見出し画像

木造防音室は音楽室として造る

木造防音室の検討を行うスタンスは、まず「木造音楽室」として成立させることが大前提になります。
それは、工作室でも反響などの音の調整が出来ないと長時間に及ぶ作業が出来ないからです。耳が疲れるような環境では仕事も音楽などの趣味も集中できないのです。

もちろん、用途に応じた防音性能は確保する必要がありますが、必要以上に部屋を狭くしないように音響と遮音をバランスさせる工夫が大事です。
木造は遮音にシフトしすぎると、生活空間として成立しません。
機械を稼働させる目的だけに構築される防音室なら話は別ですが、人間が生活する防音室は「木造音楽室」として機能させるのがちょうどよい環境になります。

趣味の音楽室でも音楽家の防音室でも共通しているコンセプト

それは「音響」を大事にするために、木材・木製品を駆使して生活空間を構築することです。
木材は良質な音響材であり、遮音材・吸音材・制振材であることを忘れてはなりません。先人の知恵や職人の伝統的工法に学ぶことが重要です。

木材・木製品には主に適度な「遮音性」と「吸音性」があります。また樹種によって「二次共振」を抑える性質が有り、ピアノやチェロなど床を強く振動させる楽器の音響・防音対策にプラス効果があり、針葉樹は楽器防音室に向いている素材です。

さらに、昔ながらの音楽室に多用されていた「穴あき合板」のような複数の周波数の音を軽減する効果のある一般的な木製品もあります。
使い方次第では、日曜大工レベルでも費用対効果の高い音楽防音室を造ることができます。

木造・木材は換気工法が重要

木造建物の寿命を永くするための工夫は、伝統的な木造軸組在来工法の中にあります。
そして、建物内部の床下換気や壁内通気が木造音楽防音室の弱点になることはありません。むしろ、通気・換気を潰すことによって木造の寿命が短くなるリスクのほうが重大です。

音の周波数帯に着目した建築材料や防音材の効果、天井裏・床下などの通気層(空気層)における音の減衰や共振回避などに着目した設計・施工を行えば、木造の伝統的な構造・工法そのものが防音の弱点になることはありません。

木造音楽室(防音室)を計画されている皆さんは、安心して木造が得意な建築業者の力を借りてください。
木造の防音設計が得意な専門家の設計仕様は、彼らの技術力とマッチするはずです。木造・木材を大事にする誠実な建築業者を探してください。

木造防音室は「音楽室」としての空間構成や機能を重視して計画すれば、必然的に木造在来工法の構造を活かすことになります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?