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柴犬 一回咬まれたかもしれない

8年前、家へ来たばかりの柴は、手が付けられない程の困った子だった。躾教室という選択肢を考えていなかったので、そこへ辿り着くまでは、柴を買ったペットショップの「何でも訊きに来て下さい」という、やさしい店員さんを頼っていた。

家の中の様子 ◇ ◇
?? 前の犬、こんなんだったっけ??
こんな動き回っていたっけ? こんなにピョンピョン跳んでいたっけ? 
     全然捕まえることが出来ない。

そして、こんなに人間を咬んでいたのか?!

咬み癖をなんとかしないと、抱っこも出来ないし、リードを付けることも出来ない。

ペットショップの店員さんに訊きに行く。

店員さんは、それではリードを付けるお手本を見せてあげましょう、と笑顔で座ったまでは良かったが、大いに手こずっていた。膝の上に乗せられた柴は、店員さんの手をチクチクの歯で咬みまくって抵抗している。無理でした~、では済まされないので、店員さんが少し強引に首輪を付けた時、手をガウっと咬まれてしまった。
そのとき、店員さんの手を柴がペロッと舐めた。
店員さんが「この子、僕に、"咬んで、ごめんね" って謝ってますね。」と言った。
こちらの心配を和らげるための言い訳では?と思って聞き流していた。
そんなことあるわけない。仔犬が謝るなんて。

3か月位の仔犬の咬み癖は、歯が伸びてきてむず痒いとか遊びたいとか、だとしても、それ以外なにもしていないくらい咬みまくっていた。

あるペットショップに立ち寄ったところ、物凄く大きな柴犬(成犬の大きさ?今後の心配な子…)がいた。今の咬み癖のままで、この大きさになったら…と思うと、恐怖、危険を感じた。
早いところ、なんとかしなければいけない。
前に飼っていた犬も仔犬時代、多分咬み癖があったと思う。でも小さい犬だっからなんとかなったような……全然覚えていない。

若い頃の柴、目が爛々です。

そこで、目指すはプロのトレーナー、躾教室へ。

問題行動「咬みつき」対策をお願いする。トレーナーさんは、咬まれたら大袈裟に「いたい!」とか「NO!」と強く言うこと、そして咬むことは人にとって痛くて嫌なことだと、犬に徹底的に覚え込ませる、という…………。
そんなこと出来るのかな???
それからうちでは「いたい!」「いたい!」が飛び交う日々が続いた。

◇ ◇

いつ落ち着いたのかはわからないけど、咬まなくなる日は、いつの間にかちゃんと来ていた。
トレーナーさんは、最終的にはご飯食べてる最中でも、後ろから抱っこ出来るくらいに、と言っていた。
これは犬にストレスをかけると思うのでやりたくなかったが、こういうことが出来るくらいの信頼感を得る、ということだったと思う。

前の犬が気の強い性格だったので、食事中に後ろからの抱っこは、100%怒らせただろうけど、この子は、地道な躾の成果と、そしてこの子の持って生まれた性格もあったのかもしれない。
一回だけやってみたところ、セーフだった。

最初の頃はまだ空いていた躾教室にて。
柴犬率50%。うちの柴は向かって一番左です。

こんな元気な柴だけど、何年か前に婦人科系の病気をして、獣医さんでお腹をエコーで撮られることになった。「終わるまでそちらでお待ちください」、と言われ、待合室で座って待っていた。すると、もう一度窓口から、今度は「中へ来て下さい!」、と言われた。 ???
そこは、診察室のそのまた奥にある部屋で、医療機器に囲まれたベッドがあった。暴れまくり怒るうちの子を獣医さんが3人がかりで、ひっくり返して押さえていた。エコーはとても無理な様だった。あまりに暴れるので、安心させるために飼い主を呼んだのか、単にもう一人分の力が要るということなのか?
「お母さん、此方の顔のほうで押さえてください!」と言われ、一番咬まれそうな危ないところに、行くように言われた。

その時の柴の様子、ちょっといつもと違う本気咬みをしそうな感じだだった。私は意を決して、両手で押さえつけた。咬まれた。ような気がした。
あまりに一瞬でよく分からなかったけど、柴の仕草はそう見えた。でも痛くもなければ、歯形もなにもついてはいなかった。なんだったんだろう?

まだ暴れている。

その時、思い出した。

いつも柴を誉めるときに言うことば「 いいこ、いいこ 」「 そう、そう 」これを低いトーンでかけてみた。普段から、誉めるとき以外に、甘えている時にも、撫でながら、「いいこ」、や、「そうそう」を、繰り返し言葉がけし、これは「安心のコトバ」だと、柴の頭の奥にすりこんでいた。
要はうちの子は極度の怖がりなのだ。押さえ付けるのではなく、安心させるのだ。
そうしたら、急に諦めておとなしくなったのである。そのコトバが今聞こえ、ふっと力が緩んで身を任せてくれたようだった。

◇◇

後にも先にも、その時だけで、うちの柴は絶対人を咬まない。手になにかを持って食べさせようとした時に、勢い余って歯が当たってしまったり、遊びが加熱して少し手を咬んでしまった時も、本能的に一旦中断して私の手を舐める。

人間でも、こんな出来た人はいない。
ってどういう状況の話?

育ての母である私は、試行錯誤の繰り返しで懸命に躾をしてきたのだけど、きっと産んだお母さんが優しい柴犬、そういう血筋だったのかもしれない。

◇ ◇ ◇

? 年後……(ドラマの最終回によくある展開)

   今は、甘えることしかしていない。

時々、コアラ

今考えると、ペットショップ店員さんの言った、まさかは本当だった。謝るためにペロッと舐めること。

◇◇

「これでどうだ?」「いたいいたい」

今、ホワッとした咬み方だけど、
私の目を見ながら、力入れたり弱めたり、そして私の「いたい!」でやめて、手を舐める、そんなへんな遊びをふたりでやっている。あぁ、平和な日々。

◇ ◇ ◇

     かわいさ 不動の安定感 ◇ ◇ ◇

何処見てる?
どんなに自分が可愛いかを知らない……


短歌 ) ) )

        
         今よこで
       眠る犬のきつね色
     上書きされて雲になった白
      


        まて、よしを
     なぜするのかもわからずに
     かわいい待ち方している前足



         伸びをして
     手が当たったらそこに居た
     ごめんねといい、犬また眠る

     

※ 前うちに居た犬は、小さな白い洋犬でした。

.zzZZ

※ ※ ※ ※ ※  親バカですみませんでした。
              ※ ※ ※ ※ ※

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