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建築士が語る「なぜ生活動線は短くしなければならないのか?」

Z世代のど真ん中、高校生の息子。
テニスの試合で負けて 落ち込む彼に

父:「まー いつまでも落ち込んでも しょーがねーよ。『覆水 盆に返らず』って言うだろ。」
子:「『盆』ってなに??」

う~ん‥「覆水」はわかるのに「盆」は知らないのか…。

言われてみれば最近、
「おーい、お盆持ってきて」って言わないですね。
そもそも「お盆」がない…。

なぜ「お盆」がないかっていうと
キッチンの隣にダイニングがあるから…です。
わざわざ「お盆」を使う必要がない。

一昔前‥昭和の家では「台所」と「茶の間」には そこそこの距離があって「お盆」は生活の必須アイテムでした。

でも、今はキッチンで作った料理をダイニングに一皿ずつ運んでも、そんなに手間はかかりません。

そう、家の設計の進化で手間がなくなって、結果「お盆」がなくなった…。
そして、「お盆」がなくなって増えたモノがあります。



家で生活するには「コスト」がかかります。
光熱費や修繕費、固定資産税…なんかです。

これらは「お金」ですが、お金以外で もう1つかかるコストがあります。

それは「時間」

食事を作る時間、洗濯物をたたむ時間、それらをクローゼットにしまう時間…
生活するためには「かけなければならない時間」=「コスト」が あります。

お金のコストであれば、節約をする、無駄遣いをしない…ですが、
時間のコスト削減であれば、時短家電を使う、モノを整理して探しやすくする、
そして「動線を短くする」…です。

お金のコストを減らして貯蓄できれば、お金の不安がなくなります。
時間のコストを減らしてゆとり時間がふえれば、豊かな生活が手に入ります。

間取りを考えるとき、やみくもに「生活動線を短く」ではなく
「どういう間取りにすれば、毎日のコスト時間を減らせるか?」
…を考えることって大切です。

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