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26. 枝廣淳子・小田理一郎『なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?』

 システム思考。そのことばを知ったのは、わりと最近だったはずだ。

 ある問題、もとい、好ましくない事象(UDE)に対し、それに関連する要素をひたすらリストアップし、それらを因果関係でつなぐ。そうしてできたつながりから、根本にある問題をあぶりだす。TOCの思考プロセスでその手法をインプットはしていて、そのインパクトも実感していた。

 あるとき、確かオーディオブックか何かだったか、システム思考という手法の存在を知り、思考プロセスとの違いが無性に気になった。それがシステム思考との出会いだった。

 システム思考の伝道者、故ドネラ・メドウズ氏の著書の訳者でもある枝廣淳子氏らによる『なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?』は、システム思考の入門書だ。

 TOCの思考プロセスが因果関係によるつながりを見るのに対し、システム思考は、そのつながりから生まれるループに注目する。そして、時間という軸も加えたうえで、そのループにおける「レバレッジ・ポイント」を発見する。

 システム思考は、他人を責めない、自分も責めない、実にやさしいアプローチだ。誰かが原因なのではなく、そこに横たわる構造が変わらないかぎりは同じ問題が起きる。だから、構造を変えていこう、というものだ。同時に、問題の原因を外に求めるわけでもない。あくまでも、自分たちが手をつけられるレバレッジ・ポイントを発見し、そこに働きかけていくのだ。安易に外に原因を求めない。その意味では、実に厳しいアプローチでもある。

 と書くだけならかんたんなのだが、いざ実践しようとしても、なかなかハマってこなかった。どうも具体的な要素まで落としこめず、ループが空回りしてしまうのだ。新しい仕事をきちんと理解していないからなのだろうか。

  システム思考家を名乗るには、まだまだ修行が必要だ。

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