米国株での自分の投資法設計

10年ぶりの復帰でまず試したのが、過去に成果を出した投資法でした。きまった期日に買って決まった日に売る、という極めてシンプルなものです。価格で売るのではなく、期日で売る、という考え方は、おそらく多くの投資家が無視している要素です。わたしはこれを「カレンダー投資法」と名付けています。

投資対象は、特定の法則性があるもの

トレードを期日で区切るので、買った日は安くなければならず、売る日は買い値より高くなっていないといけません。まあ、あたりまえですが。かんたんに言うと、毎年1月1日に安値を付けて3月1日に高値を付ける値動きの銘柄を買う、という感覚です。たとえば、国内株だとムーンバット(8115)が説明しやすい銘柄のひとつです。

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この傘製造メーカーは、梅雨入りで材料化し、夏場の日傘需要のイメージが出てくるころにしぼみます。決算の連動性は低く(好決算の時に株価がアクセルレートするくらい)、安心感のある銘柄です。チャートをぱっと見ると規則性がないように見えますが、たとえば5月の連休明け初日の始値で買って、7月第2週最初の始値で売る、とすると、過去5年では4勝1敗で勝率75%となります。上記チャート(週足)の赤線をひっぱったあたりです。時系列データを抜き出してみました。損益も計算しました。

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この期日設定は、かなりおおざっぱなものです。これに通常は暴騰時ルールとして「○○%急騰したら売り」などの上値ルールをくっつけます。逆に損切りルールは設定しません。断固決めた日に売るので、損切りをするとしたらその日なのです。

チャートでいうと、ようはこういう形のものを探すわけです。

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国内株でこれをやって1年で資金を6倍にしました。が、小型株が多いので、大きいサイズの参入ができません。上記のムーンバットの出来高を見てもらうとわかると思いますが、本当に参加者が少ない。だから資金サイズが大きくなると取れない戦法になってしまう。

米国市場という巨大市場があった

コロナ禍で投資家復帰後も、この手法を国内株でやって、20万円の元手で5万円を2か月くらいで成果出してました(暴落後の戻り相場なのでこのくらい取って当たり前でした。通常時は半分くらいのはず)。が、サイズの問題である程度までしか伸ばせないジレンマが。しかし、米国株に参入することを決めて、高配当銘柄を対象にこれができないかを研究してみました。

米国株の高配当銘柄は、権利落ち日に等しく下落した

期日パターンが作られやすい材料のひとつが、配当です。とくに高配当になればなるほど、この傾向が強まり、配当取りのトレーダーが短期的に買いを入れてくることが多くなります。私もT(当時は配利6.8%/年くらい)やAHR(たしか9%/年)を持っていて、期日後にどーんと下げるのを見て、「おお、これはもしかしたら!」と思ったわけで。

(高配当銘柄投資をやめよう、とおもったきっかけが、この権利落ち日に大きな下落をする現象をまのあたりにしたから。この「ドーン」がないだろう、と思って買った銘柄すべてに「ドーン」が起こったので頭にきたわけですw)

ただ、配当銘柄は無数にあり、市場として成立するのか、と思いましたが、研究を続けていくと銘柄ごとに細かい設定の必要があるものの、シュミレーションで7割以上の勝率をあげる銘柄が5つ以上出てきたので、運用することにしたのです。

繊細さを要する高配当銘柄落とし

日本株との違いは、4半期ごとに動きがあることと、配当期日が流動的で、カレンダー設定が難しいことです(配当を宣言するDeclarationがあること)。

配当をするかしないかは、Declaration Dayといって「次の配当は○○ドル出しますよ!」と多くの企業があらかじめ宣言してくれます。これがあると配当は確実なので、トレーダーたちがじわじわと期日に向かって集まってきます。理想的な上昇カーブが描かれます。DDayがいつあるか、は、企業によって様々です。2か月以上前に出すところもあれば、前日に出すところもあります。DDayで宣言されてからカレンダー設定するのが確実なものの、多くの銘柄が配当実施2週間前よりも前に設定するところが多く、だいたいの期日を予想して入ることが求められました。

また、配当権利日設定の予想が外れると、たとえば「30日前にイン」というルールが無意味なものになってしまいます。カレンダー投資法は期日からかぞえて何日前に入るか、というのを基本としていたので、米国株での設定はより柔軟(=流動化=不確定化)になるリスクを取らなければなりませんでした。モデル図を作ってみました。

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DDayがあると、権利日がわかりますので、その日から逆算して何日前に買う、というルール設定ができます。が、DDayが権利日直前に発表されるような銘柄だと、権利日がいつかすらわからないので、過去の履歴を参考に、「今年は10月14日かな?」という予測をもとに「○○日前に買う」という設定をすることになります。これが10月12日でした、となると、○○日前に買う、というルール設定は無効になります。

権利日に売る、が基本

高配当を取る投資家無数の状況ですが、わたしは高配当を取らないのです。だってその翌日の「ドーン」を食らうと、よっぽど安い時に買ってなければ即含み損になります。そしてその「ドーン」は狙いすましたように、配当利回り分だけ下げてきます。そして狙いすましたように同じ配当利回り分だけ下げるクセに、その期日までの上昇は配当利回りを大きく上回っていることには無頓着です。ゆえに、高配当銘柄におけるカレンダー投資法は、「期日に売る」ことのほうが成果を得やすいのです。

*ただし、銘柄ごとには含み損の場合には配当を取ってから手じまいする、というルール設定の銘柄も2つ出てきました。含み損の時は権利落ち後のドロップ率が逆目になることもあるため。配当利回りの少ない銘柄はこのドロップは起こりにくいですが、規則性が失われるので、パターン化できません。

○○日前に買う、という本来のルール設定を柔軟にした

なるべくシンプルであることがカレンダー投資法には必須なのですが、高配当銘柄落としのケースでは、期日設定がどうしてもあと付けになってしまいます。ゆえに、「7月末に買う」というような期日縛りつけのルール設定を銘柄によっては行います。

業績不調銘柄は、いちおう注意する

配当利回りが高い銘柄は、業績に問題のある銘柄であることも多いので、保有期間に決算発表日が入らないものを選んだ方がいいとは思います(わたしは無視してますが)。しかし、銘柄設定はその銘柄の過去の値動きを調べるので決算がよかろうとわるかろうと関係なく動くものを探すわけです。

おさらい:カレンダー投資法の銘柄発掘手順

①米国株でこういう動きの傾向のある銘柄を探す

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配当利回りが8%以上の銘柄にこういうのが多く出てきます。下落基調のときも短期的に配当のために値上がりするサイクルをもつ銘柄があります。それを探します(とくに株価が下げトレンドでも成果になっているかが重要です)。これを、ヤフーファイナンスUSのHistorical dataで、過去3年分くらいさかのぼったデータをコピーし、スプレッドシートにペーストします。

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*ちなみにサンプルで出しているコカコーラは、とてもカレンダー投資法には向かない銘柄です。

②共通要素を収集し検証。勝率7割以上ならスケジュール化

だいたい45日分くらいさかのぼってみて、共通点を探します(たとえばAという銘柄はどういうわけか権利日3日前から下落がはじまるな、とか、B銘柄は月初に必ず安値を付けるな、とか)。この共通点が連続して起こっているところで、買いポイントを整理し、カレンダー化するのです。これは、銘柄ごとにちょこっとずつ共通要素が違ってくることを意味しますので、その要素の違いをまちがえないように管理することが必要になります。

③過去の経歴から、収益予測まで出せる

実は、過去の傾向分析をちゃんとすると、シュミレーションをやったときの収支も出せるので、次回のインでいくらくらい勝てるか予想を立てることができます。同時にドローダウンや暴騰時の上昇率傾向も予測ができるので、同じ銘柄を分析しても、人によって設定がまるでちがったものになるかもしれません。

④シュミレーションで「参入できず」はけっこうある

それぞれが検討した「勝利要素」でその銘柄をシュミレーションしてみると、意外と「今回は買えなかった」という結果が出てくることが多くなると思います。私の銘柄も参入率が半分以下のものもあります。が、参入確率を上げるのではなく、勝率を上げる、勝利の共通要素をさがし、そこに投資するのがカレンダー投資法です。

⑤銘柄発掘によっては、毎月2から3銘柄参入している状態になる

四半期ごとの配当サイクルなので、1月、2月、3月の銘柄を2つか3つずつ探し当てると、毎月参入するサイクルを作ることができます。




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