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経済から見る日本でジェンダーフリーが難しい理由

最初に結論を言いますが、私は日本はジェンダーフリー大国にはなれないしなる必要もないと考えています。頑張ろうとする人を蹴落とさない社会を目指すべきで結果として多少の男女格差が是正されるくらいが丁度いいと思っています。

よく欧米(特に北欧)と比較して日本は遅れているという論調で非難している意見を目にしますが、そもそも文化が違うのにそこを同一視する必要が果たしてあるのだろうかと強く感じています。

現状:日本のジェンダーギャップ指数

まずは日本の現状。毎年”世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)”がまとめている指標の2021版の結果です。

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日本は120位、アンゴラ以下でシエラレオネ以上です。これはG7の中ではダントツ最下位です。これを持って日本は後進国だと声高に主張する人がSNSでよく見られます。

しかし、何を持ってこの順位なのか。内訳は以下です。

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識字率や初等教育時点では平等だが、高等教育になるに従って少しずつ差が広がり始めて、賃金差が大きくなった上で政治が壊滅的だというのが日本の現状のようです。

とはいえ上表に示したとおり、1位のアイスランドのトータルスコアは0.892なので、0.9を超えている「教育」と「健康と生存」は概ねOKだと理解できます。平均寿命だけ見れば女性優位の値が高く、逆に不平等だと72位になってるくらいなので。

政治の項目

確かに格差は大きいのですが、大事なことは優秀な人材を上から採用することで、現状では立候補者の中に女性が少ないだけだと思っています。

優秀かつ政治に積極的に参加したいと思っているのに許されない環境下に置かれている女性が多数いるのであればすぐに是正すべきですし、そういった運動があれば私も喜んで署名します。ですが日本の法律上女性が立候補してはいけないなんてことはないし、実際少数ながら女性議員は存在しています。

このままどんどんチャレンジをする女性は増えてほしいですが、一方で希望者がいないのならば、平等の名の下50:50にする必要はないと思っています。

経済の項目

本題です。

まずは日本の男女別月収グラフを示します。

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確かに女性の方が月で8万7千円ほど安い状態です。

しかし考えてもらいたいのは、職給も待遇も同じ男女の場合、賃金格差があるのかという点です。つまり同じ会社に同じ総合職で入った男女には待遇差も給与の差もないということです。

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厚生労働省のデータをみても、30代より前の段階ではほぼ男女差はないように思えます。

ではなぜ30代以降から賃金格差が大きくなると言えば、それは出世してより多くの収入を稼ぐ人が男性>女性であるということと、女性が産休によりキャリアが断絶してしまうからの2点だと思っています。

出世するのが男性は不平等?

もし全く同じ能力を持っている人間で、男女の性差だけで出世が決まっているならこんな不平等なことはありません。

ですが、実際のところでは昇進したくないと考えている人は一定数いて、それは女性の方がより顕著である事実も見逃しては行けないと思います。

働き方改革の意識が高まる一方で、独立行政法人労働政策研究・研修機構「男女正社員のキャリアと両立支援に関する調査」(平成26年3月)によると、課長以上への昇進を希望する者の割合は、男性は約3~4割、女性は約7~9割の人が管理職を望んでいないという結果が出ています。

出典:https://www.sankeibiz.jp/business/news/200127/prl2001271313071-n1.htm

給与がずっと横ばいの日本において、管理職になっても対して給与が伸びないというのも事実です。月数万円のプラスで責任範囲がめちゃくちゃ大きくなるのを嫌うのもよくわかります。

さらに下図を見てください。

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平均で言うと明らかに男のほうが労働時間が長いというのも事実です。

また巷のサイトで検索した限りだと、独身でキャリアを積んでいる女性が男性に比べて給与が安いという情報は見つけられませんでした。
どこかの会社がまとめたようなサイトばかりで母数や回答者の偏りがありそうなのでここには載せませんが、やはり出世する人はするし、出世した以上は給与はそれなりに上がるようです。
※この点いいエビデンスがあれば是非コメントください。

役割分担が違うだけ

上記のデータをまとめると、子育て世代である30代以降では誰かが子供と一緒にいる時間を作る必要があって、日本においては母親が主流だというだけだと思います。

いちばん大事なのは母親が見なければならないという古い価値観に縛られず「男性が育児で女性が仕事を頑張る」「両方頑張ってベビーシッターに任せる」みたいな選択肢を社会が提示、許容することであって、女は仕事しなくていいだの男は給料高くてずるいだの言うのは筋違いだと思います。

欧米は収入がなければ既婚女性でも働くのが当たり前なので、専業主婦(夫)というのは裕福層に限られます。アメリカの女性は産後2週間で職場復帰する人も多い。それが果たしていいことなのでしょうか。

他にもフランスは日本と同じような平均年収ですが、その分2馬力で稼いで2馬力で家事して・・・というのが当たり前です。
日本的な、家で家事して育児してみたいなスタイルで生活したいと言ったら苦い顔をされるでしょう。あるいはハウスキーパーばりの塵一つ残さない完璧なメイドさんをイメージされる可能性もあります。だってフランス社会では女性も働くのが常識だから。

労働環境は改善すべき

実際問題としてお金は必要だし、家事育児も勿論必要なことなので、柔軟に対応できる労働環境の整備は必要だと思います。

この点、政府として少しずつ対応を進めていると私は思っています。何かと批判されがちな働き方改革ですが、今までのようにダラダラ仕事していたり上司が帰るまで帰らないといった働き方は大分なくなりました。

一方、子供の急な発熱など、業務中のプライベート都合の休暇等はまだまだ理解されているとは言い難いと感じています。

例えば上記のような休暇が発生した場合において、しっかりと帰らせることについて国が補助金を出せば、会社としても休ませやすい環境になる等々、まだまだ改善の余地はあると思います。

しかし、そういった現行の制度を破棄し、欧米型の男女平等を目指すのであれば状況に合わせて時短勤務を正社員に認めるとか、男性の育休を相応期間でとらせ(日本の男性平均育休は4日程度)、その分女性の休暇を削って調整しなければなりません。

結論

実際子供を身籠り出産するのは女性という事実は変えられない以上、私個人としてはより女性の体力が戻るように配慮する日本の産休育休制度は諸外国よりも優れているとすら思っています。

なので私は世界から不平等とされる現状がそこまでひどいものだと思っていないし、ジェンダー平等の名のもとに全ての女性が働くべきだと思っていません。

仮に上記で書いた男性育休や時短等が実現したとして、当然収入は必要なわけで、日本の文化からすれば男性が稼いで女性が家庭を守るという価値観に同調する人も多く、結果としてそういう役割分担になるのならそれは性差別じゃなくただの分業ではないでしょうか。

なので、私は引き続き分業体制を維持しつつ、他の選択肢も許容するべきだと考えます。結果としてジェンダー平等じゃないという誹りは甘んじて受けてみるのはいかがでしょうか。

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