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「STORY FOR TWO」藤井個人的ベストエピソード

1996年4月より2021年3月までの25年間、Kiss FM KOBEで毎週金曜夜に放送されていたラジオドラマ番組『STORY FOR TWO』
2018年 僕はこの番組にゲスト作家として短編を書き「その際のフリートークの声が良い」というミラクルな理由で次の年度からパーソナリティをしないかとお声がけ頂きました。そして2019年-2021年の二年間、レギュラー出演することになるのです。
そんな、この番組最後のパーソナリティー藤井が、過去放送アーカイブから選ぶ個人的な傑作選です。過去を遡れば途方もないので、藤井が出演していた二年間の中で各レギュラー作家、パーソナリティーごとに個人的に好きな話を選びました。

▽レギュラー作家陣

福谷圭祐(匿名劇壇)

第1209話 「化学実験部の惚れ薬づくり」
https://www.117.co.jp/sft/works/entry-43556.html
「どうやってそんな場所見つけたの!?」という、ニッチな面白設定を繰り出すのが巧すぎる福谷さん。この話は福谷脚本に初めて取り組んだ回です。アニメに出てきそうなパキッとカリカチュア(誇張)されたキャラクター達はとても愛らしくて、お気に入りエピソードの一つです。

嘉納みなこ(かのうとおっさん)

第1271話 「40才の美容院戦争」
https://www.117.co.jp/sft/works/entry-43618.html
悲痛なコメディの名手・嘉納みなこの名前を知らない演劇人はいない。嘉納さんはいつだって、辛いことを笑いに変えてくれる。脚本だけでなくご本人もユーモラスな方で、嘉納さんが書き下ろした回の収録は、沢山笑って元気になって帰ったものでした。

たみお(ユリイカ百貨店)

第1202話 「よもぎ先生の日曜日。」
https://www.117.co.jp/sft/works/entry-43549.html
たみおさんは世界に対して優しい眼差しを持っている作家さんです。僕はこの作品がレギュラー出演の初回でした。初収録でいきなり長い台詞を喋らなければならなくなった23歳の藤井。しかも決まった分数に収めなければならない。噛んではならない……。テイクを重ねすぎて共演者の東さんがオーディションに遅刻したほどです。番組最後の出演になった『アイウエオ』にも「よもぎ先生」が出てきます。最初から最後まで、たみおさんにお世話になりました。

合田団地(努力クラブ)

第1234話 「カレー」
https://www.117.co.jp/sft/works/entry-43581.html
微細な会話と非力な笑いを得意とする合田団地さん。精神的な揺れを捉えることがとても難しくて、台本を頂いてからOKテイクが出るまで苦戦することが多かった作家さんでした。僕は合田さんの作品が大好きなのに、合田作品はなかなか振り向いてくれなくて。好きな人に好きになって貰うってなかなか難しいもんなって、そういう感じの作家さんでした。

▽ゲスト作家

西田悠哉(劇団不労社)

第1228話 「静かになるまで46億年とちょっとかかりました。」
https://www.117.co.jp/sft/works/entry-43575.html
最も好きなお話の一つです。テイクを重ねて西田君と話しながら遊んでいったのがとても楽しかった。西田君とはこの収録で意気投合して、不労社『マッチ売りの少女』へ声の出演で関わることになります。

岡本昌也(安住の地)

第1217話 「詩集の印税で食うてへんかったら詩人ちゃうんか」
https://www.117.co.jp/sft/works/entry-43564.html
このお話も最も好きなお話の一つです。ラジオのフリートークでは、僕と岡本どちらが若手NO.1劇作家なのか言い争いました。この話、着想がすごく面白いんですが、彼が実際バイトでやってたことまんまなので、面白いのは彼自身なんですよね。

▽レギュラー出演陣

のたにかな子

少しハスキーで魅力的な声を持っているのたにさん。サバサバした演技も大好きなんですが、少し甘えたキャラクターも良くて(特に合田さんはそんな役ばかりのたにさんに書いてくる)、両面を楽しめるエピソードを選びました。

第1230話 「アネゴに惚れちまったんで」
福谷圭祐(匿名劇壇)
https://www.117.co.jp/sft/works/entry-43577.html
ヤクザが姉御をデートに誘うお話です。

第1265話 「夜行バスを探して」
福谷圭祐(匿名劇壇)
https://www.117.co.jp/sft/works/entry-43612.html

東千紗都(匿名劇壇)

芯のあるとても可愛らしい声で、言葉が聞き取りやすい千紗都さん。収録に関しても一番アドバイスをくれて、とても頼りになるお姉さんです。張り上げる声も魅力的ですが、ぐだぐだ言ってる時の声もとても良いんですよねぇ。

第1256話 「そういうことは早く言って」
嘉納みなこ(かのうとおっさん)
https://www.117.co.jp/sft/works/entry-43603.html

第1293話 「フリーターを遠隔操作」
福谷圭祐(匿名劇壇)
https://www.117.co.jp/sft/works/entry-43640.html

1話だけ作家もされている
第1297話 「話はそれからだ」
https://www.117.co.jp/sft/works/entry-43644.html

大熊隆太郎(壱劇屋)

大熊さんとは一緒に収録することが殆どなく、唯一二人だけで収録した『アントニオ猪木たち』という、アントニオ猪木がリング上で2〜3人に増えてしまうお話は、大人の事情でお蔵入りしてしまい、遂に僕達二人だけのエピソードが残ることはありませんでした。大熊さんの声はどこかユーモラスで気を和らげてくれるので、緊張している時や安らぎたい時には大熊さんのエピソードを聞くようにしています。

第1244話 「俺の知らないあの子の苦労」
https://www.117.co.jp/sft/works/entry-43591.html

藤井颯太郎(幻灯劇場)

ご紹介するまでもなく、天才劇作家 兼 天才演出家 かつ、天才俳優、なお、生花免許皆伝、そして、剣道二級の僕ですが、この番組に出始めた23歳の頃はマイクとの付き合い方がさっぱりわからず満身創痍で収録に臨んでいました(ラジオなのにいっぱい動いたりしてた)。そんな藤井の満身創痍っぷりを楽しんで頂けたら幸いです。

藤井の出演作一覧
https://www.117.co.jp/sft/search/keyword/%E8%97%A4%E4%BA%95%E9%A2%AF%E5%A4%AA%E9%83%8E/#episode-list

長寿番組がなくなるとずっと寂しい

この番組のサイトでは俳優が声を当てる前の台本を読むことが出来るのも特徴です。一本2-10分程度の短い台本が多いので、気に入ったエピソードを自分で読んで演じてみるのも良いのではないでしょうか?

今回の紹介の中には出てきませんでしたが、ヨーロッパ企画の上田誠さんや松田正隆さん、深津篤史など著名な作家も過去にレギュラー作家をされてました。遡って彼らが若手だった頃の傑作を発見してみるのも楽しみ方の一つです。
遡ってみればきっと、今の気分にぴったりな物語がどこかにあります。なんせ25年続いたこの番組には1406話もの物語があるんですから。

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