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リスクマネジメント【SPARKLE LEGAL】

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スパークル法律事務所が発信したリスクマネジメント関連の記事を集めたマガジンです。
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記事一覧

【Landscape-SPARKLE LEGAL】スパークル法律事務所 3周年の現在地

 スパークル法律事務所 のnoteをご覧いただき、ありがとうございます。  この記事では、noteの読者の皆様に改めて当事務所についてご紹介いたします。ぜひ最後までご覧ください! スパークル法律事務所って? スパークル法律事務所は、「次世代型」の法律事務所を目指し、2021年4月に設立された法律事務所です。主に企業法務を取り扱う法律事務所で、プライム上場企業からスタートアップまで、ステージの異なるクライアント企業からの幅広い企業法務にまつわる相談に対応しています。  オ

疑問文でもプライバシー侵害?企業・取締役の発信者情報開示請求(一部認容)

ポイント 今回は、原告である取締役(X1)と会社(X2社)について、インターネット上の掲示板上で匿名投稿者からネガティブな投稿が行われたのに対し、X1らがアクセスプロバイダである被告に対し、発信者情報開示請求を行い、請求が一部認容された事案(東京地裁平成30年6月29日平30(ワ)5456号・平30(ワ)5504号)です。  X1を原告とする第1事件では、名誉権、プライバシー権の侵害等が争われ、東京地裁は、原告の容貌(美容整形)に関する当該投稿については、それ以前の整形に

動物病院のGoogle口コミ投稿について削除の仮処分が認められなかった事例(却下)

ポイント 今回は、「Googleの口コミ」上の投稿について、コンテンツプロバイダであるGoogleに対し、仮処分手続によって削除を求めたものの、認められなかった事案(大阪地裁令和3年11月1日決定令和3年(ヨ)第40号)をご紹介します。氏名不詳者が、動物病院や勤務する関係者についてネガティブな内容の投稿を行っていたため、動物病院の運営会社であるXら(債権者)が人格権を侵害されている旨を主張し、削除の仮処分命令の申立て(民事保全法)を行った事案です。  大阪地裁は、問題とな

SNS担当部署の方に【企業でSNSアカウントを作る際の注意点】

 前回の企業法務部向けの注意点の記事に続いて第二弾です。企業がSNSにおいて公式アカウントを運用するうえで、その担当となる部署の方に向けて、注意すべき点4つと、制度面としてシステムに必要な点を紹介したいと思います。 1.個人情報、企業内機密情報の流出をしない まず、SNSで個人情報や企業内の機密情報について触れないということが鉄則です。SNSでは気軽に発信ができますが、一度投稿されると、拡散・保存により、その投稿内容を完全に削除することが不可能になります。そのため、このよ

企業法務部の方に【企業でSNSアカウントを作る際の注意点】

 昨今では、企業がSNS上のアカウントを利用し、情報発信ツールとして、広告宣伝などに用いる場合も増えています。SNSならば拡散力も高く、リアルタイムで情報発信ができ、ホームページよりも簡単に記事を作成することができます。  しかし、ホームページ等と異なりSNS特有の注意すべき点も多くあります。今回の記事では、企業の公式アカウントを始める際の、主に企業の法務部門の方に向けた注意点を紹介していきたいと思います。 SNSの特性 SNSアカウントの運用におけるリスクを検討するう

顧問弁護士がいない場合と困るのは何故?トラブル発生時のリスク

(初出:2021/04/01)  いざ法的な問題が発生したとき、会社に顧問弁護士がいないと、様々な支障が生じ、大きな法的リスクにつながる場合があります。以下では、具体的にどのような支障があるか、顧問弁護士が居ない場合のリスクについて解説します。 弁護士の選択や契約に時間がかかる 顧問弁護士がいない場合、発生した法律問題に対応するために、新たに弁護士を探さなくてはなりません。まず、弁護士の知り合いを探す必要がありますし、候補となる弁護士が見つかったとしても、その弁護士の専門

顧問弁護士の必要性と選び方~顧問弁護士とは?

(初出:2021/04/01) 顧問弁護士とは 顧問弁護士とは、会社から継続的に法律相談を受任することを約し、顧問契約を締結している弁護士のことをいいます。個人との間で顧問契約を締結している場合もあります。  顧問弁護士は、クライアントである会社から多岐にわたる法律相談を受けることで、その会社の事業内容を熟知し、経営者や担当者との信頼関係を築きます。これにより、会社側は、その都度、会社の事業内容や背景などの細かな説明をすることなく、スムーズに法律相談を行うことが可能になり

【リスク管理特設サイト】削除請求・発信者情報開示請求の「案内図」

匿名者・不特定多数者とのネットトラブル 企業法務を中心に取り扱うスパークル法律事務所の【リスク管理特設サイト】では、ビジネスパーソン・企業の担当者向けに、ITやインターネットに関連するリスクマネジメント・紛争解決に有益な事例等の情報をnoteでまとめ、発信しています。  近年、インターネット・スマートフォン・SNSの普及に伴い、誰もが情報の「送り手」となり、同時に誰もが情報の「受け手」となる時代となりました。そして、情報の「送り手」は、匿名であることや、不特定・多数であるこ

【令和3年改正法】懲戒免職された元教員によるプライバシー侵害等を理由とした発信者情報開示命令の申立て(申立却下)

ポイント 今回は、プロバイダ責任制限法(※令和6年(2024)改正法で情報流通プラットフォーム対処法[略称「情プラ法」]に名称変更)の発信者情報開示命令事件手続(同法8条以下)の事案(東京地決令和5年7月18日(発チ)第287号)をご紹介します。生徒へのわいせつ行為により懲戒免職となった元教員の申立人が、その旨を摘示したYouTube動画について、コンテンツプロバイダ(Google LLC)に対し、名誉権・プライバシー侵害を理由に発信者情報開示命令を求めましたが、東京地裁は

Googleに対して、「なりすまし」による口コミの削除と損害賠償を請求した事例(削除認容)

ポイント 今回は、Googleの口コミ上のなりすまし投稿について、コンテンツプロバイダであるGoogleに対して削除請求(及び損害賠償)が行われた事案(大阪地判令和2年9月18日(令和元年(ワ)第5554号))をご紹介します。本件は、何者かが他人の名前でネガティブな投稿(なりすまし投稿)をしたのに関し、なりすまされた原告が被告(Google)に対してまず発信者情報開示を求めて開示命令まで得たものの、被告側から発信者情報が確認できないとして開示されなかったため、別途、投稿記

【令和3年改正法】新手続下での発信者情報開示命令事件/却下決定に対する異議事件(却下決定認可)

ポイント 今回は、プロバイダ責任制限法(※令和6年(2024)改正法で情報流通プラットフォーム対処法[略称「情プラ法」]に名称変更)の発信者情報開示命令事件手続(同法8条以下)の事案をご紹介します(東京地判令和5年7月6日令和5年(ワ)第70144号)。この事案では、写真の著作物性を認めずに著作権侵害を否定し、発信者情報開示命令申立てを却下した原決定に対し、原告が異議の訴えを提起したものの、やはりその主張は認められず、原決定が認可されています。  法改正後も、従来の発信者

コロナ緊急事態宣言下で、政府系金融機関の従業員が顧客の悪口を投稿:発信者情報開示(認容)

ポイント 原告の従業員と思われる匿名の投稿者が、5ちゃんねる(5ch)に、顧客への侮辱を含む記事を投稿(本件記事)をしていたため、原告自らが対応し、当該投稿者の発信者情報(本件発信者情報)について、アクセスプロバイダに開示請求をし、認容された事案(東京地判令和3年9月1日令和3年(ワ)第1897号)をご紹介します。  東京地裁は、本件記事が国民生活の向上に寄与することを目的として設立された原告に顧客を蔑視する風潮がある事実や原告が不合理な融資審査を行っている事実を摘示して

アンチスレでのYouTubeスクショは著作権侵害か?:発信者情報開示(認容)

ポイント 今回は、YouTuberである原告が、インターネット上の匿名掲示板のアンチスレに原告のYouTube動画のスクリーンショット画像等を投稿した第三者の発信者情報(本件発信者情報)について、アクセスプロバイダ3社に対して、著作権(複製権及び公衆送信権)を侵害するものであると主張し、プロバイダ責任制限法4条1項に基づき、本件発信者情報の開示を求めた事案をご紹介します(東京地判令和4年11月10日令和4年(ワ)第11853号)。  東京地裁は、本件発信者情報の開示請求を

競合商品の美容アフィリエイト広告の発信者情報開示(認容)

ポイント ウェブサイトに自社商品の悪評が書かれている場合、どのような対応をすることが考えられるでしょうか?個人が運営するウェブサイトの場合、そもそも誰が運営しているのかが分からず対応に困るということもあり得ます。  他社のアフィリエイトサイトに自社商品との比較対照を内容とする投稿がされ、それによって自社商品の信用が毀損されたとして、当該投稿をされた企業が他社のアフィリエイターの発信者情報に関し、ウェブサーバーの管理者に対して発信者情報開示請求を行い認められた事案がありまし