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スクラムマスター1年生が参考にしているおすすめ書籍3選

こんにちは、コインチェック株式会社の大村です。

最近、空き時間はもっぱらGPT-4のプロンプトをいじって遊んでいます。プロンプトエンジニアリングの論文を3〜4本読みましたが、ブラックボックステストの極北といった感があり、末法の世を楽しんでおります。

さて、おかげさまでスクラムマスター1年生の1学期を謳歌している私ですが、ログも兼ねて自分がこれまで摂取したコンテンツのうち、実践で役に立っていると感じる書籍を残しておこうと思います。

現役スクラムマスターの方も、スクラムマスターwannabeの方も、これまでアジャイルと縁もゆかりもなかった方も、ぜひご笑覧ください。

なお、コンテンツは下記の指標で評価します。

難易度:読み進めるのが簡単か
応用性:スクラムの実践にどのくらい役立つか
面白さ:読み物として面白いか

1. The 2020 Scrum Guide

難易度:★★
・読みづらくはないが繰り返しや抽象表現が多く要点が掴みづらい。

応用性:★(実践的ではない)
・プロセスをどのように実施するかについての記載が意図的に省略されているため、実践的な内容にはなっていない

面白さ:★(面白くはない)
・おそらくこれを読んだだけでスクラムの価値を咀嚼し実践に移そうと思う人はいない。だけど絶対読むべき。

Scrumの旧約聖書とでもいうべきドキュメント。全てのスクラム実践者たちがここから出発し、ことあるごとに立ち返るものです。2010年に初版が発表され、2020年に内容が改定されました。

内容はとても短く、2時間もあれば初見でも読み終わることができます。スクラムに関する基本的な思想(イテレーティブ、経験主義など)やプロセスはこのガイドを読むことで吸収できます。

ただ、文書としては繰り返しや抽象表現が多くスクラム独自の用語もあまり解説なく繰り出されるので、平易とは言えません。また、あくまで概念とフレームワークの定義が簡潔に示されるのに留まり、実践的な内容はほとんど記載がありません。日々の実践で参考にしているという方もあまりいないと思います。

加えて、お世辞にも面白いとは言えず、読んでいてウキウキしません。

にもかかわらず、このドキュメントを一つ目に上げるのは、ここに書いてある内容が思想・フレームとしてのスクラムの全容であり、まさに原点であるためです。また、スクラムガイドに記載のある事項以外は、スクラムを実践する人々が進化させた集合知であることを理解する必要があるためです。

スクラムフレー ムワークは意図的に不完全なものであり、スクラムの理論を実現するために必要な部分のみが定義されている。スクラムは実践する⼈たちの集合知で構築されている。スクラムのルールは 詳細な指⽰を提供するものではなく、実践者の関係性や相互作⽤をガイドするものである。

スクラムガイドより

スクラムは実践する人々によって進化し続けるプロセスなのです。そのため、私たち実践者は、絶えずスクラムの集合知に貢献することが求められます。キリスト教における使徒の役割に近いかもしれません。


2. Essential Scrum

難易度:★★
・難しくはないが、プロダクト開発やマネジメント・リソース計画など内容が極めて広範にわたるため、前提知識がない場合は難しい。

応用性:★★★
・あらゆるイベントの実施方法や、スクラムチームの組成、適任者、求められる素養や能力が詳細に記載されており、日々の業務の中で辞書的に利用できる。

面白さ:★★
・読み物として面白いかと言われると微妙なところ。参考書でいうと青チャートとかForestみたいな位置付けかもしれない。

スクラムガイドを読了してから、こちらの書籍を購入して読みました。結論、これさえ読めば実践まで回せると思います。23章400ページにわたる分厚さですが、内容は極めて実践的です。ベロシティやストーリーポイントの活用、ユーザストーリーの記載方法など、スクラムガイドに記載はないもののデファクトスタンダードになっているプラクティスがほぼ全て紹介されています。

また、LeSSやScrum@Scaleなど、大規模アジャイル開発のフレームワークについても紹介があります。スクラムをスケールさせていきたいという希望を持っている方は、この本を入り口に知見を深めていくことができるのではないでしょうか。

惜しむらくは、とにかく長いことと、辞書的で読み物としての面白みに欠けることでしょうか。繰り返しが多く記載が冗長な箇所も多く見受けられます。通読するのはわりかし骨ですが、青チャートとかForestみたいな位置付けの読み物だと思うと良いでしょう。


3. Agile Retrospectives

難易度:★★
・振り返りの手法を説明していく本であり、内容は平易です。

応用性:★★★
・アジャイルにおける振り返りの手法がかなりの数紹介されており、すぐに試したくなるようなワクワク感があります。

面白さ:★★★
・振り返り手法がとにかくバラエティに富んでいるので読み物として面白いです

スクラムをずっと回していると、レトロスペクティブのバリエーションが欲しくなります。日本だとKPTが一般的に用いられやすいと思いますが、KPTも2〜3回やると飽きますよね。メンバーもダレてきます。そういう時は、この本のページをめくって興味のある手法を選んでやってみると良いです。

スクラムは個々のイベントが楽しくないと、しんどいばかりでやる気を失ってしまいます。なにせ、超大変ですから。しかし、経験主義の根幹をなすレトロのプロセスをナァナァでこなしていては、スクラムの価値は半分も実現できません。スクラムマスターの義務の8割くらいは、楽しいレトロを実施し続けること、だと言っても過言ではないでしょう。


終わりに

まだまだひよっこなので、アジャイル関連の書籍は貪欲に購読していきたいと思っています!おすすめなどありましたら是非教えてください!


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