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金融庁に聞く!~ソトナカ人材が約3割!多様な専門性を生かす組織作りの秘訣とは?~

こんにちは、ソトナカプロジェクトの吉井・西川・佐伯・東です。

なんと、職員の約3割が任期付きも含めたソトナカ人材という金融庁。多様な専門性を持った人材が活躍する職場ならではの仕組みや、コミュニケーションの工夫があるようです。
そこで今回、ソトナカプロジェクトは、金融庁の総合政策局秘書課の皆様を訪問しインタビューしました(「秘書課」は、民間企業における人事部のような部署です)

インタビューにお答えいただいた金融庁総合政策局の皆様(写真右奥から)
秘書課長 岡田 大様
秘書課 組織戦略監理官・人事企画室長・開発研修室長 小長谷 章人様
組織戦略監理官室 監理官補佐 川橋 天地様 神谷 槙子様

金融庁には民間人材が3割!

ソトナカ:今日はお忙しい中、お時間いただきありがとうございます。金融庁では、非常に多くのソトナカ人材のかたが活躍されていると聞いています。

金融庁:そうですね。金融庁では外部出身の職員が全体の3割を占めます。2年から最長5年の任期付きという勤務形態で、公認会計士や弁護士といった専門知識を持つかたが多いです。そのほかにも、銀行・証券や保険業界などからの出向者もいます。新卒生え抜きの職員も含めて、多様性のあるメンバーの強みを生かして働ける環境が整っているのではないかと思っています。

ソトナカ人材が強みを生かして働ける仕組みとは

ソトナカ:そのような環境を作り出すために、これまでどのようなことに取り組んでこられたのでしょうか。

金融庁:2017年に、当時の長官が主導して「組織戦略監理官室」を作りました。それを契機に、様々な改革が進んできています。改革を進めるに当たっては「目安箱」を設置。働きやすい職場とするため、様々な改善提案が寄せられています。
また、局長級の職員(民間企業でいう役員級)が、各局の職員(1回あたり5~7名程度)と働き方や職場環境などに関する対話を行い、それを幹部会で報告していく「タウンミーティング」の取組も行っています。風通しのいい組織文化づくりにつながっていると思います。
「目安箱」や「タウンミーティング」では、例えば、

  • 他部署の職員がどんな業務をしているかわからないので業務分担がわかる資料を公開してほしい

  • オンライン会議がしやすいように個室ブースを設置してほしい

といったことが提案され、こうした声を踏まえて実現したんですよ。多くのソトナカ人材も、これらの機会を捉えて積極的に改善提案をしてくれています

なお、ソファやホワイトボード・パーテーションなどを置き、対話しやすい雰囲気のオープンスペースや、外の景色を見ながら休憩や打合せができるカウンタースペースも数年前に設置しました。各種イベントや、有志職員による副業プロジェクトのミーティングに利用するなど、職員同士や庁外の方々との自由闊達な議論・交流の場としても役立っています。

ソトナカ:自由な意見交換をしやすい環境を整備するとともに、職員から寄せられた意見をもとに、いろいろな改善が実現されているんですね。 個室ブースやオープンスペースの設置にはそれなりに予算が必要かと思いますが、財源はどうされたのでしょうか?

金融庁:各部署にて予算を工面するなどしました。
目安箱やタウンミーティングの他にも、機会をとらえて色々な意見を柔軟に取り入れてきています。2021年度に人事基本方針のアップデートに当たって庁内パブリックコメントのような形で意見募集をした際にも、中長期視点での育成方針からバックキャスティングした研修の実施などについてソトナカ人材を含む職員からの提言を受け、実現しました。

ソトから来た人材が3割程度いるということに加えて、課長補佐など仕事の要となるようなポストで来ていただいており、言いやすいということもあるかもしれません。異なる職場環境を経験してきた方々ならではの視点や発想を組織にもたらしてくれているのは有難いです。 

ソトナカ:まさに人材の多様性を生かして、生え抜きのかたにとっても働きやすい職場へと改革されている好事例だと思いました。他にはどのような取組がありますか?

職員図鑑で専門を可視化!より相談しやすく

金融庁:2019年ごろから、専門性のある方のプロフィールをまとめた職員図鑑を制作しています。
金融庁には、弁護士、会計士、情報処理技術者、証券アナリスト、AMLスペシャリストといった専門性を持つ方々が多くいます。職員図鑑には、その方の写真や現在の業務内容、経歴・スキル・専門性、自己紹介・一言アピールなどがまとまっています。これを見ることで、適切な方にすぐ相談できてとても便利なんですよ。
こうした取組は秘書課主導で全庁的に実施しているものではなく、部署内において自発的に行われているものです。

ソトナカ:どなたがどのような専門性を持っているかが可視化されているのは、とても便利ですね。この職員図鑑の共有範囲はどのようになっていますか?

金融庁:これを作成しているリスク分析総括課は300名前後の組織ですが、基本的には部署内で活用することを前提にしています。もっとも、他部署から「こんな専門性を持ったかたがいたら紹介して」といった相談があった際にも、職員図鑑があれば繋ぎやすいと感じます。なお、専門人材に限らないですが、コミュニケーション活性化のひとつの手段として、部門や課室単位でそれぞれがオリジナルのフォーマットで職員図鑑を自由に作っているようです。

ソトから来た人材がいち早く活躍するために

ソトナカ:素晴らしいですね。他省庁でも同じように専門性を持った多様な人材がいると思うので、ぜひ横展開したい事例です!
中途採用や出向のかたがこれだけ多いことからすると、きっと、職場にいち早く適応し活躍するための支援、いわゆるオンボーディング施策も充実しているのかなと思ったのですが、どのようなことをされているのですか?

金融庁:決して特別なことをしているというわけではなく、基本的な業務マニュアルがあることくらいです。一方で、先ほど説明した「各部署の業務分担を説明した資料の公開」や「職員図鑑の展開」は、新たに組織に加わった方の疑問をスピーディに解決するための仕組みでもあります。これが奏功しているのかなと思っています。

何より、民間人材が3割いるということの意味が大きいのかもしれません。ソトから来た方の存在がもはや珍しいものではなく、わからないことを聞かれることや、違いを前提に助け合うのが当たり前の文化が金融庁にはあります。このため、新たに組織に加わったかたでも比較的スムーズに順応できるのだと思います。

ソトナカ:確かに、「部署内で、ソトナカ人材は一人だけ」というような状況とは全く違うでしょうね。よく「クリティカルマス」といって、何事も3割を超えれば状況が大きく変わる、と言われていますが、1人や2人といった規模ではなく、2割、3割と多様な人材を受け入れていくことで組織全体が変わる、ということの実例ですね!

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ソトナカ人材が多数いらっしゃる金融庁。生え抜きの職員も含めて、多様な職員の強みを生かし合える仕組み・環境について伺うことができ、とても勉強になりました。
取材にご協力いただいた秘書課の皆様、ありがとうございました!

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