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第13話 不釣り合いな場所への冒険

友人たちは相変わらず部活などで忙しくしていましたが、暇を見つけて色々なところに誘い出してくれました。
とてもうれしく、とても悲しいのが、合コンの誘いでした。

1人だけで悩み続ける毎日は辛く、自分に彼女ができればどんなにいいだろうと考えます。でも、一方で、こんな外見になってしまった自分に、彼女ができるはずなんかないと冷静に考えます。

そういう葛藤を知ってか知らずか、友人たちは色々なツテで合コンをセットしてくれました。
4対4とかで飲み会をするのです。

こんなことを言うのは失礼でもあるのですが、当時の自分にとって幸いだったのは、自分だけでなく全員がモテなかったということです。
男子校出身で彼女を持ったことがないような友人ばかり。初対面の女性と話すという経験自体に乏しく、体育会の部活の内輪話で勝手に盛り上がっていました。自分たちがどんな話をしたのかは今でも記憶があるのですが、その時にいた女性陣がどんな人でどんな話をしたのかなどは記憶に残っていません。
つまり、相手の話を全く聞いていなかったんですね。

合コンが終われば、いつも河原沿いの道を歩いて帰りながら反省会でした。
合コンは彼女を作るためのイベントではなく、未知の世界へ探検にいくようなものだったのです。そこで出くわしたトラブルや武勇伝を酒の肴にして、もてない自分たちを愚痴りながら、自分たちの良さが理解されないという不運を嘆くという、一種のお祭り騒ぎでした。
当時、こんな私たちのために貴重な時間を使って合コンに来てくれた彼女たちには、申し訳ないところです。

まあ、でも本当に、いろいろな意味で良い友人でした。
女性にもてる友人に囲まれていたら、私はもっと凹んでいたことでしょう。

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