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2024/03/16 【応援歌整頓論】お遊び演奏は使用歴に含めない

(この記事は「応援歌整頓論」の各論です。概論は別記事をどうぞ)

すっかり御無沙汰気味の本シリーズですが、忘れているわけではありません。なのですが、長い文章を書くのもなかなかエネルギーがいるので、気乗りしないとどうしても後回しになりがちで、すみません。
今回取り上げるのは、お遊び演奏についてです。なかなかふんわりしたテーマで、何に焦点をあてて書いたらよいものか、書き出す際にはずいぶんと困ってしまい、でもいざ書き出してみるとあっち行ったりこっち行ったりとまとまりのない文章になってしまい、私の悪癖が詰まった記事となっております。


お遊び演奏をどう定義づけるか

タイトルでお遊び演奏は使用歴に含めないと言っておいてなんですが、実のところ、その前提となるお遊び演奏の定義づけというのが、結構奥が深くてかつ難しいテーマであるように思います。まずは、お遊び演奏は何ぞや、という部分について考えてみることとしましょう。

一般的に、プロ野球の応援歌におけるお遊び演奏というのは、本来割り当てられていないはずの個人応援歌が演奏される現象を指すものと言えましょう。大概は、圧倒的な点差がついて試合の趨勢がほぼ決まってしまった展開であったり、順位決定後のいわゆる消化試合なんかで、何の前触れもなく発動することが多いです。
また、当たり前のことですが、お遊びで演奏される応援歌は十中八九、かつて他の選手に使用していた曲を引っ張ってきます。突発的に普段使われていない応援歌を演奏するわけなので、スタンドのファンにも柔軟な対応力が求められますが、いつかの時点で使われたことがある応援歌を演奏することで、古参だけでも盛り上がれる構図が出来上がるわけですね。
逆に、何の前触れもなく急にオリジナル曲を演奏しようものなら、いくら訓練されたファンといえども置き去りとされるのが明白ですし、それはお遊びというよりもむしろ、ぶっつけ本番新曲披露みたいなものだと思います。

継続的な流用に対し単発的なお遊び演奏

過去に他の選手に使われていた応援歌を、また別の選手に演奏するという事象自体は、前回記事「最終流用時点での応援歌とみなす」でも取り上げた応援歌の流用と同じものに見えます。
しかし、私の整理方法において、流用とみなした場合は使用歴に含めるのに対し、お遊び演奏とみなした場合は使用歴に含めません。その差はどこから生まれるのかというと、継続的に使用されるものか、それとも単発的な演奏かによって区分し、前者を流用、後者をお遊び演奏として捉えています。

もう少し場合分けをして考えてみると、まずは個人応援歌を持っている選手に対して、過去に用いられていた別の応援歌を引っ張り出してくるケース。これは、十中八九その場限りの演奏であることが多いです。
既に個人応援歌がある以上、それを使用し続けることに何らかの問題があるなど、よほどの特殊な事情がなければ、現行曲を無視して別の応援歌を継続使用するというシチュエーションに無理があるわけですね。
例えば、’04に韓国球界から鳴り物入りでロッテに入団したロッテ李承ヨプの応援歌。歌詞に韓国語が含まれていましたが、発音のちょっとした違いで本来意図しない意味となってしまうと選手本人から申し入れがあったとかで、急遽レロン・リーの応援歌を演奏した試合がありました。最終的には、意図どおりに伝わるよう歌詞の表記を改良して対応しており、李に対するリーの応援歌演奏は単発で終わったことから、お遊びと整理する次第です。

また、記憶に新しいところで一例を挙げると楽天田中和基。’23に応援歌が変更されましたが、同年中、大差のついた試合で打席に立った際、’19作の旧応援歌が演奏されました。この旧応援歌発動もまさしく突発的なもので、お遊びの範疇に入るものです。

対して、個人応援歌を持っていない選手に対する過去の応援歌の演奏。これは、ケースバイケースで事例ごとの判断が必要になってきますが、基本的に応援団からのアナウンスがない中での突発的な演奏であれば、お遊びとみなすことがほとんどです。
先の田中和基に旧応援歌が演奏されたのと同じ試合で、個人応援歌を持たない安田悠馬に対して、過去ウィーラーらに使用された応援歌も演奏されましたが、これなんか典型的なお遊び演奏ですね。応援団からの正式なアナウンスもなく突発的な演奏で、以降の試合で演奏されたという話も今のところ聞きません。こうした使われ方は、私の中では流用とはみなしておらず、よって当該試合の演奏をもって安田を使用歴に含めるようなことはしていません。

暫定流用は使用歴に含めるべきか否か

さて、一部球団では、暫定流用という言葉を用いて過去の応援歌を割り当てるケースが存在します。
暫定流用とは何ぞや、正式な流用と何が違うのか、また頭を悩ませるわけですが、これまでの傾向を見るに、一定期間は継続して過去用いられた応援歌を使用することを指しているものと私は解釈しています。暫定流用となった選手の活躍度合いなどから、折を見て新規に個人応援歌を作成するか、若しくは流用曲を剥奪する、といった判断が下されることが多いのが特徴と言えそうです。

暫定流用の事例として紹介したいのが、’18DeNAの4選手。応援団のブログでも、暫定的な対応であることを明確に打ち出していました。

もっとも他面において、左打者汎用曲を使用する選手が多く一軍登録されている状況が続き、スタメン打者9名のうち4名が左打者汎用曲、という試合も生じております。

そこでこのような状況に鑑み、暫定的な対応として、佐野選手、神里選手、山下(幸)選手、楠本選手の4選手に対し、以下のとおりの応援歌を当てることに致しました。
(※あくまで暫定的な対応であり、今後、変更されることもあり得ます)

全国星覇会"左打者汎用曲を使用している一部選手の応援歌につきまして"ベイスターズ応援日記@星覇会

この時暫定流用された4選手は、しばらく流用曲が継続して試合中も演奏されるようになりましたが、その後の対応は選手によって分かれました。
まず、この中で暫定流用後も特に出場機会が多かった神里は、後半戦開始に合わせてオリジナルの新応援歌が発表。したがって、金城らからの暫定流用曲の使用期間はわずか1か月余りでした。
残る楠本、山下幸、佐野の3選手は、’18シーズンいっぱい暫定流用された応援歌を使用継続。’18本拠地最終戦で披露された全選手応援歌メドレーでも、暫定流用継続組は順番を飛ばされることなく流用曲がしっかり演奏されました。ちなみに、一足早く新曲をもらった神里は、このメドレー中暫定流用曲は演奏されず、新応援歌のほうのみの演奏でした。

それが、翌’19には潮目が変わり、暫定流用組3選手は応援歌が剥奪された形に。この年のオープン戦では、それこそお遊び演奏などもされながら、基本的には左打者汎用曲が演奏される扱いとなりました。
そこから、楠本はこの年のオープン戦首位打者となる活躍を見せ、開幕前に新曲をゲット。佐野は’19シーズン通じて一軍の戦力として役割を果たして、ようやく’20に新曲ゲット。一方で、山下幸はレギュラー争いに食い込めず徐々に一軍で姿を見なくなり、個人応援歌返り咲きを果たせぬまま’22オフに戦力外と、応援歌事情も選手生命も明暗が分かれています。

経過の説明が長くなってしまいましたが、ここで今回気にしたいのは、’18の暫定流用を各選手の使用歴に含めるか否か。結論から申し上げると、この事例については、4選手とも暫定流用曲を使用歴に含める整理としています。
特に神里の金城ら流用は、使用期間が短く、全選手メドレーでも演奏されていませんが、一方で、応援団から本曲使用に関する正式なアナウンスもあり、単発演奏というにはさすがに無理があると思います。シーズン通じてでなくても、継続的な使用と認められれば、私としてはお遊び演奏とはみなさず、使用歴に含める扱いとします。

(石井義の応援歌動画を投稿したのは佐野への暫定流用前につき、動画内の使用歴に佐野は入っていません)
(山下の応援歌だけYouTubeに動画投稿していませんでした。私が投稿する動画はリクエスト次第とはいえ、ここでも明暗が…)

結局は使用状況によって個別判断

今しがた例に挙げたDeNAのように、本来割り当てられていないはずの応援歌を使用することに対して、応援団から何かしら正式なアナウンスをしてもらえると、判断材料としてこの上ないのですが、各球団見渡してみると、特段の発表がないケースも多々あり、流用なのかお遊びなのか判断に迷うことが出てきます。

個人的に、直近の事例で一番悩ましいのが、’19のオリックス太田椋。
この年、高卒ルーキーながらシーズン終盤の9月に一軍昇格した太田には、当然ながらまだ個人応援歌はなく、普通であればオリックス汎用応援歌にあたるメインテーマが演奏されるはず。実際、一軍初出場初スタメンとなった9/14の試合前1-9では、太田の打順でメインテーマが演奏されました。
ところが、いざ試合が始まり太田が一軍初打席に立つと、スタンドから演奏されたのは、前年まで小谷野に使われていた応援歌。その後も、太田は’19シーズン中一軍公式戦に6試合出場、打席数は16と少ないながらも、一貫して小谷野の応援歌が使用されたものと認識しております。
一方で、太田に対する小谷野流用について、応援団から特に何らかの声明は出ていなかったものと記憶しています。また、球団公式ホームページ内の選手応援歌のページにも、当然ながら太田の応援歌として掲載されることはありませんでした。さらには、翌’20シーズンから小谷野流用の演奏もなくなり、’24に小谷野流用とは異なる新応援歌が発表されるまで、メインテーマの使用が続いていました。

以上の状況から、太田に対する小谷野応援歌の使用は、お遊びとみなして使用歴に含めないか、それとも、’19シーズンに限っては暫定的とはいえれっきとした流用とみなして使用歴に含めるか。これは人によって判断の分かれるところではないでしょうか。
私としても、特に’24に新応援歌が発表されたことで、ここから小谷野流用が復活する可能性は限りなくゼロとなったことから、余計に考えてしまうところではあるのですが、’19シーズンの使用状況に着目すると、この年の太田の応援歌は暫定的であれ何であれ、小谷野流用とみなしたいです。すなわち、小谷野流用を太田の応援歌1作目として整理します。
ポイントは、初打席から一貫して小谷野流用曲が使用されていたこと。これが’19シーズン中、1打席でもメインテーマが使用されていたようであれば、また判断は変わってきただろうと思います。

(この応援歌動画を投稿したのが'19中であったため、動画内の使用歴では、太田が'19以降も継続使用されているかのような書きぶりですが、実際には'20以降使用されていません)

参考までに、オリックスの類似事例で私の中での判断基準を示すと、’19以降の西浦に対する森谷流用、頓宮に対するブーマーら流用は、応援団によると暫定流用的な取扱いだったそうで、実際頓宮は’23に晴れて新応援歌が作られましたが、この2選手については、流用曲を迷うことなく使用歴に含めます。実際、'19以降は一貫して流用曲が演奏されていましたし、球団公式ホームページにも両選手の応援歌として掲載されていました。
また、'22のマッカーシーに対するトーベら流用は、球団公式ホームページに掲載されることなく、近年では珍しい歌詞不明曲となってしまいました。しかし、シーズン通じてマッカーシーの打席で助っ人テーマでなく流用曲のほうが使用されたことを鑑みて、これも使用歴に含めます。
一方、’13の深江に対する早川森山流用は、お遊びと同列にみなし、使用歴に含めない考えです。この辺は、同じシーズン中にメインテーマが演奏されていた時期もありましたし、球団公式ホームページにも掲載されていません。
判断材料として、お遊びなのか暫定流用なのか正式流用なのかといった応援団のアナウンスや、歌詞カード等への掲載の有無などが挙げられますが、最終的には、その応援歌がどのように使用されているか。私の中では、使用状況に重きを置いて判断しているつもりです。


お遊び演奏まで使用歴に含めるかどうかというのは、いろいろ観察してみると、本当に人それぞれだと思います。たった一度の演奏実績で、私だったら使用歴に含めないであろうケースでも、人によっては、その選手の応援歌として整理していることがあります。
本シリーズでいつも言っていることですが、応援歌の整理方法は千差万別。今回私が紹介したやり方も、決して絶対的な方法ではありませんので、一つの考え方程度にとらえていただけますと幸いです。

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