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英検を受けてやっと素の自分になれたこと。

「この封筒の厚さはもしや……」ペーパーナイフで急いで破いてみる。「合」の位置が少しおかしい。やはりだめだったか。おそらく6回目位の正直だった気がする。いや7回目だったか?とにかく5回以上に違いない。ここまでくると、封筒の厚さで良し悪しがわかってくる。もはや素人の域を優に超えている。
 今までのこと少し振り返ってみる。すると、平均的に点数がとれていなことが解った。当たり前である。平均的に点数がとれていたら、それはもう合格一直線である。
 
 我ながら、考察ができていない。取りあえず、自分自身で行ったことを振り返る。まず、最初に合格しなかったときに行ったこと。アプリに頼ったのだ。無料のリスニング速度が変更できるアプリ。無料と言う言葉に引き付けられダウンロードした。
 肝心の所は有料なるのだろうと疑心暗鬼の私であったが、全然親切であった。すごすぎる。出し惜しみなし。この親切アプリを使って幾日も幾日も練習した。通常の速度よりも、少し早い速度で聞こえる様になったとき、自分がどれだけやったか、振り帰ろうと思い、通常スピードに戻して練習した。なんと驚愕の事実がわかたのだ!通常のスピードが単調すぎて、最後まで聞き取れないのである。聞き取る前に眠くなるのである。感覚が戻らないまま、受験した。三文字の結果が到着した。そして、合格までを表す指標が「とっても遠いよ」と示していた。

 またまた一人での大反省会。受験会場を思い出した。受験開始時間、机の配置。一つ一つ確認しある結論に達した!リスニングの機材を変えよう!機材と言うのはCDプレイヤーである。アプリに変更する前は、PCの音源で勉強していたのだが、結構クリアな音ですごく聞きやすかった。そこがまずかった。聞こえすぎてしまって、リスニングの勉強がおろそかになってしまったのである。これも敗因の一つである。
そして、その年の英検。リスニングを軽んじてしまい、間違った数の方が多かった。これにはさすがに参った。勉強中は聞こえているのに本番になったら聞こえないのだ。ここで、私は考えをひねり出した。たしか、本番はCDプレイヤーを使っていた。そうだ!CDプレイヤーで練習してみよう。

 早速、大手の大きなジャングル通販ではなく、電気屋さんへ買いに出かけた。
 なんと、そこで見かけてしまったのだ!CDの速度が変わるCDプレイヤー!どこかで聞いた気が……。夢の様なCDプレイヤー!すごい誘惑目線である。誘っている。いや誘われている。この誘惑を振り払うのは尋常ではなかった。心を鬼にして振り払い、薙ぎ払いとうとうたどり着いた。私が求めていたCDプレイヤー。来た道を引き返すと、あの誘惑目線と目が合う気がしたのであえて、加湿器コーナーを横目にし、レジに向かい購入した。

 帰宅後、夕食を食べ早速リスニングの練習に取りかかった。するとどうだろう、この臨場感!まるで、現地で受験している様な感覚。全然聞こえない感覚!これだ!やっと見つけたのだ!購入したCDプレイヤーを片手に毎日毎日練習した。そして、この音にもなれて来た頃、再度受験した。封筒の厚さで解る、この素人ではない私は、手に取り瞬時に理解した。やはりこの時が来たようだ。またしても「合」の位置違う。
 そして、結果の内容を確認した。なんと!リスニングは受かっているではないか!よかった!嬉しい反面悲しさもあった。やはりきわめて大きな課題。リーディングである。平均点以下。かすりもしなかった。

 うーん。リーディング。この勉強方法にはさすがに参った。どれから手を付けていいか全くわからない。過去問を一つ一つ翻訳していると、あるとき、ふと閃いた!過去問が全て訳せていないことが解った。ここに最初の答えがあったのだ。過去問の単語を全部覚えてみよう。分からない単語が無くなるまで全部。まずは地道に一歩一歩やって行こう。

 そして、英検の過去3年の問題を引っ張り出して、全ての文章を読み解く。一語一語読み解く。分からない単語には辞書に青色で線を引き、何度も繰り返す。同じ単語に出会ったら、何度引いたか、単語の横に引いた数字を書き足してゆく。5回たまったら、その単語だけノートに書き出す。何度も何度も英検の過去問と対話を続け、自分の苦手な分野が解ってきた。
 それは、中学英語の基礎である。それは、今まで、ごまかしていた部分があぶり出て来た様だった。もっというと知ったかぶりである。ようやく素の自分をさらけ出すことができたのだ。まったくもって命知らずにも程がある。この礼儀しらず基礎しらずの無謀な人間が、英検2級を取れるわけもないのだ。
 
 今まで、英語以外でも知ったかぶりを何度使ったことか。知らないことを知ることは恥ずかしくないのだ。むしろ、知ったかぶりでそのまま生きてゆくことが恥ずかしいのだ。やっと素の自分が見えて来た。英検受験を通して色々なことを学ばせて頂いた。
 私は、中学英語を基礎から勉強し直した。そして、人生最後の英検2級の受験に向かった。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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