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市販のボックス型防音室の音漏れ・音響改善

大手メーカーのボックス型音楽防音室の相談で最も多いのは、「音響の改善」と「床からの振動音軽減」です。

大半のボックス型防音室の弱点は、床から振動音(固体音)がかなり伝わること、ピアノなど楽器の音響が悪いことです。

すでに購入されてからの相談が多いので、約18年間の中で「音響だけは改善しないと使えない」という問題がユーザーの悩みでした。

また、せっかく壁や天井の遮音性能は良くなったのに、マンションや木造住宅での床からの振動音が余り減らないというご指摘が多く、現在においても弱点は変わっていないようです。

簡単にできるDIY音響・防音対策

あまりお金をかけなくても、DIYでボックス型防音室の音響改善や音漏れ軽減を行うことは可能です。

たとえば、内部の壁や床に吸音性のある素材を敷いたり、貼り付けることで調整できます。私の防音相談で最も費用対効果の高い対策は、床は「制振フェルト6ミリまたは特殊フェルト5ミリ・7ミリ」を敷き詰め、タイルカーペットを重ねます。(床の反射音や振動音が小さくなります)

また、壁面には「吸音ウール20ミリまたは50ミリを木工ボンドで接着。表面にさらに木工ボンドでクッションシートやレザーを接着して仕上げる」と丁度良い音響に調整できます。その場合は、4面全部ではなく、自分の体感に合わせて、まず半分の2面に対策を行い、音響を確かめます。

接着剤に有機溶剤等が混合されている製品を使用する場合は、完了してから約3日間は換気扇を回して、ドアを開放して十分に換気します。

なお、防音職人の防音材は、基本的に揮発の少ない木工ボンドを少量しか併用しませんので、半日ほど換気していただければ大丈夫です。防音材自体には空気中に有害物質を揮発する材料は使用していません。F☆☆☆☆以上の厳しい安全基準をクリアした製品だけを取り扱っています。

早速、ピアノDIY防音対策の依頼者よりご報告がありました。「防音職人さま、お世話になっております。TKです。さっそく床に防音材などを敷いてみましたが、敷いていないところと比べ明らかに足音が抑えられており、安心してピアノを搬入できそうです。迅速なご発送ありがとうございました。」このように、防音材の納品だけでなく、対策のアドバイスも初回限定でサービスで行っています。

購入する前に相談していただければ対策は厳重に出来ます

ボックス型の防音室を室内に設置する前に、床面に防音材を敷き詰めると効果的です。そのうえで、内部に吸音・制振対策処理を行えば、最適化出来ます。

既製品もDIY対策を併用することで、活かすことが出来ます。

ただし、注意しなければならないのは、ボックス型の防音室は非常に重いので、これにピアノを入れると、マンションの二重床や木造室内の床が物理的に緩んだり、歪んだりしますので、建物の構造や内装を確認してから検討してください。

基本的に、DIY対策を併用する前提で、ボックス型の防音室は比較的軽量な製品を活用すると安心であり、総額も抑えることが出来ます。

ご予算に応じて、段階的に追加できるのがDIY防音対策のメリットです。

DIYで補強することを前提にすれば、既製品の防音室は安い中古で十分です。→参考(活用できる資材):防音材ページ

また、取引先(知人職人)のほうでは、オーダーメイドの床などの防音マットを製作しています。→床の防音対策

やってはいけないDIY防音対策の事例

専門的な防音材の費用をケチって、安い遮音シートと発泡スチロール・スチレンボードを重ねて、ボックス型防音室の天井や壁に貼り付ける人が居ますが、効果はありません。

それは発泡材には吸音性も遮音性も殆どないからです。また、面密度の小さな遮音シートを壁面や床面などに貼り付けても防音効果は体感できません。

むしろ、吸音材を貼り付けたほうが効果的です。音漏れが軽減されるだけでなく、反射音が小さくなりピアノなどの楽器を演奏しやすくなります。

ある情報掲示板で、建築士が防音材として「発泡スチロール・スチレンボード」を紹介していましたが、これは間違いです。

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