Sound Style Clouds "Soundless Words"

Sound Style Cloudsは高橋政徳(masanori takahashi)…

Sound Style Clouds "Soundless Words"

Sound Style Cloudsは高橋政徳(masanori takahashi)の音楽プロジェクト。様々な音楽を聴き、新しい音楽のカタチを探究し続けている。”The Throwing Duke”としても活動中。http://www.soundstyleclouds.com/

最近の記事

no.20 -坂本龍一という人-

2023年3月28日、巨星が堕ちた。 若輩者の私が、彼に関して書くのは甚だ僭越であるが、メディアを見渡すと画一的なことしか報じられていない。これから色々な人が彼を回顧するであろうが、私から見た坂本氏の音楽家、人としての肖像を少しでも描ければ、と思う。 私の心の師である坂本龍一氏に哀悼の意を表すると共に、感謝の気持ちを込めて書きたい。 私は、1978~1983年のYMOをリアルに体験していない。彼らは私が音楽をちゃんと聴き始めたときには既に「散開」していた。彼らを聴くのはか

    • Infinite Nostalgia

      【この物語は、フィクションです】 "Infinite Nostalgia"という小説をお届けします。 この物語は、私のリリースするサウンドトラックとのミクスチャー作品です。小説と音楽を自由に組みあわせていただければと思います。 この物語のサウンドトラックは、高橋政徳の音楽プロジェクト"The Immersive Callings (THE IC)"より、2022年4月9日にリリースされます。 先行シングル"Love Eternally Makes Oasis New"は、2

      • no.19 - 2021年の音楽を振り返って

        みなさま、お久しぶりです。 今年は、ブログを全く更新できませんでした。ごめんなさい。 毎年恒例の、今年の振り返りです。 今年を振り返ってみると、個人的に音楽はいつも通りコンスタントに聴いていたし、20年以上謎だった音楽制作の技術がわかったり、自分自身としては自分の内面を掘り進め、かなり前進できた2021年であった。 が、一方で、ブログを書くモチベーションが全く湧かなかった。 1月くらいからアルファ株、4月からデルタ株が襲来し、ワクチンを接種するまで不安な日々を過ごし、

        • no.18 - 2020年の音楽を振り返って その2 -

          (前回の続きとなります。) Yellow Days - Love Is Everywhere UK・ロンドンを拠点に活動するネオソウル・アーティスト、Yellow Days。 今年になって、有名になり始めた。ネオソウル、というより、クラシックなソウルが持ち味。 Dinner Party - Sleepless Nights (feat. Phoelix) アメリカのジャズの牽引役であるロバート・グラスパー、カマシ・ワシントン、テラス・マーティン、9thワンダーが組んだユニ

        no.20 -坂本龍一という人-

          no.17 - 2020年の音楽を振り返って その1 -

          2020年という年は、まさに歴史的な1年であった。 人類の歴史の過渡期とでも言ったらいいのか、文明の転換点といえばいいのか? 産業革命からひた走ってきた「成長・発展」というどこかうっとりするような言葉に捕らわれてきた人類は、ウイルスという自然の前では圧倒的になすすべはなく、これからどう地球環境と共存するかを考えざるを得ない。 私もこれからのことを随分と考えた。 勿論、音楽の果たす役割やヴィジョンも、2020年前と2021年後では、全く違うと思う。ある種この動きは、20世

          no.17 - 2020年の音楽を振り返って その1 -

          no.16 -エドワード・ヴァン・ヘイレンと2020年のアメリカ-

          2020年10月6日、エドワード・ヴァン・ヘイレンが天国に旅だった。 1970年代くらいに活躍した有名な音楽家が鬼籍に入ることは昨今は多いが、エディ・ヴァン・ヘイレンほど、追悼のメッセージがミュージシャンから出た人を、近年私は知らない。 つまり、彼の成し遂げたこと、彼の音楽的影響が大きかったことがよくわかる。 エディーはエレキギター奏法のパイオニアだったし、革命家であった。機材を改良したり、ギターを自分で作ったりして彼の思い描く理想の音像を追求していた。彼の演奏を聴いた

          no.16 -エドワード・ヴァン・ヘイレンと2020年のアメリカ-

          no.15 -リズムは多様性を生み出すコトバである-

          文化人類学の川田順造氏によると、西アフリカのモシ族は、太鼓を叩くことで彼らの王朝年代記を次世代へと伝えていたという。モシ族は文字を持たない。太鼓の音色を「コトバ」として、次世代に受け継いできたという。 また「トーキングドラム」という太鼓がアフリカには存在する。2つの高低差のある音程によって通信するというもので、戦争の際などに「モールス信号」的な役割を果たしたらしい。 アフリカ音楽にはリズムパターンの文法的なものも存在し、実際にアフリカの音楽学校ではそれを教えているとも聞い

          no.15 -リズムは多様性を生み出すコトバである-

          no.14 -場所に依存した音楽から、人それぞれの感性に宿る音楽へ-

          以前、NHKFMを聞いていたら、声の専門家が出演していて、歌の発声法について面白い話をしていた。 「人が暮らす環境によって、歌の発声方法がそれぞれ異なる。」ということだった。 西洋と日本の歌の発声法は、建築物や住居の素材の違いに準じて、それぞれ独自の発展を遂げたそうだ。 西洋の音楽は、教会という反響する場所、ホールが関係しているらしい。 声を大きく出すことで、響きはホールが与えてくれる。 そうして発声法としては、喉を開き、腹式呼吸による唱法が発達した。 例えば、イタリア

          no.14 -場所に依存した音楽から、人それぞれの感性に宿る音楽へ-

          no.13 -変容する社会と文化:本質を求める音楽-

          2020年4月。 私たちは、2019年には全く予想だにしなかった場所に漂着しているようだ。 世の中の風景が急速に変わりつつある。 2011.3.11の時に感じた感覚に似ている。しかし、今回は地球全体の危機である。 この70年、感染症対策が進み、時に戦争や天災の危機もあったが、我々は国家や社会システムの庇護を受け、予定を立てそれを達成するために日々を過ごしていた。 オリンピック、仕事、イベント、エンタメ... 全てが予定調和だった。 今年始まったウイルスの脅威は、私たちに

          no.13 -変容する社会と文化:本質を求める音楽-

          no.12 -混ざり合う音楽の風土:「ノイズ」の大海を泳ぎ音楽の「感動」を求めて-

          私は日々、世界で鳴る膨大な音楽に身を委ねている。今まで20世紀の音楽、民族音楽から名盤まで、ジャンルレスに興味の赴くまま聴いてきた。ここ4年くらいは、現代の世界で流れるインディーズ音楽や最新のアメリカ、イギリスの音楽を中心に聴いている。 音楽が発展する、新しいジャンルの音楽が創造される、とはどういうことだろうか? 歴史が教えてくれることには、様々な文化が混ざり合う風土・カルチャー・場所がまず前提にある。その場所で異なる文化、音楽が混ざり合い、化学反応が起こり、新しい音楽が

          no.12 -混ざり合う音楽の風土:「ノイズ」の大海を泳ぎ音楽の「感動」を求めて-

          no.11 - ”音圧競争”の終焉とストリーミング時代の新しいマスタリング-

          今回の記事は、前半はかなり専門的な話題である。後半、ストリーミング時代の音楽について述べようと思う。 先日YouTubeで2020年以降のマスタリングのあり方を講演している映像をたまたま観たのだが、衝撃の内容だった。 これは全て英語なので、字幕等を駆使して音楽制作に携わる方は是非見ていただきたい。 映像に登場しているのはAlan Silvermanというエンジニアで、グラミー賞に何度もノミネートされている方なそう。 上記の映像の中身をnoteで書いている方がいたので、こ

          no.11 - ”音圧競争”の終焉とストリーミング時代の新しいマスタリング-

          no.10 -音楽のジャンルレス化・世界情勢と共生の音楽-

          2010年頃からであろうか? クラブミュージックの領域では、今まで厳然と分かれていたテクノやヒップホップというジャンルが溶け始め、一体となり始めた。人々はベースカルチャー(低音が強調され太く鳴る音楽)や、EDMという、より大きなジャンルのくくりにして音楽を発展させてきている。もうかれこれ10年も経ってしまった。 さらに、クラブミュージックに限らず、音楽が最近ジャンルレス化し始めた。 理由が2つあると考えられる。 一つは、音楽を聴く場が大規模フェスへと移行してしまったので

          no.10 -音楽のジャンルレス化・世界情勢と共生の音楽-

          no.09 -2019年の音楽を振り返って その2-

          この前、この振り返りをシェアして頂いた結果、結構新しい音楽が気になっている方々がいるのだなぁと思い、この前ご紹介しきれなかった分も少し追加してみようと思う。少しでも皆様のライブラリを増やすお手伝いになれば、と思う。 これだけ”情報”が自由になってしまった結果、逆に不自由になってきているのかも知れない、とも思う。情報が分散しているからなのだろうか?レコード会社中心の中央集権的な音楽産業が崩れてしまった結果、1つのメディアにアクセスするといろいろな情報が得られた2000年以前と

          no.09 -2019年の音楽を振り返って その2-

          no.8 -2019年の音楽を振り返って-

          もうすぐ、2019年もあっという間に終わってしまう。 今年も音楽は相変わらず様々なものを聴くことができた。私はストリーミングのAIがレコメンドするものやラジオ、雑誌など色々な情報源を元にジャンルレスに色々な音楽を聴いている。 ちなみに今回ご紹介する殆どの音楽は、アメリカ、イギリスでは先端の音楽として認知されているものや、YouTube の再生回数が数百万回のものまで様々である。日本ではあまり紹介されていないものが多いと思うが、R&B, Jazzからエレクトロニックミュージッ

          no.8 -2019年の音楽を振り返って-

          no.07 -コンピューティングの発達と現代の音楽-

          エレクトロニカ、というジャンルをご存知だろうか? 1990年くらいから2010年くらいまで、一部の音楽ファンから愛されたジャンルで、世界的に広がりを見せた音楽であった。 イギリスのWarpレーベルが1992年に発表した「Artificial Intelligence 」がエレクトロニカの発祥らしい。従来の踊ることを目的とした電子音楽から、聴くことに主眼を置いた電子音楽に発展し始めた。Warpを代表するAutechreの作品。 パソコンの性能が向上し、CPUの処理速度が上が

          no.07 -コンピューティングの発達と現代の音楽-

          no.6 -生活の音楽・日本と東南アジアの比較-

          インドネシアに1ヶ月半滞在したことがある。 2014年、今から5年も前の話だが。ジャカルタにはモールが大小問わず3000ほどあり、巨大なモールで毎日プロのミュージシャンが至る所で演奏していた。店舗に入ると日本と同様にBGMが流れており活気がある。 年に一回、ジャワジャズフェスティバルという大規模なフェスもあり、音楽にとても関心のある国民性なのだと知った。現在では、日本以上に音楽熱がある国民性だ。 インドネシアといえば、ガムランやケチャが有名だが、東南アジアに特有の歌謡曲も

          no.6 -生活の音楽・日本と東南アジアの比較-