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✴︎お母さんの世界

「月子ちゃん、今、ここでなんか視えてる?」

さっきまで私を捉えていた月子ちゃんの美しい不思議な色の瞳が、

宙の一点を見据えてる。

私が話しかけても、しばらく月子ちゃんの意識は

こことは別のところに集中しているみたいに見えた。

「あ、うん、ごめんごめん。

今さ、結ちゃんのところにやってくる魂と会話してた。」

「はぁ?ちょっとちょっと、待って。想像の域を超えてるんですけど。

月子ちゃんって何者〜?

いやいや、この信じがたい状況が嘘じゃないのは

直感的にわかってるんだけど、

どんな反応していいか、正直わかんない…」

そう言った自分の声はものすごくうわずっていて、

気づいたら号泣していた。

あ〜よかった。私のところに赤ちゃんが来てくれるんだぁ。と

いう安堵の気持ちからだろうか?

それとも、月子ちゃんのどこか人と一線を引いた態度や言動は、

今のこんな状況を何回も体験した上で、

身につけざるをえなかった術だったのに、

それを知らずにクールビューティだなんて茶化していた

自分のアホさが申し訳なくて

恥ずかしかったからか、

本当はどうして泣けてくるのかわからなかった。

けれど、とめどなくとめどなく流れる涙は

体の、心の芯から、何かをふつふつと湧き起こしてくれる

ような温かい涙だった。


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