昇ことは少ない。しかし、例外に近い形で、上昇平行チャネルの上限や下降平行チャネルの下限を超えて大きく動くときがある。
他のチャネルと異なり、「チャネルになったから、次はこうなるだろう」と捉えるのではなく、底打ちや天井固めの過程で結果的に平行チャネルとなってしまったと捉えるべきかもしれない。

煮詰まり型平行チャネル

平行チャネルにも様々なパターンがある。その中の一つである煮詰り型は一見、方向感のない弱いトレンドを形成したチャネルに見えるが、実際は底固めや天井固めを行っており、大きく動くための煮詰まりを作っているものである。

条件

*全てが揃えば必ず起こるわけでもなく、いくつか欠けていても起こる可能性はある。あくまでも確率のお話。
*詳しくは後で事例を見ながら。

⑴天井固めの弱い急落後(急騰後)
⑵比較的低い(高い)位置での平行チャネル形成
⑶急落(急騰)は節目で反発
⑷反発後、底(天井)で激しくもみ合い
⑸平行チャネルの中ではサポートとレジスタンスを転換させながら上昇(下落)
⑹ネックラインの形成

分類

煮詰り型平行チャネルが出来上がり、ネックラインをブレイクした後、どうなるかは大きく分けて2種類ある。一過性と持続性である。
*詳しくは後で事例を見ながら。

⑴一過性:ネックラインをブレイクした方に一過性に動いた後、反対方向に動くもの。

⑵持続性:ネックラインをブレイクした方向に持続的に動き、トレンドを発生させるもの。

例1 一過性 ダウ

5分足

1時間足

過去のダウのチャートである。赤線で囲まれた平行チャネルを上方に勢いよくブレイクしている。ただ、その後は一過性の上昇で終わり、下落に転じている。先に示した条件を順にチャートと照らし合わせていく。

⑴急落後に上昇平行チャネルを形成している(5分足)
⑵急落に対して底値から半値の位置で平行チャネルを形成している。(5分足)
⑶過去に何度か反発してきた節目で反発している。
⑷節目で反発後、小さなレンジの中で激しく上下している。また、下髭も多くいく、U字を描いているところもある。(5分足)
⑸平行チャネルを下から追っていくと、一度レジスタンスとして下に反発したところが、その後サポートとなっている。(5分足)
⑹急落の半値ぐらいの位置でネックラインを形成し、最終的にそれにへばりつく様な動きをしている。

例2 持続性

15分足

1時間足

4時間足

EURUSDの過去チャートである。こちらは条件を細かく見ていかないが、例1と同様に条件を満たしている。いくらか違いはあるが先ほどのダウと似ていると思う。ただ、平行チャネルを上抜けた後の値動きはまるで異なる。ダウは5分足で平行チャネルを形成し、5分足レベルでの一過性の動きであったが、EURUSDでは15分足で平行チャネルを形成し、4時間足レベルでトレンドといえるような大きな動きを作る初動となっている。
 この大きな違いを作っているのは平行チャネルそのものではなく、4時間足で見て取れるマクロ環境の違いであると思う。4時間足では少なくとも画像の左端から右端にかけて、時間の長く、価格幅の長いレンジを形成している。そのレンジの上限から下限まで一気に下落している。さらに、その下落幅は過去4時間足で発生した下落の幅の中ではかなり大きく、これまでに最も大きかった下落幅(画像の左端の下落の幅)とほぼ同じである。つまり4時間足で下方乖離の限界であったと言える。そのうえ、平行チャネルを形成した位置が4時間足で過去に何度か反発している位置であり、1時間足でも直近に下髭(指標の発表があったような気がする)を付けてダブルボトムのようになっている。
 一方ダウはどうだろうか。画像だけからでは分かりにくいが、1時間足レベル以上では結構高い位置におり、1時間足レベルでのレンジ下限を割るかどうかという環境であった。つまり、マクロの環境では全く逆方向であった。これが一過性と持続性の違いを生んでいる。


まとめ

この煮詰り型の平行チャネルは自分の中ではかなり特徴的で面白いという点でまとめてみただけであって、出現頻度はかなり少ない。ゆえに、このチャートパターンを期待しすぎてはいけない。どのチャートパターンでも言えることだが、期待しすぎて自分の都合のいいようにこのパターンを押し付けてはいけないし、不都合なことから目を背けてはいけない。これは、一過性と持続性を見極める際も同じである。冷静に公平に値動きをマクロ、ミクロと見ていくべきである。迷ったら、静観。


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