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sosoの素(95)

空腹がいちばんの調味料 中編

この前初めて練習試合があった。
もしかしたらこれまでもあったのかもしれないけど、去年はなく、もしかしたらコロナ禍でやれてなかっただけかもしれないし、初めての試みだったのかもしれなしい。
息子の行っているチームにはトレセンに行っている子が3人もいて、チームの人数が少ない割にトレセンに行っている子が多い。
トレセンに通い出してから数ヶ月、毎週うまい子たちに囲まれて練習の回数も増えたから少しはいい結果が出るんじゃないかと期待していた。

ただ懸念材料としてはこれまで1年生の時は5人しかいないため5人制チームとの枠の中で出場していたけど2年生からは5人制がなくなり7人制チームの枠として出場しなければならなくなった。そのために試合に出る場合は1年生に助っ人ととして出てもらわなければならなかった。
ただでさえ2年生が足らないところに前日に急にトレセンに通っている子のうちの一人が風邪の連絡が入り、2年生が4人、1年生が3人の7人での試合。
1年生と2年生だとどうしても体格差や技量の差が大きい。
だけどトレセンに通ってる子が二人は居るからうまくハマればいい試合にもなるんじゃないかと不安と期待の入り混じった感情だった。

息子たちのチームは優しい子が多く、少し劣勢になると気持ちが萎縮して声も足も体も動かなくなり、「がんばれー」「走れー」「守れー」と親の方が熱が入ってしまう。
2試合あるうちの1試合目はまさにその展開で、一点先に取られてしまうとみんなどうしたらいいかわからない雰囲気になり、防戦一方のまま負けてしまう。
2試合目はいつも息子のチームのコーチでもあり、トレセンでも教えてくれてるコーチが上の学年の試合から戻ってきた。
これまでの試合では少し声をかけたり少しコーチングをする程度だったけど、その日は違ってチームが萎縮し始めてる時に息子に向かって「もっと追っかけろよ!」「すぐ諦めるな!」「お前が取らないと誰が取るんだ!」と高学年の子に言うような激しい檄を飛ばした。
そうすると今まで見たことのない必死な顔でボールを取りに行き、取れたら攻めていく、取られ返してもまた追いかけて取り返そうとして、今まで見たことのないくらい真剣で必死な顔でボールを追いかけていた。
試合自体は2年生が少なかっり最初から必死でなかったこともあって大敗だったけど、試合後普段ならお疲れ様ーとすんなり終わるけどコーチはトレセンに通ってる2人を捕まえて試合中と同じくらいの熱量で「お前らが一番できるんだからお前らが一番必死で取りに行かないといけないだろう」「トレセンで何を頑張ってきてるんだ」「いつもトレセンでは今日の子達より上手い子の中で勝ったり負けたりしているのになぜ今日出来ないんだ」とか20分くらい熱い気持ちのアドバイスをくれていた。
親も思ってることと同じことを言ってくれててありがたいと思う反面、この強い圧で言われると息子は悲しくなって泣いちゃうだろうなと隣で見守っていて顔も少しずつ泣きそうな顔になってきたけど、コーチの顔を真剣に見ながら最後に「頑張ろう!」と言ってもらい「はい!」と良い返事ができた。

試合の結果はダメだったけど、厳しいコーチの指導に最後まで泣かずに真剣に聞いて泣きそうなのを我慢していながらも最後に頑張るといった姿勢に僕らはとても感動して、これからも息子をサポートしたいと強く思った。

数日だったある日、トレセンの選抜チームのセレクションの結果が届いてもいい頃になった。結果の通知は合格者のみに郵送で届いて、不合格者には何の通知もない。
トレセンのお迎えに行った時に息子から「トレセンの結果きた?」と聞かれ、来てないよと伝えると他の友達のところには届いていたらしく、がっかりしていた。
僕から見れば息子の実力では難しいだろうし、もしも入れてもらえても練習についていけるかも怪しいので当然だろうと思っていた。
ただそれを知って帰りの車の中で泣き出した。
とても悔しかったらしい。
スポーツは実力が全てで残酷なものでもあって、慰めや労いよりも実力がなかったら選ばれないし、毎回の練習を上手くなりたいと思って真剣にやっていたのか、今うまい子はこれまでに息子よりも先にたくさん頑張ってきてて、その子達に追いつくには毎回の練習を真剣に取り組めるかが大切だし、練習がない時でも毎日積み重ねが大切だから頑張らないとねと息子の現状を淡々と話した。

そんな悔しさのあった3日後、連盟主催の大会があった。

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