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少年がザ・ビートルズと出会い、パンクにやられ、“マーシー”になるまで。 真島昌利がレコードコレクションとともに自身の音楽遍歴を振り返る自伝的ディスクガイド本、発売に先駆けて内容を一部公開!

 ソウ・スウィート・パブリッシングでは、当社の第1弾オリジナルタイトルとして、真島昌利(ザ・クロマニヨンズ)の初めての著書である『ROCK&ROLL RECORDER』(ロックンロール・レコーダー)を2022年2月に発売いたします。
 この本は、著者が少年時代からミュージシャンになるまでに触れてきた音楽についてを、自身のレコード・コレクションの写真とともに振り返る“自伝的ディスクガイド”と言うべき内容の1冊。ザ・ビートルズとの出会いや、仲間と結成したバンドでの初ライブ、「ロックンロールの神様の声がリアルに響いた」というパンク・ロックの衝撃などが、マーシー節の効いたエッセイ調の文体で、144ページにわたって語られます。
 本稿では本の中から、ザ・ジャムに関する思い出を語った『キック・アウト・オブ・ザ・ジャム』のパートご紹介します。

ソウ・スウィート・パブリッシングのECサイトのほか、Amazon.co.jpTOWER RECORDS ONLINE などで予約受付中!

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キック・アウト・オブ・ザ・ジャム

 ロンドン・パンクの5大バンドと言われているセックス・ピストルズ、ザ・クラッシュ、ザ・ジャム、ダムド、ザ・ストラングラーズ。その中から少しジャムの話をしてみます。

 僕がクラッシュの『白い暴動』の次に買ったパンクのアルバムは、ジャムの『イン・ザ・シティ』でした。雑誌の広告で見た、「ニューウェイブはギリギリの線で勝負をかける男のロック」というコピーにシビれました。やっぱりこういう宣伝コピーや、帯に書いてある煽り文句は最高です

 このアルバムが発売された1977年は、エジソンがレコードを発明してから100周年だそうで、この年に発売されたレコードの帯には記念のマークが入っているんです。レコード好きにとってはそれも大事なところです。ちなみにジャムといえばネオ・モッズですが、77年の東京には、まだネオ・モッズ族はいなかったと思います。

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 『イン・ザ・シティ』を聴いた第一印象は、「速い!!」でした。それに、「芸術学校」(原題:Art School)、「住所変更」(原題:I've Changed My Address)など、クラッシュとはまた違ったスタイリッシュさがありました。ポール・ウェラーはリッケンバッカーのギターを使っていたところも興味深く、リッケンバッカーというと、ビートルズ、ザ・フーのピート・タウンゼント、ザ・バーズのロジャー・マッギンなどいろいろな人が思い浮かびますが、70年代に誰よりもカッコよくリッケンバッカーのギターを弾いたのは、ポール・ウェラーだと思います。

 『ザ・モダンワールド』、『オール・モッド・コンズ』、『セッティング・サンズ』などのアルバムの国内盤が出ると発売日にレコード屋さんに走りました。日本ポリドールはとてもグレートで、ジャムのシングル盤もキチンと発売してくれていました。2ndシングルの「オール・アラウンド・ザ・ワールド/カーナビー・ストリート」はアルバム未収録でしたし、『ザ・モダンワールド』のシングルのB面には100クラブでのライブが収められていました。

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 80年、ジャムは初来日公演を行ないました。僕はこのチケットを買うために、代々木のヴァン・プラニングという事務所の前に徹夜で並びました。会場は日本青年館で、最前列で観ることができました。
 見上げるとすぐ目の前にポール・ウェラーがいて、横を見ればブルース・フォクストン、うしろにはリック・バックラー。お客さんはみんな席を乗り越えて、ステージ前でギュウギュウです。一緒に行った友達が、「マックショウ! マックショウ! ザ・ジャム!」と叫びました。ポール・ウェラーはニヤッと笑って「OK!」と言うと、すかさず「ヒート・ウェイヴ」のイントロをブチかましました。

 ちょうどその頃キングレコードが「これぞ奇跡!」というシリーズで、デッカ・レーベルのゼム、スモール・フェイセスといったバンドの作品や、コンピレーション盤の『レディ・ステディ・ゴー』、『ライブ・アット・ザ・キャバーン』なんかを発売していて、それはザ・フーやキンクスなどのブリティッシュ・ビート・グループを掘り下げるきっかけにもなりました。

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◎著者プロフィール

真島昌利(ましま まさとし):1962年、東京出身のミュージシャン。THE BLUE HEARTS、THE HIGH-LOWSのギタリストとして活躍したのち、現在はザ・クロマニヨンズで活躍中。自身のバンドのみならず、他アーティストへ提供する詞や曲も評価が高い。代表曲として、「TRAIN-TRAIN」「チェインギャング」「青空」「夢」「アンダルシアに憧れて」「青春」「紙飛行機」「エルビス(仮)」など。

真島昌利

■目次
・ビートルズの衝撃!
・ギター革命
・ロックンロール・ア・ゴー・ゴー!
・夏のリズム・ギター
・ミート・ザ・ローリング・ストーンズ!
・コンテスト&オリジナル
・パンク・ロック大爆発!
・MR.ジョー・ストラマー
・キック・アウト・オブ・ザ・ジャム!
・パンク・ロック・ジャングル
・ロンドンとかニューヨークとかジャマイカ
・ネオアコ暴動!
・日本のCool Beat
・チットチャット

■書籍情報
『ROCK&ROLL RECORDER』(読み:ロックンロール・レコーダー)
著者:真島昌利
発売:2022年2月10日(木)※全国の書店やECサイトで販売。
定価:3,080円(本体2,800円+税)
仕様:B5変型判/144ページ