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うちの息子ですがなにか?


インターホンが鳴ったとき、宅配便、書留などのお届け物系だけ出るようにして、他のセールス、勧誘などはやり取りしてお断りするより出ないほうが時短、お互いのためなので居留守を決め込む。

ただ困るのが夕方以降シャッターを下ろした後に鳴らされたときだ。そとが見えない。2階に駆け上がりベランダから覗いて階下に戻ることは無理。
宅配便のスライドドアの音がしたようなしていないような、お届け物系の可能性もある。
うちはインターホンにカメラが付いていないので窓から覗いての確認ができないとなると受話器を取って話さないといけない。

年に数回、たまにそういう時がある。

1年以上は前のことだったと思う。
受話器を取ると「お宅に○○高校卒業された△△君いらっしゃいますか?」と声からすると年配らしき女性にそう聞かれたことがあった。長男の高校だし長男の名前で間違いないので、「そうです」と答えた。なんだろう?高校時代、息子が何かやらかしたかもしれないことを20年近く経つ今になって?と悪いことも一瞬頭をよぎり、これから何を言われるのかと不安になる。自分の子供の名前を不意に出されたら誰でもそう思うはず。「結婚したので県外にいます」と言ったが、どういう訳かそのあと話は宗教の勧誘の流れとなった。卒業名簿を使って人の関心をつかみ、そして不安を煽るというか実際不安になったので悪質な印象を受けた。

もうそのことは忘れていた。

先日お昼に、のんきに庭で犬にオシッコさせていると、毛糸の帽子を被ったお婆さんがうちのインターホン目掛けてやってくる。何ですか顔で近付くと、その人も私に気がつき話し始めた。
そして門扉ごしに言われた。
「お宅に○○高校卒業された△△君いらっしゃいますか?」
今、あのときのあれを言った人と庭先で対面している。

この人だったのか。断ったはずなのにまた。

早く済ませたかったので今回は「居ません」と答えた。そんな息子、元々うちには居ないと言えば、ぐうの音も出ないだろう。
はい終わり!と思って戻ろうとした私に、その人は「……□□さんですよねぇ?」とうちの表札の方に身体を捻って尋ねる。名簿にある番地と名字が完全に一致している。そして四角い表札に□□と名字が彫られている。そこは認めるしかないのに私はそうだと言えばそこからの勧誘への流れも有りうるのかもと思い、「違います」と言ったのだ。

子供、名字、と全否定したのだ。

じゃあ一体今この庭にいる私は誰だということになる。ツッカケ履いて犬と一緒に庭に居る。胸に□□の名札は付けていないから私と□□の関連性は否定できても私とこの家の関連性が切られることになる。怪しいというよりおかしい。違うと言われたお婆さんは「じゃあ、この近くに□□さんという方おられますか?」と更に聞いてきた。マニュアルの顧客?対応策が緻密。
本当はそこで「いません」なのだが、そうすると逆にここ界隈に□□という名前の家がうちしかないと言っていることになり、形勢不利となる恐れがある。私は嘘を重ね「知りません」と答えてしまったのだ。
□□はこの地方では珍しい名前だ。居るわけない。

その人は諦めて、□□さん探しにまた歩き出していったのである。私を信じたのだろうか。信心深い。

急いで家に逃げ込み、しゃがんで犬の足を拭きながらこんな嘘で固めたおかしな対応をしてしまった自分にちょっとびっくりした。

同じ手口にどうしても先手を打ちたかったのかもしれない。

 3度目がもしあったら次は何て言おうか。


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