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✴︎お母さん

確かに、月子ちゃんは昔から大人びていて

本当は私より一歳年下なのにお姉さんみたいだった。

大人に叱られている姿など見たことがなく、

逆にうちの母なんかはよく注意を受けていた。

だからうちの母と私の間で、

月子ちゃんをこっそりロッテンマイヤーと呼んでいたぐらいだ。

でも、その理由が…

「月子ちゃんって、スピリチュアルな人だったのか。」

「あ、私そのスピリチュアルって言い方、好きじゃないの。

 使い方間違えているよ、日本は。

 前世とかブームみたいになっちゃってて、

 テレビとかでやたら説法してるのもどうかと思ってる。

 いくら見えてもね、軽々しく言っちゃダメなんだよ。

 その人の人生なんだから、答えは自分で導き出さないと。」

「でも、でもさ、今、月子ちゃんが私に言ってくれようとしているのは

 いい答えなんじゃないの?少なくとも私には。」

「そう?今、私に見えているものを伝えることが

 結ちゃんにとっていい答えなのかはわからないよ。」

「そうなの?神のお告げ的な意味で視えるんじゃないの?」

「そうでもないよ。他の人がどうかはわかんないけど、

 視えているものが何を意味しているのか、正直わからない。

 視えているものごとを伝えたことで

 疎遠になった人間関係がごまんとあるし。」

「私は好きだけどな。不思議な話。」

「うん、結ちゃんがこの手の話ができる人だとは思ってなかった。

 ここ2,3日結ちゃんを見ていてわかったの。

 今の結ちゃんにこれを伝えるために、

 私、ここに呼ばれたんだなって。」

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