過去最低駄作!FarCry : New Dawn
ナンバリングタイトルではないスピンオフの本作だが、ストーリー的には5の続編扱いである。これまでのシリーズから逸脱してRPG色を濃くしてあり、武器のティアを上げたり基地をアップグレードする要素が追加された。
もともと世界観があまり好きになれなくてNew Dawnはやるつもりなかったのだが、なぜ核爆発が起きたのか、ペギー達はどうなったのか気になっていたので、セール中だし買うことにした。
難易度ハードアス、クリア時間は10時間とちょっと。そこそこ寄り道したし、基地も同じ基地を何回も開放してこの時間なのでボリュームは圧倒的に少ない。
Metascoreは73、正直びっくりしている。
今回はFarCry5と今作のネタバレを避けきれないので、自分でやりたい人はブラウザバックしてほしい。
評価できる点は4つだけ。先に挙げておこう。
動物がかわいい
やった!ついに動物も車にのるようになった!助手席やサイドカーにのる犬はとにかく可愛い。他にホレーショというイノシシもいるが、こちらは体が大きすぎて同乗はできないようだ。
5では自分が確認できなかった点として、浅瀬で遊んだり、ほかの敵対してない犬と吠えあったりといった細かな仕草まで作りこまれている。
探索
先に断っておくがメインのワールドを探索する楽しさではない。探索という名前のヘリで遠出するミッションがあり、ミッション毎に新しいマップが用意されている。
ロケーションはどれも今までにないようなものばかりで、座礁した空母や巨大な刑務所のアルカトラズ島、破壊されたテーマパークなど、内陸にある基地を攻略するのが恒例のFarCryシリーズでも新鮮な印象を持つと思う。
この探索ミッションは友達と攻略することもできる。
目的はGPS発信機がついた荷物を盗み出すことで、盗むまではステルス、盗んでからは逃走と激しい戦闘という緩急ついたものに仕上がっている。
ただ一つ思うのが、荷物を運ぶことで位置がばれるならヘリが来るまでの間荷物をおとりにして待ち伏せしたりできたはずなのに、主人公は盗んでからヘリで帰還するまで荷物を絶対おろさない。つまり逃走に関して練れる戦術は、荷物を盗む前に逃走経路を決めておくことだけであり、盗んだら全力で逃げて、ヘリがくるまで迫りくる敵と正面戦闘するしかない。
難易度的に言えば、最高難易度でランク足りてない装備でもやり直しすることはほとんどないようなものなのでストレスはないけれど…。
ソーランチャー
鋸の刃を発射する武器である。鋸の刃は跳弾して複数の敵に被害を与えることが出来る。弾道は非常に都合よく跳弾するようになっていて非常にゲーム的だけどユニークで使ってて楽しい。
おもしろい謎解き
5から始まった移動以外でも解決する謎解きパズル。New Dawnではメインストーリーにも謎解きが絡んでくるようになった。
どれも難しくはないけれど、ギミックや3D空間を活かした面白い出来になっている。
一つだけ詰まったのがアミュレットのミッション。Zキー長押しでアミュレットを取り出せる。この説明は3つあるうち1番手前の場所で説明されるようだけど、僕が2つ目の場所から始めたせいでやるべきことは分かってるのにクリアできない事態に陥ってしまった。
では特に悪いと感じた点を挙げていこう。
何の魅力のない双子と訴えるものがないストーリー
ピンクに染まった世界にイカれた双子、世紀末の世界にようこそ!
FarCryシリーズの黒幕は勧善懲悪で白黒つけれないような人物であるか、もう一つの正義をなそうとする人物であるか、悪事に手を染めるだけの納得できる理由を背負った人物だった。
New Dawnでは3人のボスと戦うことになる。うち2人はパッケージにも出てくる双子、ミッキーとルーである。
驚くべきことに、この2人が破壊や略奪を繰り返す明確な理由が一度も描かれていない。父親の影響であることをうかがわせるシーンはあるが、育ちが悪いだけであそこまで組織を作り上げることができるだろうか。一体なんのカリスマ性があって双子の元に集まったのか。
最期になって姉妹愛を見せるシーンがあるが、一切同情できない。
ファーザーとイーサン
一方ファーザーは5からの続投となるが、敵味方でいえば今作では味方である。僕は5のカルト幹部である3人兄弟、特にジェイコブが理解できなかったが、少なくともファーザー自身は組織する器や彼なりの信念があって、そこに人が集まっているんだなと感じた。家族のように思ってきた3人を始末した"新人"を、なんと彼は赦すのである。
今作ではそのファーザーの息子、イーサンが登場する。双子ではなくイーサンを主軸にストーリーを作って、双子は適当に殺して終わりにするほうがよかったと思う。イーサンにはぽっと出のよそ者に自身の努力を水の泡にされるという、主人公に牙をむくだけの十分な動機があるからだ。
これまでのFarCryシリーズは、ストーリーに暴力に溺れていく主人公(プレイヤー)への明確なメッセージがあった。今作は何もない。ただただイカれた集団のボスをぶっ殺して、おまけのように前作の敵の息子もぶっ殺して「ああ、僕たちは解放されたんだ」で終わり。核爆発が何だったのかもわからないまま。
FarCryはもともとストーリーありきのシリーズではないが、今作のストーリーは過去最低のものだった。
なにもかも下品なだけでユーモアがない
作中のジョークやテキストは下品なだけで面白くない。これまでにあったブラックジョークや皮肉はただただ下品な何かに成り下がってしまった。
ポストアポカリプスで教育が行き届かなくなったということだろうか。崩壊が訪れて17年しか経ってないのに?
New Dawnのキャラクターの発言で笑えるのは小学校低学年までだろう。
音楽
これは個人的な好みが大きく出るから客観的な記事にするなら書くべきではないのかもしれないが、個人の感想を書いてるだけなので遠慮なく書かせてもらう。
基地や車両のラジオでは、品性と知性を極限まで削ったようなヒップホップを延々と聞かされて物凄くイライラする。基地を開放すると往年のロックやポップスの名盤に変わるのが唯一の救いか。わざとやってるんだよな?これ。
ボス戦
これも個人の好みが出るところかもしれないが、今作はRPG色強めということでボス戦が正にRPGのボス戦になっている。ミッキーとルーも、イーサンも、とにかく無駄に硬いだけでイライラしただけだった。
とくにイーサンとの戦いは狭い洞窟にぶち込まれて戦わなければならず、逃げ回って動作に隙ができたら弱点に矢や銃弾打ち込んで走りながら回復薬や爆発物をクラフトしてみたいなプレイ以外に解決方法が思いつかない。
恐らく敵が硬すぎると感じたのは武器を強化しなかったせいだろうが、ボス戦にはいるまでその武器で簡単すぎるくらいすいすい進んでて急にこれだからそれはそれで問題なんじゃないだろうか。
時間がかかるだけの繰り返し作業、達成感の無い戦い。FarCryを名乗りながらこの感じで出すなら3みたいに対峙したらQTEで終わりのほうが百倍マシだったというのがクリアしての感想。
敵のスナイパーのレーザー
敵のスナイパーがこちらに照準をあわせると、レーザーで敵の輪郭が全く見えなくなる。基地攻略などのプレイでステルスするのであればそういう状況にはなかなか陥らないが、双子とのボス戦ではほぼ常に自分の位置がバレてるので、銃で応戦する場合レーザーが一番明るくなってる中心を撃つしかできなくなる。なぜこういう仕様にしたのか不明だ。
ちなみに僕は近接爆弾を屋根に投げまくってから、レーザーを遮断しつつ輪郭がでる草むら越しに狙撃して倒した。
連れ歩けるGFHは一人だけ
そういうわけでGFH同士の掛け合いもなし。ハークと妻の掛け合いとかみてみたかったのに。
武器のアタッチメントが交換できなくなった
そのまま。おそらく即席でくっつけたりしてるから無理だよってことだろうけど…。
飛行機もなくなった
ないない尽くし。
色使い
まるでジェリービーンズの着色料を地球にぶちまけたような色使い。花も建物も落書きも敵の防具も車両も武器もピンク!ピンク!ピンク!そこに気まぐれな青がドカン。目が痛い。
こういうの好きな人もいるのかもしれないけど、少なくとも武器は地味な色のほうが絶対格好いいと思うんだよね。
少なくてもユニークではあるし、この世界が好きな人からするとこの点の評価は真逆になると思う。
総評
友達と一緒に探索ミッションをするのはいいかもしれない。となりに犬を乗せて悪趣味な世界をドライブしてもいい。でもそれ以上のことは期待できないし、Farcry的な楽しみ方もやりにくい。そんなゲーム。
5は友達にお勧めできる出来だったけど、New Dawnは嫌いな人に嫌がらせしたいわけじゃないならお勧めしない。
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